第35話 宦官たちは芯なし魂なし
「張均君。話が少し聞こえていたが・・・人の悪口は良くないんじゃあないか?」
十常寺の首領である
「我が君。張均の言うことは嘘っぱちもいいとこであります。我らが帝に嘘をつくなどありえますかな?ありえないでしょう?そうでありましょう?」
ゆっくりとした口調であるが、凄味のある張譲の言葉に場が緊張感で高まる。
しかし、張均は臆することなく言い返す。
「な、何を言うか!本当の事であろう!」
張均の返答に対して、張譲は笑いながら返答し返す。
「嘘つきは皆同じことを言う。『本当だ!』という言葉を使いたがる。・・・我が君『霊帝』様。こやつの処分は我らにお任せあれ。」
「・・・よきに計らえ」
霊帝は十常侍の操り人形である。
十常侍のことを疑うことなく、よきに計らわせようとした。
「帝!このような誇り高い芯も正義の魂も持ち合わせていない人間たちに
しかし、張均の魂なし発言も空しく、彼は人気のない部屋へと連れて行かれた。
「芯も魂も持っていない外道どもめ!ルーピーどもめ!お前たちは
「だまれぃ!その口を二度と叩けないようにしてくれる!」
本当のことを言われた十常侍たちは張均の口を押さえつけ、隠し持っていた刃物で張均の胸を一刺しした。
「あいたたた!」という声を出すことも出来ずに張均はこの世を去った。
張均を暗殺した十常侍たちは帝にまたもや嘘の報告を告げた。
「我が君。ことは済みました。何も心配することはありません。我らは正義の魂を持って政治に臨んでおります。」
「そうか。余はお主たちを信じておる。・・・しかし、一つ気になることがある。」
「何でございましょう?」
「張均が言うには劉備率いる義勇軍には未だに何の沙汰もなしとのこと。これはどういうであるかな?」
張均は十常侍の悪政を述べる時に劉備を例にとって説明していたのだ。
「劉備は大功を上げたのに未だ沙汰なし。これは十常侍に賄賂を支払っていないからにほかなりません。」と。
何故前話でこれを書かなかったのかというと、作者が忘れていたとかそういうわけではありません。・・・嘘です。本当は忘れていました。読者の皆様および劉備さん。申し訳ありませんでした。
(張均め!最後の最後に余計なことを!)
十常侍は心の中で舌打ちしたが、表情には出さず、帝に事情を説明した。
「そういうこともありえましょう。何せ戦った軍の数が数ですから、見落としぐらいありましょう。非は認めますが、ほんの些細な事。お許しください。」
「・・・あいわかった。ではキチンと調査をやり直し、劉備軍とやらにしっかりと報酬を与えるのだ。」
「ははぁ。」
そう言って十常侍たちは帝のもとを去った。
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