第18話

「うぉぉぉぉぉぉぉーーーー」

 ファルラを抱えたままのユーリが、突然に大声を上げる。

「どうした、ユーリ」

主人マスター、いや父リュディウスが殺された」

「えっ」

 内容も衝撃だが、

「ユーリ、言葉が」

主人マスターが亡くなると、我々天使エンジェルの封印も解けるのだ、ファルラ殿」

「そうなのか。とにかく、降ろしてくれ」

 ユーリは、素直にファルラを地上に導く。リサも続く。

「俺が死ねば、リサの封印も解けるのか? ならば、ユーリ。その剣で俺の命を絶ってくれ」

「断る」

「何故だ」

 気の強いユーリは涙を流していた。

「我々、天使エンジェルにも感情がある。封印で表に出ないだけだ。お前が死ねばリサが悲しむ。私は一生リサに恨まれるだろう。その危険な天使の力を持ったままで」

 言葉を続ける。

「命を粗末にするくらいならば、私の父の仇を討たせてほしい」

「わかった」

 それから、ほとんど時はかからなかった。

 空の向こうに、ヤディオスを抱えたスィールが現れたからだ。

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