タイムリープ・オブ・アザーズ
DAi
第1話 変わる時間
妻が消えた。仕事が消えた。
それはほんの数時間前まで、掴んでいたものだったのに。
「幸せにしてね、
「勿論だよ、
そうやって、結婚式場への一歩を踏み出した時。気づいたら僕は、1人暮らしのアパートにいたんだ。
「……は?」
とにかく雛子へ連絡した。だが、雛子が僕の事は知らないと言った後、違う男が出た。雛子の夫だという。
会社の課長にも連絡した。しかし、僕のことは知らなかった。
スマホでさえ、それらの番号は記録されていなかった。雛子の番号、教えてもらったことが嬉しくて、ずっと覚えている。会社の番号は、ネットで調べた。
どちらも正しくかかったということは、僕の記憶は確かで、ネットも正常に作用しているということ……。
そのネット。いつか見たニュース記事がいくつも並ぶ。画面の下には、今日の日付。僕と雛子が結婚式を挙げた日の、1週間前。6月5日12時のものだった。
時間が……戻ってる……?
夢かと思ったが、夢は夢だと気づいたら覚めることが多い。それはないようだ。
そして、1週間戻っただけじゃない。
雛子とのこと、会社に勤めたこと。それらが、消えた。
雛子と大学時代に出会ってから3年、いわゆる逆玉という奴で結婚することになった。僕が入った会社は、雛子の父が経営している大企業。
僕の記憶は、雛子の体温だって覚えてるのに。
雛子も、課長も僕のことを知らず、スマホにも僕が撮った写真はない。これまでのことは全て嘘だったのか……?
ありえない……あるはずがない!
映画やアニメ、マンガ。それらで見ることが多い、タイムリープってやつ。そんなものに、僕が巻き込まれたとでも言うのか? タイムリープなんてものを聞いてわくわくしないかと言われれば嘘になるが、それはあくまで御伽話の中だからだ!
僕は何もしてない……。僕じゃない誰かが、タイムリープをしている……!
「僕の時間、返してもらう!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます