災いのもと

真城夷澄

電子メール 一通目

 おーい。

 このメールが君たちに届いた頃、君たちは何をしているのかな?

 平日の昼間だし、君たちの多くは、きっと勉学や業務に勤しんでいる頃なんだよね。なにも、皮肉で言ったわけじゃないよ。もちろん、すぐに開いてくれた君たちには『拡散』っていうお仕事が待ってるだろうからさ。

 ああ、これもまた皮肉に入ってしまうんだろうね、たぶん。難しいな、うん。

 ごめんね。少し急いでて。

 ……何が言いたいのかって?

 そうそう。それが本題だよね。

 うう、参ったな。

 それがね……僕、謝りたくてさ。

 いままでのこととか、これからのこととか。

 君たちのこととか、この星のこととか。

 たくさんあるんだ。

 君たちにしてあげたかったことの全部、出来ないかもしれない。

 本当に、心から申し訳なく思ってる。

 確定したわけではないのだけれど、少し不安になってね。

 今回、伝えたかったことはこれだけだよ。

 本当に、本当に、ごめんなさい。

 ……ん? 誰だって?

 名乗り遅れてごめん。

 でも、何て言ったらいいのか分からなくて。

 名前なんて呼べるものは、僕にはないから。

 君たちになら、好きに呼んでもらっても構わないよ。

 ……うん。ありがとう。

 じゃあ、今日はこの辺で。

 またね。 

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