宿泊施設とお客と私(豚)
@Albatross
第1話 ようこそお客様
私は豚である。
詳細を言えばオークである。 肌はやや緑がかかり、一本だけ左の額から角が生えている(寝づらい)。 ただし大学を卒業できるだけの知性はある。 しかしまともに就職できるだけの度胸と頭の回転と運はない。 あと性格も悪い上に臆病でコミュ症だ。 腹も出ている。 顔は十把一絡げレベル。 胸はまあまあある方だが意味が無い。 腹の方が出ているからだ。
しかし電話すら自分からかけれないほどコミュ症と臆病さを拗らせていた私を拾ってくれた仕事先がある。 それが今働いている場所だ。 貯金も底をつき、行き倒れるよりはマシかなと反政府組織に拾われそうになっている所を見かねた従姉妹(可愛い&公務員)が紹介してくれた。 昔から良い子だとは思っていたけどまさか救いの天使にまでなってくれるとは思っておらず、いまさらながら自分の分のおやつを多めにしていた事に罪悪感が湧いている。 謝るべきかどうか、もう何度も何度も逡巡している。
とりあえずはこうして日記のような小説のようなものを書いて、もう少しでいいからフロントに優しくして貰えるよう頑張ってみる事にした。 暇だったら読んでくれるとありがたい。
「いらっしゃいませ」 笑顔でお客様を迎える。
「はい、ベルタ・ナーデでございます」 電話を取る。
無言でカタタタタタとメールの返信をする。
お客様の要望を聞いてできるだけ沿うようにアレンジする。
「ああチェックインでございますか」 部屋は空いているかそれとももう綺麗にされているか? それが問題だ。
「駐車場がご入用ですか」 すいませんここに着いて聞いてきた順から駐車場割り振るんすようち。 あと数もくっそ少ないんすよ。 予約受付メールにも予約画面にも書いてあるのにキレられても困る。
無言で後の日の予約を確認。 あーこいつクレカ通らねぇな電話しなきゃ…怖いな…
「なるほどつまりこのような問題があると」 クレーム処理、と言っても話聞いて正社員に伝えるだけ。
などが私の仕事内容だ。 基本なんでもする。
次話から私の日常を書いていく。
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