じいちゃん、私大人になったよ

佑樹

じいちゃんと幼少期

第1話 じいちゃんと私たち

「じいちゃん、一緒にテレビ見よ!!」

「ええよー、ほんならマサも呼んどいで」



自宅から徒歩3分。

そこに、じいちゃんの家はあった。


兄の将史(まさし)と私、佑樹(ゆうき)、妹の風花(ふうか)の3人兄妹。

妹は生まれつき身体が弱く、この頃は入退院を繰り返していて父も母もずっと妹に付きっきりだった。

まだ幼かった私と兄は2人で留守番できるはずもなく、じいちゃんの家へ預けられることがほとんどだった。


この頃の父と母の記憶はあまりなく、じいちゃんとばあちゃんの記憶だけしかない。

一緒に公園へ出かけたり、ルールもわからないまま将棋をしたり、テレビを見たり、

ばあちゃんに怒られて、じいちゃんに泣いて縋ったり。


2人がいつもそばにいてくれたから、父と母を恋しいと思ったことはなかった。それはたぶん、兄も同じだったんだと思う。



じいちゃんは凄く優しい人だった。

母から聞いても、怒ってるのを見たことがないというくらいには穏やかな人だった。


そのかわり、ばあちゃんはしっかり者で小言が多かった。

じいちゃんは尻にしかれていたけど、上手くバランスが取れていたように今となっては思う。










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