メール・ゲーム

DAi

第1話 遭遇

 その日。

 ただ僕は、いつもの教室で、いつものクラスメイトと、いつもの先生から授業を受けていた。


「ん……?」


 クラスメイト達が次々と席を立ったかと思うと、ついには先生までもが教室を後にしてしまった。その女……下田和乃しもだ かずのを残して。


「やっぱり」

「やっぱり?」


 一歩一歩、長い髪を揺らしながら、下田さんは僕に近づいて来た。なんだ? やっぱり、って。


「どうもおかしいと思ってた……確かに元々、あたしは上社くん、貴方に勝てたことはなかった。テストにしろ、スポーツにしろ、ね。けど……あたしは絶対に勝てる手段を手に入れたのに……それでも勝てないなんて、あんまりよ!」


 激昂していた。教室に残ってしまった僕に気付いてから。僕の所まで辿り着くと、僕の机を叩きつけた。そしてズレてしまった白いカチューシャを直しながら、僕を睨んだ。


「なるほど……あなたはまだ知らないみたいね。“参加者”が“参加者”を見つけたらどうなるか、ってこと!」

「!?」


 参加者……今下田さんは、参加者と言ったか!? いや……特別珍しい言葉じゃない……僕が思っている“参加者”とは限らない……!


「なら、あたしが教えてあげる。

 “参加者”はそれを見つけたら、ゲームをしないといけない。そうして負けた方は……“参加者”としての資格を失うの!」


 何を言っているんだ、こいつ……!

 だ、だけど、下田さんが言っていることが嘘か本当か、0時にメールを見れば分かるか……。

 そして、もしこれが本当だとしたら……。


 “メール・ゲーム”、とはこういうことか……!

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