第5話






 用意された木材は先端を杭のように加工する。ベッドとテーブルの家具ができたので今度は家を作る。

 地面生やした硬いキノコに杭を打ち込んで固定し、弾力性のある土台とする。数十個の木の杭を基礎として下に打ち込んでから、支柱を除いて杭の上に溝を作る。その上に丸太を半分にした状態の奴を並べて床を作っていく。

 とりあえず、屋根はいらないから壁と床だけは整える。普通なら虫とかもくるだろうが、まわりは殺虫剤をばらまいてある。入口付近には殺虫キノコを配置してあるので食べてくれる。

 つまり、この洞窟には虫がいない。なので壁くらいでいい。まあ、屋根は後回しでいいということだ。

 フランとステラに手伝ってもらいながら支柱の間に丸太を設置して壁を作る。丸太には穴を空けて中に上から柱を入れて崩れないように補強しておく。

「おお、壁になった」

「まだまだあるからな」

「ん、頑張る」

「次はこっちですね」

 こちらは二人で作業している間に穴の開いた地底湖の近くではエミリアとアナが竈を作っている。近くにはテーブルとイスが置かれている。

 順調に居住空間も整っていっている。鉄こそないけれど、岩をエミリアの聖剣と魔剣で切断して鉄板の代わりにしたりといったことをしている。

「こっちはできました。ご飯をお願いします」

「作業はひとまず置いて、食事にしよ」

 エミリアとアナが二人がやってきた。確かにいい感じなので食事をしよう。

「楽しみです」

「ん、ご飯、なに?」

 四人をみていると、誰もがわくわくと期待の眼差しでこちらをみてくる。確かにまともな娯楽はすくないので食べることくらいしかない。もう一つあるにはあるが、そちらは彼女達にとっては負担だろうしな。

 しかし、無人島生活というのは一人だとかなり大変だな。寂しくてかなりつらい事になるだろう。幸い、俺はエミリアと出会って、その後にフランやステラ、アナと出会えたからかなりましだな。

「美味しいのを期待します」

 今飯だな。お腹を空かせている妻達に食事を作らないとな。

「無茶をいってくれる」

 食べられるのはそう多くない。きのこ類から、松茸を選んで作ってからスライスして焼く。これに魚を合わせることで松茸の匂いが移っていい感じになるだろう。

 味は塩だけだが、まあ仕方ない。いずれ住居環境が整えば外に出て探索しないといけない。それに船に残してきた奴等や、船から出て生活している人もいるのだ。彼等から接触があるかもしれないしな。

 四人で楽しい食事をしてから家作りに戻る。夜は海から手に入れた蟹を石鍋で煮込んで食べた。




 拠点を手に入れてから一週間。エミリアと一緒に、フランとステラ、アナの身体を毎日開発した。お蔭で三人の身体はとても柔らかくなった。

 それに家と洞窟の扉も無事に完成したのでキノコベッドでしっかりと休めるようになった。次に開発するのはプライベートビーチである船とは反対側の場所だ。

「ここはどうするんだ?」

「食事の幅を広げましょう。美味しいのは嬉しいですから」

「となると海藻や魚の取り方を考えないとな」

「潜ってとりますか」

 エミリアが光の銛を持ってぶんぶんとふっている。聖剣がかわいそうである。

「網もないから麻痺薬でもばら撒くのが手っ取り早いが、それだと取り過ぎだからな。まあ、一先ず干物を用意しないとな」

「あの、お風呂が、欲しいです……」

 おずおずとフランが伝えてくる。確かに水浴びだけじゃ辛いな。水路を作って水を引き、プライベートビーチに露天風呂を作るのはいいだろう。

「エミリアとアナで木材を運んできてくれ。俺とステラ、フランで露天風呂と水路を作ろう」

「了解。それじゃあいってきます」

「仕方ないわね」

 エミリアとアナがいったので、俺達も近くの浜を掘っていく。

「貝、いっぱい」

「だね。でも、食べられるのかな?」

 俺が木で作ったシャベルで掘り出した土を二人がわけていく。そこに沢山の貝がでてきたようだ。

「貝にも毒があるのもあるが、解毒ポーションで砂抜きをすれば問題ないだろう」

「魚ばりで飽きてきた」

「ですよね。貝に期待です」

 ある程度掘ったら、石を敷き詰めていく。これはエミリアに後で焼いてもらえば綺麗に形になるので問題なし。

「戻りました」

「いっぱい持って来たわよ」

 二人は大男でも持てないような大量の木材を持ってきてくれた。どんどん運び入れてくる。

「これで水路と壁を作れるな。まずは露天風呂をある程度覆うか」

「はい。アナは先輩を手伝ってください。私はお風呂を仕上げます」

 エミリアはみただけで風呂の作り方をわかったようだ。すぐに石を溶かして綺麗に整えて浴槽を作ってくれる。その間に柵と脱衣場を作っていく。

 それが終れば木をくり貫いて水路を作っていく。この削る作業は石のミノを作ってフランとステラに任せる。その間に三人で水路の基礎を作る。

「難しいです」

「ん。できるかぎり平らにするの難しい」

「頑張ってくれ」

「まあ、ある程度は問題ありませんよ。洞窟の方が高い位置にありますし」

 滝の部分から水を引いて浴槽に入れていく。余った水は全部海に流れるようにしてある。しかし、これだと石鹸を使いだすと問題がおこるかもしれない。焼却させるほうがいいかもしれない。

 水路ができたら新しく穴を二つ追加しておく。一つは湯水を捨てる用に、もう一つは温度調整用にしておく。どちらもエミリアの聖剣を設置してもらう。実際に水路から水を流し込んで一つ目の浴槽に水をはって聖剣を入れる。瞬時に沸騰したので入る予定の浴槽に水路からの水と貯水槽から熱湯を入れて丁度いい温度にかえる。

「聖剣の無駄使いよね」

「でも、お湯があったかいです」

「ん、疲れがとれる」

「これでお酒が有れば最高なのですが……」

「無理だろ。とりあえず、入ろうじゃないか。いや、食べながら入るのもいいか」

「いいですね」

 すぐに取ってきたかにを熱湯の方に入れて茹でる。それから木の板に乗せて湯船に浮かべさせる。

「じゃあ、皆で入るか」

「え?」

 服を脱いでさっさと入る。

「ほら、皆も入ってこい」

「そうですよ」

 エミリアも服を脱いで入ってくる。

「恥ずかしい、です」

「ん、気持ちいい。アナも」

「わかってるわよ……」

 服を脱いで三人も恥ずかしそうに入ってくる。すぐに固まって大人しくしている。

「あ、先輩。お酒は薬っていうから、ひょっとしたらできるんじゃないですか?」

「酒は百薬の長っていうし、一応条件付きなら薬になるしな」

「では、お願いします」

「女子高生がお酒を飲んでいいのか?」

「いえ、もう成人の年齢は軽く超えていますから大丈夫です」

「わかった」

 木のコップに注ぐ。試しに飲んでみるとお酒が入っていた。

「できたぞ。飲んでみるがいい」

「もしかして、日本酒とかもできます? もっといいお酒とか」

「できるかもな。よし、色々と試すか」

「私も飲みたい」

 アナも飲みたいようなので、三人で酒盛りをするとしよう。

「わ、私は……」

「飲みたい」

「成人してるし、こちらの世界じゃ大丈夫よ」

「ならみんなで飲むか」

 色々なお酒よ呼び出せることが判明したので楽しむ。これはかなり嬉しい。高級なお酒もただで飲み放題だ。

 酒盛りが終わればいい気分のまま四人と一緒にベッドに入ってそのまま四人とまとめて食べさせてもらう。とても美味しかった。





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