すれ違った先に

第1話 出会い

 朝学校へ来てみると、いつも通り。

机の上に落書きが。

もう嫌だ。

いつもいつも、どうして私ばかりこんな目に......。

一人になりたい、その思いでふらっと教室を出る。

向かう先は屋上。

入ったことがないから分からないが、たまに鍵が開いているらしい。

「......開いている」

そっと扉を開くと、清々しいまでの青空。

一歩踏み出すと、硬いアスファルトは熱を持っていた。

そのままフェンスから身を乗り出す。

ようやく、自由になれるかもしれない。

身を投げようとしたが、それは叶わなかった。

「何、やってんだよ」

引っ張られた勢いでそのまま後ろに倒れ込む。

しかし、痛くはない。

「あ!申し訳ございません......」

慌てて退き、顔を見て、私は息を飲んだ。

千春くん、そう口に出してしまいそうだった。

やっと、会えた。

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