小学校で習う漢字で物語をつくってみた

小学校

小学５年生（６級）

５年生① 読み

　桜の木の下に、羊の群れが現れた。羊の集団が大暴れしたので、均一に生えていた桜の花びらがたくさん落ちて、減った。そこへ飼い主の妻がやってきて、言った。

「大暴れするの、禁止！！　再び規則を破ったら、絶対に許さないからねっ！」

　しかし羊たちは再度、勢いを増して暴れたので、木の枝が折れた。でも木の幹は折れなかった。

　とうとう飼い主もやってきて夫婦そろって注意した。

「リーダー羊よ、この犯罪の責任を取って、さい判に行きなさい」

　しかし羊のリーダーは言った。

「断る」

「せめて謝りなさい」

　羊は謝ろうか迷った。でも久しぶりに飼い主に逆らいたい気分だった。

「いやだ」

「そうか。リーダー失格だな」

「それもいやだ」

「うぅむ……じゃあ、条件をあげよう。リーダーでいたいなら、敵のオオカミにできる限り近寄って、君の強さを証明しなさい」

「そんなの、危（き）険すぎるよ！　不可能だよ！」

「オオカミに接近できないなら、君はここに住んではいけない」

　飼い主は、表情を変えずに強く主張した。

「わかった……質問なんだけど、そのオオカミ群団はどこにいるの？」

「近くの河川と鉱山の境にいるよ」

　羊は興ふんしながら修行の準備をして、独りで旅に出た。慣れていない険しい道を歩いて、鉱山の近くまで来た。そこには銅がたくさんあった。酸素が少なかったので、羊は少し苦しくなった。

　羊はオオカミを発見したので、べーっと舌を出した。すると一匹のオオカミが羊の存在に気付いた。

「やあ、羊さん。護衛も付けずにここに来たら、確実に永遠に帰れないよ？」

「どうして？」

「羊さんのお肉が豊富で美味しそうだから」

「食べないで。僕の祖先の毛で編んだ布をあげるから」

「布よりも、弁当がほしいぜ……」

　オオカミは舌なめずりをした。

「俺のリーダー率いるオオカミ群団は、腹が減って死にそうな状態なんだよ。食べなきゃ損だ」

「非常に評判の良い森の演そう会の、招待状をあげるから」

「了承しよう」

　そして別れ際にオオカミは言った。

「次会ったら、恩返しに羊さんの志願するものをあげよう」

「じゃあ、適当に日本製の仏像がほしい」

「よし。またな」

「うん」

　羊はすぐにそこから移動した。快適な風がふいて、羊の体毛をゆらした。