第16話 ヤクザ×兄

スカトロ、排泄飲注意


『秘密の場所』

『「好き」以外の言葉で愛を告げる』



「……なと、真人」

「ん、ぐ、っげほっ、げほっ」

 肺になだれ込む酸素に蒸せ返る。急に明かりが目に入り、目が痛い。

「起きたか」

「……なに……なんだよ、なんだよここは!!哲太は!?」

 そこは石畳の、まるで牢獄のような部屋だった。俺は手首に鎖付きの枷が付いている事に気がついた。そしてそれはガラガラと音を立てながら段々と上に引き上げられ、俺は強制的に立たざるを得ない。

「哲太はほら、そこにいる」

 壁際でスーツの男が、俺の手枷に繋がる鎖を操作する装置を動かしながら、反対側の壁を顎で示した。そこには眠っているのか、床に横たわる哲太がいた。

「処女喪失してないとは言え、三回直腸洗浄したからな。そりゃ疲れてるだろう」

「お、お前なんなんだよ、変態野郎かよ」

 ゾッとした。俺は服こそ着たままだったが、この部屋も手枷や鎖も、普通じゃありえない。こんなのAVの中か漫画の拷問物でしか見たことがなかった。

「そう、まあそんなとこだ」

 ガラガラと鎖が引き上げられるのを、やっと止められた頃には、俺は爪先立ちするくらいだった。このままこんな体勢でいたら足でもつりそうだった。

「こないだお前らがおいたした店ね、俺のシマなのよ。監視カメラで見てね〜」

 別の鎖が二本降りてきて、男はそこに棒を引っ掛ける。俺の胸くらいの高さで、なんとなくそのあとが予想ついた。

「つまるところ、一目惚れしたわけだ。真人、お前に」

「うっ、う、」

 足を蹴られて、腕に体重が一気にかかった。それに怯んでいる隙に、男が俺の右足を掴んで棒にかける。反対の足も掛けられて、俺は宙ぶらりんの状態になった。

 腕と棒の鎖が調節されて、男の腰くらいの高さまで下げられた。膝がベルトで棒に固定され、この状況からもいよいよ逃げられなくなる。

「結構いいケツしてんな」

「さ、わんな、」

 身動き取れないのをいい事に、男が俺のケツを叩いた。それから布越しに割れ目をなぞってきて、気持ち悪かった。

「さあ、じゃあ真人くん。汚いもの全部出してもらおうか」

「は、あ?や、やめろ、触るな」

 男の指が布の上からぐりぐりとケツの穴を抉ってくる。不快感に暴れると、男はケツを叩いてきた。それにびくんと身体が反応すると、楽しげに何度も叩いてくる。

「ちなみにこれ、全部撮影してるから」

「はあ?!な、んでだよっくそっ」

「当たり前だろ?お前らが店で壊した代金、身体で払って貰わなきゃ」

 つまりは、その手のAVとして売られるわけだ。最悪だった。なんとかして逃げられないかと腕や足を動かしたところで、肩や関節が無理に引っ張られて痛むだけだった。

「真人くん、直腸洗浄しましょうねえ」

「ひっ、い、」

 ジャキン、ハサミが布を切り裂く。もう一度ジャキン、と音がして、指が直にケツをなぞった。

「真人くんも処女?てっきり哲太に犯されてると思ったよ」

「な、なんで」

「あれ、噂になってるよ?真人は哲太に毎晩鳴かされてるってな。だって真人可愛いもんなあ?哲太の執着もわかる」

 今しがた布を裂いたハサミの先で、頬を撫でられる。反吐がでるような視線に軽蔑の意を表すと、男は笑うだけだった。

「まあ、どっちも処女なら美味しいな」

 舌舐めずりするさまは、爬虫類のようだった。



「うっ……ううっ……」

「真人結構耐えるなあ」

 でかい注射器のようなもので、直腸にぬるい湯が注がれた。ケツを満たしたそれに下剤は入っていなかったが、力を抜けばケツから漏れてしまいそうだった。

「哲太も中々耐えてたけどな。やっぱりケツも鍛えてんの?」

 フッ。

「ひっい」

 びゅるっ。ケツ穴に息を吹きかけられ、変に力が入ってお湯が少しこぼれた。まるで腹を下したようだ。羞恥心に耳が熱くなった。

「はは、お漏らしなんて恥ずかしいなあ、真人?」

「や、やめろ……っ」

 男の手が腹を撫でた。俺は漏らしそうなのを堪えるのでいっぱいいっぱいだった。

 そんな俺を、さらに理不尽が襲う。

「頑張る真人にご褒美だ」

「う、うああ……いやだあ、やめてくれ……」

 穴に注射器の先端が差し込まれる。もうたっぷり満たされたそこに、追加で湯が注がれた。

「うううーー……んーーっく、あ、あ、あ、」

「さあ?可愛いところ、ぶちまけちゃえよ」

 ばちん。

「ひああっ」

 ぶびゅっ。びゅるっ、ぶりゅっ、ぶしゅあっ。

「ああっあー、ああっああっ」

 一度決壊すると、それはいともたやすく呆気なく、止めどなく胎内の湯は全て出て行った。溜め込まれた汚物とともに。



「俺さ、たまんなく好きなんだよね。ケツ穴が必死でヒクヒクしてるとこ見んの」

 出し切った疲労感に俺が脱力していると、再び注射器が穴に差し込まれる。

「ああ、いやだあ、も、もうやだ、やめろ、」

「まあまあ。弟は三回もやったんだ。お兄ちゃんならその倍はやらないとな?」

「んあああっっあっ」

 ぎゅるぎゅると湯が注ぎ込まれる。最初にされた時よりも勢いよく胎内が満たされていった。そしてそれは一回に留まらず、二回、三回と注がれた。

「あああっだめ、だっあ、ああっあああ」

 ぶびゅっぶしゃー。少しも耐える事なく、俺は二回目を放出した。下痢便を漏らしたみたいに、穴がひりひりと痛んだ。

「堪え性がないなあ?」

「ああっ、はあ、んっあ、あ、」

 びたびたと湯が落ちていく。今度は汚物はほとんど減っていた。

「ったくしょうがねえな」

 穴がぽっかり開いたままのようだった。そんな惚けた俺に男は呆れながら、寝ている哲太を蹴り起こした。

「うぐうっ」

「や、やめろっ哲太に手を出すな」

「ばーか、そんな変態みたいな恰好しながら何言ってんだ」

 男が嘲るのを、俺はグッと歯嚙みして耐えるしかなかった。男はぐったりした哲太を引きずるように、俺の方へ連れてくる。汚物で足が汚れるのがひどく申し訳なく感じた。

「さあお兄ちゃん?弟を汚さないよう、耐えるんだよ」

「……あ、あ、やだ、嘘だ、嘘だろ」

 男は哲太の腕を、俺の足を引っ掛けた棒にかけさせる。俺の穴の前に、哲太の顔があった。

「何秒で顔射しちゃうかな」

「ううう、あ、っく、あ、あ、」

 男は容赦なく、穴に注射器を差し込みお湯を注いだ。二回、三回、四回。今までより多い量の湯を、俺は必死でケツに力を入れて堪えた。

「んんっ、んーーっく、う、う、」

「ほら、哲太」

「うう、ん」

 ぱちんぱちんと男が哲太の顔を叩く。目を覚ました哲太は、俺の穴を目の前に、なにを思うだろう?

「お兄ちゃんの可愛い穴だ。舐め舐めしてやんな」

「な、に、やだ、やだ、やめろ、やめろやめろやめろ」

 ぬとっとした熱が淵を撫でた。それがずぶりと穴に入ってくる。

 ああ、そんな……。

 じゅぶっ、じゅぶっ。

 舌を抜き差しするたびに溢れる湯を哲太が啜っていた。いや、もはや直接、穴に吸い付いて、まるでジュースみたいに飲んでいる。

「哲太……哲太……」

 きゅうっと堪えたところで、哲太の舌がレロレロと動いて中の湯を啜るだけだった。

 こんなひどい事、ない。

 俺はただ、弟に汚水を飲ませるだけしか出来なかった。



「うっおええええ」

 汚物を吐き戻す弟を横目に、男が再び注射器を差し込む。もはや上げる声すらなく、されるがまま注入された。

「今度はグリセリンだから効くぜ?」

「は……」

 ぐぎゅっ、と腸が動くのを感じた。さっきのお湯なんか目じゃないくらい、ぐりゅぐりゅと腸が動き出す。

「ひっはあっはあっはあぅっうああっやだっやだっ」

 もう出るものなんてないのに、腸がへし切れそうだった。気持ち悪い、痛い、それから。

 ぐぬっと、穴に熱が当てがわれる。

「処女にさよならは言った?」

「はっあっぐっあ、やだっあ、あっあっあああっ」

 じゅぬっ、ずぐぐっ。

「んっっっぐ、ああっ、ひっはあ、っはあ、はあっっぐあっ、あ、あ、」

 熱だった。

 とにかく熱くて、ケツの中が溶けてぐずぐずにほろけて、零れ出る腸液と一緒に溢れてるようだった。

 熱い痛い苦しい。

「くっそ、あ、っぐ、う、う、う、」

 じゅぶんじゅぶんと抜き差しされる。気持ちよくなんかない、誰だセックスが気持ちいいなんて言ったやつ。くそが、苦しくて、苦しくて、苦しくて、それだけじゃないか。

「ああっああっああっっ」

 俺は仰け反り喘いだ。苦しい、早く、おわれ、おわれ、おわれ。



「ここな、俺の秘密の場所だから誰も来ねえよ」

 がらがらがら、どすん。

「あぐっ」

「わりいわりい」

 鎖が緩んで床に落とされる。幸い、床の汚物は水で流した後だった。床に兄弟二人で転がっている。

「さ、可愛いお兄ちゃん」

「もうしんど……」

 襟首つかまれ身体を起こされる。俺はもうボロボロだった。許してほしい。許されないならいっそ殺してくれ。

「今度は弟と一緒に、気持ちよくなろうか」

 気持ちよかったことなんて、ありはしない。



「あ"あ"あ"あ"っぐあ、っあ無理、い、むりだからああ"あ"あ"っ」

 哲太に跨り泣き縋る。すっかりビンビンの弟を咥えながら、男が入り込もうと無理をした。

 無理に開かれた穴が悲鳴を上げた。切れる、切れちゃう、切れる、切れる。

「あああっああああっ」

「真人、そこまで泣きじゃくられると、余計燃える」

 ずぐっと無理に亀頭が刺さった。穴は熱くて、限界だった。

 切れる、切れたら死んじゃう、死んじゃう、死んじゃう。

「あああっ」

 一息に奥まで差し込まれて、俺は仰け反る。中から裂けそうだった。もう無理だ。心が死にそうだった。

「ああ、ああ……」

 弱ってるくせに萎えない哲太のそれも、ビンビンの男のそれも、俺を中から引き裂こうとする凶器だった。

 壊れちゃうよ、なんて、どこの同人誌だよと思いながら、口にしてしまうものだ。

「こわれ、ちゃう……」

 肩を強く掴まれ、もういっぱいいっぱいのそこに、奥まで深くに刺さる。

 死を悟ったのか、俺は漏らして、そのまま気を失った。





「一生、離さないよ真人」

 呪いのような言葉に、俺は静かに目を閉じた。



終わり

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