世紀末不器用☆伝説

朱虹

プロローグ

|子供の頃、テレビで「TVチャンピオン」をよく見ていた。料理の腕やら早食いやらを一般の参加者が競う番組なのだが、中でも「手先が器用選手権」は手に汗握る戦いが繰り広げられていたことを覚えている。

 1円玉やトランプのカードを文字通り器用に操る選手たちを見て、私はごはんの咀嚼の合間にぽつりと呟いた。

 「あーあ、もしも手先が不器用選手権とかあったら、予選突破くらいはできんのになあ~」

 そう、私はかなりの不器用である。器用貧乏なる言葉がうらやましい。

「器用なだけいいじゃないか!生きやすいじゃないか!」と足を踏み鳴らすくらいに。ああ、そつなくなりたい。


 このエッセイは、自分の数々の不器用エピソードから、蔵出し厳選してお届けしたいと思います。

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