　テーマ性（せい）と完成度（かんせいど）には関係性（かんけいせい）がない。

　厳密（げんみつ）には違（ちが）う気（き）もするが、わたしはあえて関係性（かんけいせい）がないと結論（けつろん）づけています。

　テーマ性（せい）と完成度（かんせいど）の関係性（かんけいせい）については意見（いけん）が分（わ）かれることを先（さき）に断（ことわ）っておく必要（ひつよう）があるでしょう。

　テーマ性（せい）とは作品（さくひん）においてテーマがどの程度（ていど）色濃（いろこ）く現（あらわ）れているかです。

　文学（ぶんがく）作品（さくひん）は作者（さくしゃ）の内面的（ないめんてき）な感性（かんせい）によりテーマを書（か）く。

　一方（いっぽう）でエンターテイメントでは他者（たしゃ）の感性（かんせい）によりテーマを書（か）く。

　他者（たしゃ）の感性（かんせい）によりテーマを書（か）く場合（ばあい）、テーマの定義（ていぎ）はあまり厳密（げんみつ）にはなりません。

　エンターテイメントではテーマそのものが厳密（げんみつ）にならないので他（ほか）の部分（ぶぶん）で補（おぎな）います。キャラクターなどが分（わ）かりやすいですね。ビジュアルも大事（だいじ）です。

　近年（きんねん）ではテーマも大事（だいじ）ですがキャラクターがかなりの比重（ひじゅう）を占（し）めるようになりました。

　キャラクターによって生（う）まれる物語（ものがたり）はあってもテーマから生（う）まれる物語（ものがたり）は少なくなってきました。

　これはキャラクターとテーマのどちらが良（よ）いかではなく流行（りゅうこう）のようなものだと思（おも）っています。流行（りゅうこう）の理由（りゆう）としては感想（かんそう）がいつでも自由（じゆう）に交換（こうかん）できるためだと思（おも）っています。

　テーマは個人（こじん）によって受（う）ける印象（いんしょう）が違（ちが）います。これは１人（り）で作品（さくひん）を読（よ）むときにはかなり大事（だいじ）です。作品（さくひん）と対面（たいめん）して作品（さくひん）と対話（たいわ）する。そして自分（じぶん）の感想（かんそう）を得（え）て終（お）わる。

　しかし現在（げんざい）は違（ちが）います。

　多（おお）くの人（ひと）と感想（かんそう）を語（かた）り合（あ）う機会（きかい）があります。感想（かんそう）を語（かた）り合（あ）うときテーマについて話（はな）し合（あ）うと個人差（こじんさ）が大（おお）きすぎて会話（かいわ）にならなかったり最悪（さいあく）喧嘩（けんか）になります。これは感想（かんそう）のズレです。

　キャラクターを語（かた）る場合（ばあい）はズレが少（すく）ないです。テーマと違（ちが）って作品中（さくひんちゅう）で明確（めいかく）に文章（ぶんしょう）で書（か）かれているしイラストがあればズレはさらに小（ちい）さくなります。お互（たが）いに全然（ぜんぜん）違（ちが）うことを話（はな）すより同（おな）じことを話（はな）したいのが人間（にんげん）です。コミュニケーションです。だからみんなと感想（かんそう）を共有（きょうゆう）するために重要（じゅうよう）なキャラクターは作品（さくひん）の要素（ようそ）としても比重（ひじゅう）が重（おも）くなるのです。

　エンターテイメント小説（しょうせつ）ではテーマよりもキャラクターが大事（だいじ）だと言（い）えるでしょう。

　キャラクターを中心（ちゅうしん）とした作品（さくひん）の完成度（かんせいど）はキャラクターで８割（わり）方（がた）決（き）まります。

　テーマすらもキャラクターから派生（はせい）して生（う）まれるでしょう。

　ゆえにテーマ性（せい）と完成度（かんせいど）は関係性（かんけいせい）がありません。エンターテイメント小説（しょうせつ）におけるキャラクターはテーマよりも高（たか）い次元（じげん）に燦然（さんぜん）と輝（かがや）く太陽（たいよう）です。良（よ）いキャラクターを思（おも）いつくことはキャラクターを生（い）かす世界観（せかいかん）を生（う）むことになり、キャラクターを生（い）かす展開（てんかい）を生（う）み出（だ）し、キャラクターの在（あ）り方（かた）がテーマとなっていくでしょう。