哀れな蝋人形

ママロット

第1話このまま

私は、そっと目を開けた。初めて目を開けてみた。開く視界。私は初めて見る世界に一種の絶望を感じた。そこには、いつもと変わらない部屋があるからだ。いつからだったか。ここへ生まれて、ここにこうして寝て、起きるようになったのは…。私は一生こうして生きるしかないのかもしれない。


「あぁ、それも一興。」


その部屋には、じわりと額から溢れる脂汗を湿った手で拭い、黙然と考え込む男がいる。

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