輩
生まれてくる母性本能。。それを自虐すること。。
そもそも、私の目的通りじゃないかとうすらぼんやり考えていた。
中絶するために妊娠するように仕向けたのだから。。。
こんな子宮。。生殖器があるから私がこんなになったんだ。
ぶっ壊れてしまえばいい。。そんな風にも考えていた。。。
まさか、産みたいと思うなんて。。。
胎教っていつからか知ってる?
妊娠三か月頃からだって。。
モーツアルトが胎教に良いって言ってもお母さんがカッタルイ曲だな~と思えば、赤ちゃんに伝わるのはカッタルイっていう感情なんだって。。
そりゃそう。。言葉はまだ分からないんだから。。。
そう。。あの頃。。
妊娠三か月の頃、私は不安で仕方なかった。
あんなに下してやるって思っていたのに、妊娠を知って産みたくなっていた。
不安だったのは彼が妊娠を知って全く会いに来なかったから。。
その後、別れてくれって、下してくれって。。。
不安~殺される恐怖。。そんな胎教だったんだろうな~
でも、私。。。産もうか迷った。。
そして四か月過ぎて下そうと思った。。
死刑宣告の胎教。。。
でも、私は最も自分を傷つけたくなった。。
だから五か月手前まで粘って中絶した。。
執行猶予されている死刑囚は苦しむんだって。。。
苦しむ胎教。。で、執行。。。
結果は双子。。。私は一度で二人も殺したんだ。。
しかも最も残酷な殺し方だったのかもしれない。
それは。。。全部自分に跳ね返る。。
ところがそれを喜ぶ奴がいるんだよ。。
私が両親の所有物にされて育ったのと同じように
私は私の胎児を所有物のようにして、自分を傷つける自虐の道具に使った。
今思うと、あの親にしてこの子ありだった。。
そんな風に自分を卑下して考えると、
心の奥深くで息を潜めている「輩」が、
得意満面の笑みを浮かべて自分の出番だとスタンバイする。。
「輩」は私の自虐の生地。。歌舞伎町で生まれたんだ。。
でも、完全に私を乗っ取ることはできない。
だから、私が無意識の時、エキセントリックになっている時、
夢の中で暴れだす。時には、私にとって人生の重要な場面に
短絡的な衝動で行動する時のエネルギーにもなったりする。
私たちのような近親姦被害者は、心の深淵まで近づいていって、書き換えをしないと人格は変わらないって。。
壊れた人格は修理可能。。でも、殺した人格は元には戻らない。
数年前、「ありのまま」って言葉が流行ったけれど、
「ありのまま」って残酷だね。。。
心にザクッと抉れたことまでありのままなんだよ。。
被害だけのせいにはしない。
自分で自虐して抉った部分もあるのだから。。
そこを穴埋めするのが私が作り出した「輩」なんだよ。
そして「輩」とも共存しなけりゃならない。
それがありのままっていうこと。。
無視したり、封じ込めたら大暴れする「輩」。
だから時々、こうやって悪びれて、悔しかったでしょ!って寄り添ってやる。。。
私なりの癒しなんだ。。
だから落ち着いたら、又、少しの間眠っていてねって。。。。
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