愛してるの数だけ嫌いになるの

向き合っている時はあなたが好きで、


背いている時はあなたが嫌い


好きと嫌いは表裏一体だなんて誰が言ったんだろう






 私は帰ってからずうっと、お酒を飲んでいる。


 一緒に借りたワンルームマンションはとても狭くて、二人の温度がいつも触れ合っている理想的な部屋だった。けれど、体温が触れていても、心が触れ合っていないと、こんなにも苦しい。些細なすれ違いも幾重にも重なると大きな亀裂を生む。本当に愛してくれているのかがわからなくなって、彼の気遣いですら鬱陶しいものに変わっていった。どうせ、愛してくれていないくせに。いつしか、そう思ってしまい、何も信じられなくなった。



泥沼に浸かる。愛しているの数だけ嫌いが増えていく。

彼を愛しているからに、他ならないのだけど



酒に逃げても、どうしようもないのは分かっている


けれど、ほろ酔いの気怠い意識の中にいれば、素直に甘えられるような気がして、


懲りずに今日もまた、彼を待つ間の晩酌をする。


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