学校のお悩み相談室

夕黄

第1話

「あー、だるいのじゃ。だるすぎて鼻血が出そうじゃまったく。雪の奴・・・トマトジュース買ってくるのはいいが全然戻ってこん」


そこは暗い。暗闇奥底に広がる六畳一間の部屋。


中央にはガラスのテーブル。それを挟み込むように対のソファー。1つは黒1つは白。しかし、白いソファーの腕掛けは赤く染まっている。だいぶ前に染められたのか、その赤が落ちるとは思えない。


壁には本棚がずらりと並べられている。押し並ぶ大量の本は埃にまみれており長い間放置されていることが見て取れる。


室内全てが白と黒で統一された空間。


他の色を拒絶するかのように絨毯から、壁紙、冷蔵庫までと白と黒。


そんな中、奥に佇むはモノクロにあしらわれたセーラー服を纏う1人の少女だ。


腰まである金の髪。双眸に輝くは血液よりも紅い宝石・・・のごとき瞳。まるで西洋の人形のごとく美しい少女である。


そんな、傾国の美女と例えられても違和感の無い少女の名前は「タマ」という。


猫ではない。


「あー、なんか今すっげー不本意なナレーション入った気がするんじゃが。気のせいか?気のせいかこれ?」


半目で天井を見やるタマ。しかし、そこには何もない。赤く光る彼女の目が虚空を見つめる。


「・・・ふぅ。まあいいか。とにかく、雪が来るまで3DSでもして待つかの」


静かな空間にピコピコと電子音が響く。


これは、そんな緩みきった吸血鬼の少女が居座る。校舎の隅のとある一室の風景である。


そんなわけで始まります。





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