ほんとにおきるか?こんなこと。

水無瀬

第1話

「お願い行野!!私の彼氏になって。」

「は?愛の告白?」

…私は何をしてるんだろう。窓際晴れた日の昼休み。前の席の好きな奴の袖を引っ張って。それでも背に腹は変えられない。

「違うけど、違くない。今ドア見て?」

「…お前んとこの部員だな。名前知らねーけど…。朝倉と佐島だっけ?」

「合ってる。とりあえず、あいつらいなくなるまでちょっと私といちゃついて?」

突拍子も無いことはわかってる。

それでも受け入れてくれると信じるしかない。

「礼は?」

「後でなんでもしてやるわよ!今彼女いないのは知ってるのよ!!」

「ハイハイ。」

そういって行野は私の頭を撫で始めた。ほんとこいつは気のない女の子に対してこんなことできるから嫌になる。

それでも気持ちよくて思わず目を細める。

私の頭から彼の手が離れる。

「行ったぞ。」

「ありがと。助かった。何が欲しい?」

「とりあえず、今の説明。俺の数少ない友人から変な目で見られてる。」

「それはいつものことだけれど…。」

「うるせえ。場合によっては協力してやらんこともないって言ってるんだ。」

少しだけ予想外、ちょっとだけ想定通り。

「あんたの協力って高くつきそうね。」

「そりゃ、ただじゃやってやらん。」

こんなことになったのは、時をさかのぼること、数日…。

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