■『シルバーボトム』崩落から現在まで

【大破局による崩落】

周りを山地に囲まれた盆地の中に存在した雪国、それがシルバーボトムです。

300年ほど前に起こった大破局の際に地殻変動に巻き込まれ、国土のほぼ全体が

崩落し今は周りを高い絶壁に囲まれた、地の底へと孤立してしまいます。


国が崩落した後、この窪みへ蓋をするように白い靄が発生するのを当時の人々は

見たと伝えられます。


光が届きはするものの決して晴れはせず、下の大地へと雪を降り積もらせ、

またある空を飛ぶ魔法を持つ者は、靄へと調査に赴き消息不明となったのち

に、森の針葉樹に突き刺さった遺体の状態で見つかりました。

転移の術を持つものも、この地に縛りつけられるかのようにその努力が実を結ぶ

ことはありませんでした。


他の手段を考えるにもこの国に飛空艇は存在せず、魔動機文明の遺産は

崩落の衝撃によってその殆どが使えない。外へ出る以前にそれどころではない。

建物や城が崩れ人が大勢死に、当時の王家も亡くなりまさに絶望の渦中

といえる時だったと伝えられています。


それでも生き残った人々は懸命に生き抜こうとしました。

寒さに心まで凍りつかされてなるものかと廃墟と化した都の

生き残りの中に、皆を奮い立たせまとめ上げた一人の人間がいたそうです。


種火が燃え広がっていくように一人の熱はやがて国全体へとゆっくり

広がっていき、徐々に復興が始まり文明レベルこそ下がったものの

現在へと見事国としての体勢を持ち直すことが出来たのです。


この種火を熾したという始まりの人間こそが、今のシルバーボトムを担う

王家"バウス家"の最初の王だと歴史書に記されています。

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