第39話
「くそーやっぱ団体戦の鹿島は強かったなぁ」
九州大会、55㎏級1位の陶山光一は呟いた。地元の宮崎に戻り、次の日の練習する準備をしながら呟く。光一は髪形はソフトモヒカンで体つきはしなやかでバランスの良く筋肉がついている。身長は160cmくらいで少し低い。
団体戦で一位の鹿島学王高校に初戦で当たってしまい、二対五の大差で負けてしまっていた。
勝利できたのは三年生の光一と二年生の
「光一先輩は個人戦一位になれたんだから良いじゃないですか。俺なんて個人戦は三回戦で敗退ですよ?」
ジト目で見つめてくる遼太郎にドンマイと軽いノリで返す光一。
一年生部員に「ソコはわいといてー(そこ掃いておいてーの意)」と声をかけながら言う。
「遼ちゃんはちょっと組み合わせ悪かっただけやろ。もっと上行ける実力持ってるって」
軽く言う光一にふんとそっぽを向く遼太郎。
「さて、今日もリズミカルに、アップテンポで練習するとしますかー!」
準備が出来た光一はステップを踏みながら練習に入る。
宮崎商工高校の練習が今日も始まる。
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「あっ……今どこかで私の好きな感じの男の子同士の絡みがあった気がする」
急に妙な事を言い出す美優にお、おうと答える優香。
通天高校の練習はいつも通りの風景に戻っていた。ただ基礎練習が少し多めに追加されたことが今までと変わったところだ。
海生は則夫の練習を経験して以来、調子を上げてきていた。飛行機投げはもちろん、もともと使っていた投げ技やタックルなどに入るタイミングをつかめてきていたのだ。
幸隆も目標を見つけたことで前よりもさらに練習に打ち込んでいる。
「海生なんか良い感じになってきてるな」
海生との技練習をする幸隆がそう話しだす。
「幸隆だっていい感じじゃない? 何か動きをスピーディーにこなそうとしてるような感じがする」
実際幸隆は九州大会で目の当たりにした光一の動きを頭でイメージし、それを実践しようとしていた。まだ完全にうまくいってるとは言い切れないのが現状ではある。
「まぁそういう動きが出来るようになろうとして今絶賛練習中だからな。でもまだまだこんなもんじゃなかったんだ」
現状の自分に満足出来ておらず、練習に打ち込む幸隆。
他の二、三年生も九州大会後は団体戦で優勝出来なかった悔しさからだろうか、練習に真剣に取り組む姿が目に見える。
そんな日々が続き、7月を迎えた。もうすぐ通天高校は夏休みを迎える。
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