第一一章『Oの連鎖』
①帰路
裏通りの公園から見上げる太陽は、大通りを照らす日輪より枯れた色をしていた。
四方をビルに囲われた空は、肩身が狭そうに正方形を描いている。やたら遠い気のする喧騒に風音が紛れ込むと、コンクリの外壁を塗り潰す日陰から肌寒い空気が滑り落ちた。
「……そろそろ時間だね」
ブランコを小さく漕ぎながら、二時間ぶりに出した声が、金具の
初対面の道を携帯に先導してもらいながら、タニアはアルハンブラたちの待つ駅前を目指す。
街角からお店から何気なく漏れ出す笑い声が、今日に限っては酷く
少しでも早く笑顔から逃れたい一心で、タニアは競歩のように歩調を速める。だが左右の足音が間断なく続くようになっても、楽しげな声をありありと聞かせる無言を振り払うことは出来なかった。
なるべく周囲を見ないようにして、一〇分くらい歩いただろうか。
駅前に
雰囲気で薄々事情を悟ったのか、二人はタニアがメーちゃんを抱えている理由を訊かなかった。その代わり警備船に乗り込む直前、
〈ロプノール〉へ向かう船内は、沼の底のように重苦しい沈黙に包まれていた。
逃げようにも逃げ出せないからか、重い空気に怖じ気付き、口を
「護送中みたいだね」
前後を警備船に挟まれている状況を指し、タニアが
信頼を裏切られたメーちゃんは、丸い
「心配しなくてもだいじょぶだよ。新しい家が決まるまでうちにいていいから」
タニアは精一杯励まし、出会って以来最も
「〈ロプノール〉には独り暮らしが寂しいってお年寄りも多いですから」
今まで黙り込んでいたシロが、メーちゃんの手を取り、安心させるように微笑み掛ける。
めぇ……。
社交辞令的に会釈したメーちゃんは、すぐさま
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