第19話 選べない
以前、喫茶店でコーヒーを頼む時、アイスとホットの両方を注文する、というキャラクターを拝見しましてね。(by 漫画 「雲の上の〇スケさん」の横チンさん)
おお! それはいい!
と目からうろこが落ちた私。
私も横チンさんと同じで、コーヒーを注文した後に、やっぱりホットにすればよかった(その反対もあり)などと後悔することが多いのです。確かに、両方頼めば後悔することなんてなくなりますね。
それからいつも、喫茶店で注文する時にはアイスとホットの両方を頼もう、と思う私なのですが。
今だに実行出来ておりません。(私の意気地なし)
二つの選択肢、どちらにするか選べない、というのは皆さんも経験がおありだと思いますが。
私の場合はほぼ飲食に関してのみ。
これが私の姉の場合ですと、装飾品、衣類になりますね。
姉はよく同じものを色違いで持っております。
鞄、靴、アクセサリー。だいたい黒と白のセットで。
『だって両方、欲しかったんやもん。選べへんかってん』
と。
まあ、高いものですから、それをためらわずにポーンと両方買う姉がすごいなあ、と私は感心してしまいます。(そして、二つあるねんからどっちか貸して、とたびたび頼む私はセコイです)
私の息子、長男も。
これが結構、衣装持ちで。服や靴を買うのが大好き。季節の変わり目に、欲しい、とすぐに言います。(学校は制服なのでそんなに必要ないはずなのですがね)
保育園児の頃は、戦隊モノや仮面ライダーの靴、靴下を買っていましたが、コレが息子は選べない。色違いでふたつ欲しい! というものですから買っていましたが。(保育所に置き靴をするので、常に二足は必要です)
そして、息子の場合はですね。
普段の着用もどちらにするか選べない。
両方、履きたい!
というわけなのです。
ですので、靴は色違いで片足ずつ履かせておりました。
割とコレが目を引いてお洒落? に見えるらしく、結構、声をかけられました。
「素敵ね、その靴、色違いね」
「どこで売ってるの?」
どうやら、もともとそういうデザインの靴だと皆さんからは思われるようです。
二足持ってるのを片方ずつ、履いてるんです、と説明しながら、これもセンスが良いと、見様によっては見えるのだな、と私はまた目から鱗。
しかし、このパターンは子供の頃は良くても大人になると実行するのはなかなか勇気が要りますよね。私は試す気は起こりません。
* * * * *
さて、私の場合は飲食でいつも選択肢に悩む、といことを冒頭でお話しましたが。
これがいつも失敗しております。
食い物の恨みは恐ろしい、と言いますけど、私の執着心は激しいですよ。
何年経っても、あの時、あっちにすれば良かった、と思い出しては後悔すること多し。
今でも引っ張っているのが、飛騨に主人と旅行し。天下の飛騨牛の有名なステーキハウスに入ったときのことです。
主人はロース、私はヒレを選択。
ヒレも抜群に美味しかったですが、やっぱり牛はロースですね。まだ、二十代だったので、これは脂がある方を選ぶべきでした。
主人のと一口交換したあとに、猛烈に後悔。今でもずっと後悔。
最近では、有名なトンカツ屋さん(おそろしく分厚いカツ! 揚がるのに十五分かかる)に行ったときのことですね。
主人はヒレ、私はロースを頼みました。飛騨の思い出が引っかかっておりましたのでね。
あれ? 主人はロースじゃないんだ、と驚きましたが、これも主人の選択に軍配があがりました。
牛と違って、豚の脂は……きますね。
そして、もう私は三十代。
食べきれず、持ち帰り。
対して、主人のヒレカツは柔らかくて文句なしの美味しさ。ペロリといけます。
またもや後悔。
そして、直近。
家族で、滋賀、甲賀牛のお店に行ったとき。
ステーキ丼をどの肉の部位にするかで、大いに悩みました。ええ、私は真剣に考えぬきましたとも。
私が迷ったのは、お値段も一番はるロース!と。
お値段はそれより落ちますが「通好み」とお品書きに紹介してあるイチボ!
さあ、どっちにするか?!
イチボなんて食べたことない。冒険してみるか? それよりも手堅く、値段も高いお墨付きのロース?
結局、私は高値という肩書きに惹かれ、ロースを選択。主人はイチボ。
さて。この勝負は、どうなったかと申しますと。
……主人の勝ちでした。
イチボ、って柔らかくて、なんとも言えない美味しさ。
イチボにしとけば良かったあああああ!
「高額の方が上だって考えるのが◯◯の浅はかなところだよね。浅ましいよね」
得意げに私に言う主人の言葉に悔しくてたまらない。
うう、ちっくしょううううううう!
というわけで、皆さん、イチボに出会ったら何があろうともイチボを選ばれた方がよろしいですよ。
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