*ほっぺぷにぷに
「ねえねえ」
私は彼の肩を叩く。
「何だ……」
振り返ろうとした彼の頬に刺さるよう、肩に置いた手の人差し指を彼の方へ向ける。
「……」
私の指で彼の頬がぷにっとなる。頬を押されたままいつにも増して仏頂面になる彼。
「……」
驚いたり慌てたり叱られたり何かしらのリアクションを期待していた私は戸惑う。指に刺されている頬を離すくらいの反応は欲しい。
このまま頬をぷにっとされた彼と膠着状態を続けているのは気まずい。私は自ら手を引っ込めた。
「今のは何だったんだい?」
淡々と彼は訊いてきた。
「あなたのほっぺ、ぷにってしたかったの」
「どうして?」
「ぷにってするの、柔らかくてなんだか良いし、どんな反応するのかな? って思って……」
真顔で尋ねてくる彼に私は申し訳なくなりながら答える。ほんの冗談のような軽いノリでしたのだが、彼は気を害してしまったのかもしれない。
「ふぇ?」
突然彼は私の頬を人差し指で刺した。立て続けに刺しぷにぷにし始めた。
「何するの!?」
「どんな感じなのかなと思って。……うん、確かに良い。ぷにぷに。柔らかいね」
真面目な面持ちで、けれど心なしか興味深そうに私の頬をつつきながら言った。
「私がぷにぷにしたかったのに!」
なんとか彼の指から逃れた私はつつかれまくった頬を押さえながら叫んだ。
END.
お題配布元:TOY(http://toy.ohuda.com)
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