はんぶん妖怪

 俺の母は普通の人間だが、父はのっぺらぼうだった。

 のっぺらぼうハーフの俺には左目と右耳がなく、外に出るときは眼帯とヘッドホンが欠かせない。

 学校ではクラスメイトたちに「中二病だ」とからかわれた。

 片目しかなくとも、百目ひゃくめの祖母の血が流れているおかげで腕や胸にも目があり、距離感には困らない。

 それを隠すために身体中に巻いている包帯も、やはり中二病だと言われた。

 妖怪よりも、なんでも中二病扱いする人間の風習の方が怖いと感じる今日この頃だ。

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