死神

「俺、この戦争が終わったら結婚するんだ」


 傭兵は言った。戦友は彼の顔を見返す。


「急になんだよ」


「いや、お前に聞いてほしかっただけだ。たいしたことじゃない。忘れてくれ」


 傭兵は煙草を消し、戦場に戻っていった。

 戦争は終わり、戦友は命を散らした。傭兵は生き残った。


 月日が経ち、また別の戦地で出会った新しい戦友に傭兵は言う。


「俺、この戦争が終わったら結婚するんだ」


 その傭兵の通り名は「死神」といった。

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