神様からのメール

七四六明

ゲーム開始

ルール

  二〇九七年一月一日


 世界中が新年を祝い、人々は浮かれていた。新年を祝う鐘や花火が鳴り、光り、人々を更に浮かれさせていた。


 TVでは芸能人が、年明けのカウントダウンを終えて盛り上げていた。


 だがそのTVが、全世界で同時に切れた。そしてその後、真っ暗な部屋で玉座に座る誰かが映る。


 黒いスーツに黒のズボンを着て、白の面をつけている。面の穴から、赤い目が睨んでいた。


『全世界の皆様、新年明けましておめでとう』


 声を変えているのだろう、高い声と低い声が混ざった声。その気持ちの悪い声に、人々はTVに見入られる。ドラマの宣伝だろうと言う者もいるが、どちらにせよ世界中で人々はざわめいていた。


『二〇九七年になり、皆様がよい年を願ってる中……この我がゲームを提案しに来た』


 ゲームと聞いて更にざわめく。TVに映るそいつは、左手の人差し指を立てた。


『――の前に、自己紹介せねばな。我は、神だ。そして、これより提案するは我を探し出すゲーム。“神様捜索ゲーム”である』


 神と名乗ったそいつは、胸ポケットからケータイを取り出してボタンを押した。


『今、我が選抜したゲームプレイヤーにメールを送った。強制参加だ、逃れる術はない』


 人々がケータイやアイフォンを取り出し、メールを確認した。神はケータイを持ったまま、話を続ける。


『ルールは簡単。三年以内に我を見つけ出す事……これが貴様等の勝利条件だ。それだけでいい。何も難しい事はない……だが、もし見つけられなければ敗北。貴様等人類には全滅して貰う』


 人々がざわめく。警察が動いてるのを見て、ドラマの宣伝ではないと悟る。だがいたずらにしては度が過ぎていた。


『人間の存亡を決める捜索ゲーム……だが、自分で無くした物もろくに見つけられない貴様等人間に、神たる我を見つけるのは不可能であろう……そこで、参加者には少しばかりプレゼントをした』


 神はケータイ画面をTVに映した。紫のケータイの画面には、招待と書かれたメールがあった。


『AからZまで、全二六のメールをそれぞれ参加者に送った。メールには少しばかり、我の力を与えてある……その力とメールを駆使して我を見つけ出せ?』


 神は立ち上がり、白い面をつけた顔を大画面でTVに映した。


『さぁ、人類は残るか滅ぶか……全ては二六人の行動次第……三年、じっくり使って捜すといい』


 TVが元のチャンネルに戻る。だがすぐにニュースに変わり、人々に今さっきの神の行動を知らせた。


 ゲーム開始である。


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