このお話はフィクションです。

秋月時雨

子供の頃の話。


夜中妙な音で目が覚めた。

ききききという濡れたガラスを擦るような甲高い音。

外でなにかやってるんだろうと思い無視するものの、音はずっと続いて眠れない。


ききききききき


こんな夜中にいつまでやってるんだろう。

気になり始めるとかえって目が覚めてきてしまうもので、完全に目が覚めてしまった。


ききききききき


いつまでやってるのか、眠れないじゃないかと何度も寝返りをうっていると、音が外ではなく近いところで鳴っていることに気がついた。


ききききききき


当時寝ていた部屋には子供からすれば背の高いタンスがおいてあり、その上には空を見上げるように顔を上に向けたポーズのガラス製の猫の置物が置いてあった。

音源がごく近いところであることに気がついて部屋の中を見渡していると、タンスの下で寝ている私をまっすぐ見つめている猫の置物と目があったという。



その猫の置物は、今も実家のタンスの上で天井を見上げている。

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このお話はフィクションです。 秋月時雨 @RoseQuartz

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