揺らぐ夏

絹奈すはる

 

空ってこんなに透き通ってたんだ

カルキ臭漂う水色の液体の中で

発泡スチロールの蓋のように

どこか頼りなく浮いたり沈んだりして

ゆらりゆらり


色褪せたブカブカの水泳帽が

柔らかな肌に触れカタチを崩す

彼女の藍色の背中のラインは

一糸乱れず

光の揺らぎの中に在る


浮かびもしない

沈みもしない

泳ぎもしない

気付きもしない

動かない

背中を向けて


背中の先はなんだ

水着の向こう側はなんだ


黒いラインだけが知っている

波に揺られて

ゆらりゆらり


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揺らぐ夏 絹奈すはる @chinnens

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