アニメ人気ランキングについて

 クールの変わり目にアニメ系サイトなどよくやる企画が『読者が選ぶ今期アニメ人気ランキング』。皆さんもよく目にすると思います。そこで興味深いのは、発表するサイトごとに結果が全然違うと言う事です。

 何故そう言う事が起こるのかと言えば、そのサイトに集まる層とアンケートに参加した母数が違うから。根本的な原因はアニメの本数が多すぎる事にあります。


 AとBの2つの作品があって、クオリティはAの方が高かったと仮定します。でも、ランキングではBの方がランクが上だった。こう言うパターンは当たり前に存在しますよね。

 何故その現象が起きるのか、理由はいくつか考えられます。ひとつは、アンケートに参加した人はBの作品のファンが多かった。ひとつは、Aを視聴した人よりBを視聴した人の方が多かった。他にはAのアンチが多かった。後はAを見た人が少なかったと言う事もあり得るでしょう。

 つまり、多くの場合、AとBを両方見た人が少ないから評価が偏ったのですね。


 アニメの本数が多いと、その全てを見る事は時間的に不可能です。アニメ評論家とか、それを仕事にしている人は出来るかも知れませんけど。

 そうなると大事なのは取捨選択。つまりは好きな作品しか見ないと言う事になります。私だって苦手な作品は切るし、苦手なジャンルは最初から見ません。そうせざるを得ないんです。

 この状況の大きな弊害は、自分の知らないジャンルの傑作を見逃してしまうと言う事。それでも作品数が少なければ、後で話題が沸騰する事で気付く事もあります。


 しかし、作品数が更に増えてしまうと、傑作で盛り上がってもその声は大きくならなくなってしまう事でしょう。かつて『けもフレ』や『モルカー』が盛り上がったあの感覚も、作品数が増えすぎるともう見られないかも知れません。

 それを拾い上げるのがアニメ感想チャンネルとかの存在ですけど、現状ですら全ての作品が対象になっている訳ではありません。そのチャンネルが取りこぼしてしまった傑作もあるんです。


 例を上げると、2023年秋アニメの『オーバーテイク!』、個人的にとても面白かったのですけど、この作品を取り上げたアニメ感想サイトは見つかりませんでした。2024年春アニメでの『変人のサラダボウル』も面白かったのに、取り上げている感想サイトは私の見たところでは皆無。

 もし有名感想サイトがこれらの作品を取り上げていれば、もっと盛り上がった気がします。


 そんな感じで、アンケートを元にした人気ランキングは偏っていると言えます。あまり面白さの参考にはなりません。強いて言えば、そのランキングの傾向を見る事でそのアンケートに答えた層が浮かび上がると言うところでしょうか。

 このランキングは腐女子が多く答えたんだなーとかね。このランキングはおっさんが多く答えたに違いないとか。分かるんですよ、如実にね。


 逆に言えば、自分が好きな作品が上位に来るランキングなら、その結果は参考になるのかも知れません。ランキングを見る時はそう言う楽しみ方をするのがいいかと思います。

 作品数が多いからこそ、知られざる傑作はマジで埋もれてしまうのが今の時代。悔しいですね。名作を生み出したクリエイターは報われて欲しいなあ。

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