貴重な棒を持つネコ

 この作品はイラストレーターで漫画家の室木おすし氏が2020年9月7日から2022年の3月11日までツイッターでアップしていた漫画です。連載中に話題になったので、読んでいた人も少なくないのではないでしょうか?

 簡単にあらすじを説明すると、飼い主のすなおちゃんから「貴重な棒だから預かって」と頼まれたフーちゃんと言う白い猫が、様々な出会いを通じて世界を救うと言うお話です。貴重と言われたので、フーちゃんは何があってもこの棒を手放しません。そんな棒を手放さない猫が頑張る話なのです。


 ツイッター漫画である事、動物が主役である事から『第2の100ワニでは?』と変に疑われたりもしましたけど、最終回発表後に大々的な商業展開になる事もなかったので、その疑惑は晴れたんじゃないかなと思います。まぁ、疑う人はまだいるのでしょうけどね。


 この作品は、初期のシュール展開とクライマックスの熱い展開が特徴と言えるでしょうか。特に私は初期のシュール展開が好きでした。

 フーちゃんは棒を持っている事で様々なトラブルに巻き込まれるんですよ。その巻き込まれ具合が独特で、作者のおすし氏しか作れない世界が面白いんです。登場するキャラもみんな個性が強くて。


 この作品、人と動物が普通にコミュニケーションが取れる世界観なんですけど、フーちゃんは決して人の言葉を喋りません。そこがいいんでしょうね。基本無口でにゃーんって泣いたのもクライマックスになってからです。

 物語が始まった頃は、大好きな飼い主のすなおちゃんと別れて二年会っていないので表情が死んでいるんです。それが色々あってすなおちゃんにも会えて、素敵な笑顔を見せるようになる。連載を追っていると感動必至です。


 フーちゃんと出会う人々は、相棒になってくれるカラスや、味方になってくれる優しくて頼もしい人や動物達、そして道中で出会う妖精や雷コギャルや吸血鬼などの不思議な存在達、フーちゃんの棒を狙う組織など多種多様です。みんな一筋縄では行かないキャラで、そういった個性の塊の存在とフーちゃんの絡みが面白いんですよ。


 個人的に好きなキャラは、フーちゃんに認められなくて勝手にグレる妖精とか、その時の占いの結果次第で敵にも味方にもなっちゃう博士とかかな。それと、フーちゃんにけない遊びを教える猫のおねーさんも好きだなあ。


 最初は本当にシュールなギャグ漫画で、そのままの展開で続いて欲しかったと個人的には思ってしまいます。でも、発端が飼い主のすなおちゃんとの別れから始まっているので、やっぱり2人を再会させないといけなかったのでしょうね。

 飼い主と飼い猫が別れて再開すると言うだけ話なのに、やたらスケールが大きくなってしまうのもある意味ギャグなのかも。


 絵柄や作風に癖があるので合わない人もいると思いますけど、1話だけでも目を通して欲しいなって思います。4コマ漫画なので一瞬で読めますよ。読んで気に入ったら通して読んで欲しいな。単行本も出ていますので紙派の人も安心です。

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