平家物語

 この物語の原作は……琵琶法師でええんかな?(汗)て言うか、それは元ネタで、直接的な原作は古川日出男先生が現代語訳した『平家物語』のようです。平家が盛り上がった後に源氏に滅ぼされるまでを描いた物語。日本人なら大抵は知っていますよね。私も教科書で極一部は学びましたよ。

 中学の先生が厳しくてねえ、冒頭の『祇園乗車の鐘の声~』を暗記するまで床で正座させられたんです。スパルタやなあ。まぁそんな私の昔の思い出はいいか。


 原作とアニメの違いは、びわと言うオリキャラが登場すると言うところでしょうか。彼女は物語の水先案内人となってくれます。要するに物語の語り部的なキャラですな。このびわと言う少女、未来を見る事が出来る能力者と言う設定です。

 彼女は父親を平家の侍に殺されるんのですが、その足で平家の屋敷に行って平重盛に引き取られるんですよね。そこから平家の人々と交流を深めていきます。未来が見える故に、平家の行く末を見て心を動かされるのですよ。


 アニメ制作は湯浅監督の『サイエンスSARU』なのですが、監督は京アニで辣腕を振るった山田尚子氏が担当しています。そう、この作品は山田監督の初の京アニ以外でのアニメ監督作なんです。キャラデザインの原案は漫画家の高野文子氏。彼女のキャラデザのテレビアニメはこの作品が初になります。その筋では有名な漫画家さんですので、これだけでも界隈では話題になりました。


 監督が違ってもそこはサイエンスSARU。このスタジオの作風は健在です。つまり、絵が薄っぺらい。それが平家物語の話にも合っていますね。キャラデザも独特で実に味があります。こう言う個性の強い作品は好き嫌いがはっきり分かれそうですけど、私はすごく好きですね。監督の手腕もあるのでしょう。


 平家物語は平家が滅ぶ話です。最終回のストーリーは決まっているのです。そう、オープニングでも歌われていたように。どんどん悲劇になっていく……びわはそれを最後まで見届けるだけ。

 本来は長い話なのですけど、それをよく1クールで収めましたよね。大河ドラマにもなるくらいのボリュームがあるのに。エピソードの取捨選択が巧みなんだろうなあ。脚本の吉田玲子氏すごい。


 私、平家物語は教科書で習った部分以外は詳しく知りません。大河ドラマの『平清盛』も見てないんですよね。つまり、ほぼほぼ平家物語素人です。だから濃い平家マニアの人がこの作品をどう評価するのかは分かりません。あのシーンが入っていないだとか、この解釈は同意出来んとかもあるのかも。

 素人の目から見たら、どの話もすべからく面白いのですけどね。


 この作品は原作ファンの方、山田監督の作品が好きな方、キャラデザの高野氏のファンの方にオススメ出来るかなと思います。バッドエンドの苦手な方には向かないかな。多少の救いはあるかもですけど、悲しい終わり方になるでしょうから。

 私はとても楽しく見ておりますよ。本編も面白いのですけど、オープニングやエンディングもいいですよね。私、最後まで目が離せませんよっ。

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