LOST SONG

 この作品、最初はノーマルなファンタジー作品として始まりました。ほう、今どき王道ファンタジーとは関心関心と思っていたものです。途中までは、実際にそうだったのです。歌の力が魔法のような奇跡をもたらす世界で、その歌を歌える少女を取り巻く冒険活劇だと。


 けれど、この物語が真の姿を表したのは作品がクライマックスに突入し始めた後半数話にあります。ネタバレになるのでちょっと具体的には語れませんけど、ものすごいどんでん返しの展開となります。結果的に全然王道の物語じゃなかった。


 いや実際すごいですよ。どんでん返し以降は訳が分からなくなります。部分部分で整合性は取れていますけど、全体的に見るとええっ? と頭を傾げてしまうのです。

 明言されてはいませんけど、ひとつの物語として描写されていた話は実は時間軸の違うふたつの物語をひとつの物語と誤解させて話が進んでいたのかも。後はご都合主義も混じってますね。中々に強引な物語でした。

 見ていない人には意味不明の解説ですみません。ただ、見た人には納得してもらえるかと思います。


 ここでネタバレを語らずに感想を書くのはすごく難しいです。すごい展開来ますからね。あ、この作品の独特のギャグセンスが結構シュールだって言うのは語ってもいいかな。これはネタバレじゃないし。シュールと言えば作品自体がかなりのシュールさなんですどね(汗)。


 この作品は歌がテーマであり、アニソン歌手の人が主役の少女の声を担当すると言う事がちょっとした話題になったようです。確かに新人声優さんっぽいなあと言う演技でした。同じアニソン歌手声優でもURAHARAの春奈るな氏は結構演技が自然で違和感なかったですね。これは春奈氏が上手だったと言う事で。


 今作のヒロインの声を演じた鈴木このみ氏も決して下手ではなかったですよ。聞いていてああ新人さんなんだなーって分かったって言うだけで、作品の雰囲気を邪魔する事もなかったです。この作品のヒロインにはああ言う雰囲気が合っていたのかも。


 この作品に出てくる歌の力は本当に魔法じみていて、最後には世界を滅ぼすレベルの威力のものまで出てきます。そうしてそんな歌を歌えるのはメインヒロインのふたりだけ。

 ダブルヒロインとなったもうひとりの歌姫は田村ゆかり氏が担当しています。お姫様キャラと言えば田村氏の専売特許ですよね。この作品でも見事なお姫様っぷりでした。実際には姫じゃなくて歌姫の役なんですけど。


 王道ファンタジーストーリーのスタイルでここまで話をひねった作品もなかったように思います。主人公側は優しい人々で固めて、敵側はとことん嫌なキャラで、ああこう言う作品、昔よく見たなって感じなんです。演出もそう言った感じで。きっとこう言う展開になるんだろうなって期待を、どんでん返しまでは忠実に守ってくれるんです。

 だからこそ、その予想が裏切られた時のショックは作中キャラの感情とシンクロするほどなんですよ。え? どゆ事? って思いますから、本当。


 と、言う訳で、少し毛色の違う話を見たい人におすすめです。

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