押井守氏の発言について
アニメ業界を危惧する声は10年以上前からありまして、色んな人が言及しております。で、つい最近、あの世界の半分を怒らせる監督、押井守氏もその手の発言をしてネット記事になっておりました。今回はその事について書きたいと思います。
6月7日(※執筆時)都内で行われた『ILC(国際リニアコライダー)Supporters』活動報告会に押井守氏が出席。「『濃い作品はいいから、商品をいっぱい作ってくれ』と言われた」と、アニメ業界の現状に危機感を示しました。
科学と日本の未来のトークテーマにちなみ、アニメ業界に言及した押井氏。「アニメーションは一時期、バンバン作ってきたけど、今のアニメ業界は知恵を払っちゃった。これ以下は無いだろうと落ち込んでいる」と業界の凋落を指摘します。
「何が原因かと言うと人がいない。人手不足。ものすごく労働を集約してとことん現場を絞った、そう言う労働に耐える人間がいなくなっちゃった。低カロリーなスカスカしたものをバンバン作っちゃうぞみたいな。『濃い作品はいいから、商品をいっぱい作ってくれ。作品はいらないから、商品を作ってくれ』と言われた事もある。ふざけんな! と思うんだけど、割と今そうなっている」
と、自身のエピソードを交えながら説明したそうです。
“作品と商品”の違いについて「物を作っている中で、僕らは子供や若い人に向けて、アニメを観ている時だけは自分がこうなったらいいみたいな、夢のキャラクターを作るのがこの仕事だと言っていた。ただし、ひとつだけ哲学を入れろと。つまり、これが(哲学が)ないとただの商品」と力を込めます。
更に押井氏は「アニメスタジオについて言えば、でかくなってから入ってきた子達は入ってきた事で終わっちゃう。入れた事でおしまい。サッカーだとバイエルンミュンヘンに入ったことが終わりじゃない、そこから始まるんだぞと。(Production)I.Gに入ったからって自分の未来が決まったり、開けた訳じゃない」と訴えます。
「アニメスタジオは継承される訳じゃない。ジブリがそうだったように、20年間くらいで
これね、今のアニメ多作状態を言っているんだと思います。どうしてこんなに作品数が増えたのか。作れ作れとムチを振るう人達がアニメはカネになると、商品としてでしか作品を見ていないからです。
実際、人気原作だからと安易にアニメになる作品が増えたように思います。放送が終わると忘れてしまう作品も増えました。作りがただ原作をなぞるだけで、やっつけで作ったような作品も目にしたりします。オリジナルアニメでも、しっかりと作品になっていない作品もチラホラと(汗)。
こう言う作品ばかりを目にすると、この先大丈夫かなと思うのも無理はないかと思います。
と、言う訳で押井氏の意見も分からなくはないんです。ただ、作品が多くなって埋もれているだけで、全ての作品が中身スカスカと言う訳でもない。ちゃんと哲学の入っている作品もあると私は思うのです。
出来れば全ての作品がそうであるのが理想ですけどね。
昔は原作モノでも大抵原作に忠実じゃありませんでした。大抵オリキャラがひとりはいて、原作通りには終わりません。それは当時のアニメ事情も関係しているのですが、今はオリキャラどころかオリジナル展開をする作品も珍しくなりましたよね。
原作モノに関して言えば、視聴者は原作に忠実なものを求める人が多いのですから、今の原作を忠実になぞる流れは当然のものと思います。これは分割で期間を離して制作出来る流れが出来たからこそですよね。
昔は放送期間内に終わらせなければいけなかったから、原作未完の場合はオリジナルエンディングにするしかなかった。
アニメに哲学を入れるって言うのは原作モノの場合、オリキャラを入れたりとか、オリジナルエピソードを入れて自分達の色を出すと言う事なのかなと解釈しました。
原作とアニメは別作品なのだから忠実に作ってどうすると言う意識が、当時のアニメスタッフにはあったんじゃないかな。勿論当時も原作に忠実は作品はあったと思いますけど。
今の原作モノアニメで質のいいものは、原作で説明不足だった部分をオリジナルエピソードでうまく補っていたりします。決してスカスカではありません。そう言うところにアニメスタッフの作品に対する愛情を感じるんですよね。
ただ、それを押井氏は質のいい商品だと断定するのかも知れませんけど(汗)。
で、哲学と言えばオリジナルアニメと言う事になるでしょうか。これも、本命と言えるものは1クールに1作品あればいいかなって感じですね、今は。ちゃんと準備して時間と人とお金をかけた作品は、今でもしっかり質の高いものを作れていると思います。
結論としては、質の高いものはあるけど、それ以上に質の低いものが多すぎると言う事になる気がします。やっぱりもっとアニメ化作品の数を絞るべきだと。取り敢えず今の半分くらいの本数になればいいんじゃないかなぁ。
それなのに現状は動画サイトも参入して、まだまだ数を増やそうとしているような感じですよね……いやはや、困ったものです。
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