そんな僕の世界

もそ

1話目 今と過去

I want this world,But you won't allow it.


 そんな歌詞を口にしながら僕は横断歩道を

渡るために信号待ちをしていた。

僕の住んでいる街は大都市で

むさ苦しく心の汚れた大人たちが溢れかえっている。

僕はこんな街が嫌いだ。

できることなら一人で居られる世界を作りたい。

そんな馬鹿な事を考えている内に信号が赤から青へ変わった。

さっき口ずさんでいた歌は、僕が落ち込んでいる時や

苦しいことに耐えられなくなって死のうかと

思った時期に出会った奇跡の歌だ。

「I want this world,But you won't allow it.」

私はこの世界が欲しい。でも、あなたはそれを許さないだろう。

この言葉に自分が自殺しようとしている事を

悟られ止められている気がした僕は死ぬ事を諦めざるおえなかった。

 「おーい!綺麗(きれい)!なんで俺を置いていくんだよ!ひでー」

と叫びながら走って行きた阿鶴(あず)に僕は

 『ごめん。いたことにまず気づいてなかった。』

と言っておどけた。

 「え。お前ひでーな俺泣いちゃうよ?いいの?」

 『へーじゃー泣いてよ。動画拡散ね。』

ふざけるあいつに俺は苦笑いしながらふざけた言葉を返した。

そんな会話をしている内に雨が降ってきた

まだ十二月だったので冷たい氷のような雨のカーテンを

二人で切り裂きながら走った。

 

 そんな中僕は急に立ち止まった。

あずが不思議そうに眺めながら

 「おい!どうした?そんな所で立ってたら風邪引いちまうぞ!!!きれい?どうしたんだよ!おい!」

僕はそんなあずの声は聞こえていなかった…

雨の音に、掻き消されていたのもあるが僕はそんなことより

一瞬にして、あぁなんでこんな世界が存在するんだろう?消えたい。

心の底から信頼しているあずと雨とこの歌さえあれば何もいらない。

そして僕は無意識の内に道路に飛び出していた…

それを飛び出す直前で引き止め拳を振り上げたのは紛れもなく

あずだったのだ。

あずは僕の胸ぐらを掴んで一発僕の顔を殴り叫んだ

 「何してんだ!?!馬鹿野郎!死ぬところだったんだぞ!いい加減にしろよ!」

その言葉で正気に戻った僕は、涙が流れていたことに気づきその場から動けなくなってしまった。

ふと、あずのいい加減にしろと言う言葉は過去にした僕の行動が密接に関わっていた事を思い出す


 つい3年ほど前僕がまだ高校2年の頃。

その頃僕は彼と出会って1年が過ぎていた。

夏休みのある日、彼と遊ぶ約束をして待ち合わせ場所で待っていた時

急に頭がぼーっとし始め、向こう側にゆらゆら何かが手を振っているのが見えた

それを僕は彼だと思い駆け寄ったその時、

激しいクラクションの音と腕を引かれるような感覚に体が硬直した…

ふと誰かの感覚を感じ、振り向くとそこにはあずがいたのだが、目の前に広がっている光景は明らかに最悪な状況だった。

彼の右足は骨がむき出しになり血の海が広がっていたのだ

僕は、それを見た瞬間僕と彼の身に何が起きたのか悟った…

ゆらゆら揺れていたあれは陽炎の一種で【蜃気楼】というものであり

それに幻惑された僕はそれを彼だと思って

車道に飛び出したところを彼が命かながら助けてくれたのだ。

その後に彼は、サッカーで推薦を貰っていたのだが全て蹴るはめになってしまった…

そんな過去を抱えたまま僕らは今、ここに立っているが

彼はお前が生きていればいいさ。なんて言ってくれているが

僕は、彼の夢を将来を壊してしまった罪悪感が僕の胸に穴を開けてしまい

生きる気力が持てなくなってしまったのである。

でも、あずは気にするな!俺は生きてるしお前は俺に心友だ!っと言ってくれるのだが…どうしても心にひっかったモヤモヤだけは晴れることはないのだ…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る