アナログ

 この『アナログ』と言うのは映画のタイトルです。しかも恋愛映画。私は普段恋愛映画は観ないのですが、この映画には興味を持ったのです。その理由は、原作がビートたけし氏だから。原作がたけし氏だからこの映画を観た言う私みたいな人も少なくないんじゃないかな?

 奇しくもたけし氏が原作と監督をして主演も務める『首』が11月下旬に公開になります。観比べてみるのも面白いかも。全然タイプの違う話ですからね。


 原作はたけし氏が70歳になって初めて書いた恋愛小説。たけし氏の作品はたけし氏が主演を務める事も多いのですが、流石のこの作品でそれはありません。主人公が老人になっちゃいますものね。監督はタカハタ秀太氏。この人、『天才たけしの元気が出るテレビ!!』でディレクターをしていたのだとか。たけし氏と接点のある人だったのですね。

 映画では宮川大輔氏も出演しているので、やはりそっち系に多少は寄せているのかなと言う感じもしました。


 映画はとても上品な感じで進んでいきます。簡単に言うと、仕事熱心で超お人好しな主人公が携帯電話を持たない上品で美しい女性と恋に落ちると言うもの。彼女のミステリアスな部分が明らかになる時、劇場内では感動の涙が流れると言う仕掛けですね。


 この映画の本当に重要な部分はネタバレになるので書けません。この部分を映画未見の人が先に読んじゃうと、感動が台無しになってしまうので。なので、全体の雰囲気的なところをふわっとなぞるだけにします。物足りなく感じたらごめんなさい。


 映画のタイトルが『アナログ』と言うところで分かる通り、この作品のキモはヒロインが携帯電話を持っていないところです。たったそれだけの事で、出会えるかどうかもその時次第だし、色々と不便な事が逆に思い出に変わっていくんですよね。

 携帯電話が普及する前はみんそうだったんだなあ。今は効率ばかりを考えている気がしますね。心に余裕がなくなってるぜ。


 主人公は建築デザイナーなんですけど、彼もまたアナログにこだわっていて。手書きでデザイン案を描くし、立体もCGを使わずに模型を自作します。手間がかかるので徹夜で作業をするんですね。そう言う作業が好きで率先してやっているので、ハードワークで疲弊している風には感じられません。まぁ、自分の手柄はみんな上司の手柄になると言う理不尽な環境ではあるのですけど。


 私がこの映画を観たのは、人はどのようにして恋に落ちるのか、そしてどう成就するのか。それを創作の参考にしたいと思ったからでもありました。

 他の恋愛映画ではまた違うのでしょうけど、この映画は本当にプラトニックラブでねえ。本当に大人同士の恋愛映画なの? って感じです。肉体的な接触はハグまでなんですもの。キスすらしません。ある意味大人の童話ですなあ。


 そう言う映画ですので、でもまぁ参考にはなったかな。タイプで言えばお涙頂戴な話なんですよ。感情移入して観ていたら絶対ないてしまうやーつ。ちょっとこの展開卑怯やん、みたいな。どう卑怯なのかは是非映画館で確認してみてくださいね。


 当たり前ですけど、この映画は恋愛映画が好きな人にオススメです。かなり切ない話なので、あまり感情を揺さぶられたくない方にはオススメ出来かねるかも。

 私は絶対何処かでどんでん返しがあると思いながらひねくれて観ていたので、素直に楽しめませんでした(汗)。変な先入観を持つのは良くないですね。

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