船長さんのかわいい奥さん

 この映画はよしもとクリエイティブ・エージェンシー と愛媛朝日テレビが共同で制作した地域発信型映画の一作です。よしもとクリエイティブ・エージェンシー が主導して全国各地の14ヶ所でその地域を舞台に映画が作られた模様。


 各映画ともその地域限定で上映されるようなとても規模の小さな作品で、私も他の13作品の事は全く知りません。沖縄国際映画祭を観に行った人の中には知っている人もいるでしょうね。その映画祭では14作みんな上映されていたみたいですし。


 規模が小さな事を象徴するように、この映画、パンフレットも置いてなかったんですよ。地元が舞台なだけにパンフがあったらちょっと欲しかったなぁ。

 パンフ以外にも衝撃的だったのが公式サイトがないって事です。映画の情報を色々知りたかったのに残念。一番の情報が沖縄映画祭の紹介コーナーって言うね(汗)。


 えっと、そろそろ映画の紹介に行きましょうか。現在、この映画を観ようと思ったら今治新都市のイオンシネマでしか観る事が出来ません。なのでほとんどの人は見られないと思います。いつか動画配信とか円盤化されたら見られるとは思いますけど。


 さて、改めて映画の紹介ですが、簡単に言うと島の暮らしを丁寧に描いた作品です。舞台は愛媛県今治市の伯方島。伯方の塩で有名ですね。そこに内航船の船員のもとに嫁入りした奥さんが住んでいます。夫は3ヶ月を船で過ごし1ヶ月休むと言う生活。そう言う生活サイクルを営む夫婦を主軸においたまるでドキュメンタリーみたいな作品なんです。


 ぶっちゃけ、派手な出来事はな~んも起こりません。深夜のテレビで地域の生活に密着したドキュメンタリーが放送されていたりしますけど、あんな感じです。その内大事件が起こるだろうと見ていたらあっさり終わってしまいました(汗)。そんな日常系の作品でしたね。

 吉本が企画しているので役者として芸人さんも出てくるのですけど、とくにギャグをかますシーンもなく、普通に演技をされていました。演技はお上手でしたよ。


 この作品、映画に派手なストーリーを求める人にはまーったく向いていません。イベント自体は些細なものがいくつか発生するんですよ。ただ、それも普通に生活していたらやってしまうような小さな出来事ばかりで。

 一番のイベントとしては猪関係でしょうか。この作品、何かを暗示するように結構なシーンで猪の影がちらついております。現在の島の状況の説明として出てくるだけなのか、他意もあるのか、そこで何を読み取るかは観客次第と言うところなのでしょうね。


 特別な美人もイケメンも出てきません。みんな個性的で本当にそこにいるような人ばかり。だから変なリアリティがありましたね。他の地域発信型映画に比べても地味です。あらすじを読み比べても他の地域発信型映画は何か大きなイベントを成功させる系とかラブストーリー系とか自分の悩みに向き合って成長する系とか何かしらイベントが発生する作品ばかりです。キャストでもアイドルが主人公だったり、売れっ子芸人が主人公だったり。


 それに対してこの作品はキャストも地味だしストーリーも地味。全くアピールポイントがありません(汗)。

 でも、だからこそ、この淡々と流れる映画内の時間が心を落ち着かせてくれるような気もします。島のゆったり流れる優しい空気を伝えようと思ったら、何か派手なイベントを起こすより、何も起こらないと言うまったりとした時間を再現する方がいいものなのかもなと思ったりして。


 何も起こらないからこそ逆に新鮮な映画体験が出来ました。派手な映画に疲れた人にオススメです。動画配信とかされた時に、少しでも興味を持ってくださると嬉しいなぁ。

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