空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎

 さて、今回はもうそろそろ全国的にも公開の終わりそうな映画の紹介となります(※執筆時)。って言うか封切りが2月末なのでほとんどの劇場で上映は終了していそうですね。田舎の劇場はライムラグがあるから……(遠い目)。


 さて、この映画ですが、原作は夢枕獏先生です。夢枕先生原作で映画と言えばすぐに思い浮かぶものはやっぱり陰陽師ですよね。私も1,2と観ましたよ。いやあ、実に面白かった。

 私、映画の原作は未読だったのですけど、この作品もまたその系譜に繋がる伝奇モノだったのです。ワオ! こう言う作品、大好物ですヨ。


 この作品、タイトルからは想像出来ないと思いますけど、主人公は黒猫です。いや、確かに空海が話の軸にはなるんですけど。映画が始まった途端に黒猫が出てくるのでえっ? と思ってしまいました。あんまり語るとネタバレになってしまうので語れませんが。


 この映画の軸になるのは幻術です。これも詳しく語るとネタバレになるのですが、空海がその術に対抗する話かなと思ったら、そう言うシーンもありますけど、基本的に謎を解く探偵の役回りなんですよ。いつ法術バトルが始まるのかと思ってワクワクしていたらちょっと肩透かしでした。まだコナンの方がバトルしてるんじゃないかなあ。最近のコナン映画、全然観てないのですが。


 そう、この映画、空海が皇帝の死の謎を探るミステリでもあるんです。キーワードは楊貴妃。事件の発端に彼女が絡んでくるんです。まぁでも悪いのは皇帝なんですけどねえ。そりゃ復讐もされますわ。


 物語の紹介はこの程度にして、私が感じた感想をここからちょっとだけ語りたいと思います。この映画、監督が中国の有名な監督です。だからでしょうね、カメラが激しく動きます。シン・ゴジラの冒頭を見た時にこのカメラワーク斬新と思ってましたけど、あの映画でも落ち着いたシーンの時は落ち着いていました。

 けれどもこの映画、ひたすらぐりんぐりん目まぐるしく色んな角度からカメラが動きます。目が疲れますよー。やっりそこに日本人監督にないセンスを感じます。個人的にはもうちょいと落ち着いて欲しかったですね。


 古代中国を再現したスケール感は中々のものです。ところどころはあ、これCGセットのスタジオ撮影かな? と思わせる部分もあるのですけど、予算かかってるなと思うシーンが多いです。セットにスケール感があると大作っぽい雰囲気になりますよね、やっぱり。


 CGと言えばこの映画では幻術のシーンで散々使われているんですが、そもそも黒猫が活躍するシーン、ほとんどがCGなんじゃないかと私は睨んでいますねぇ、真相は分かりませんけど。本当によく動くんですよ。流石の動物指導でもリアル猫にここまでの演技は難しいんじゃないかな。落ち着いたシーンは流石に本物の猫が使われていると思いますけど。


 後は古代中国が舞台なのでその古代中国の再現度ね。これも中国スタッフが多く参加していますし、かなりの再現度なのではないでしょうか。きっと細かい部分までこだわっているのだと思います。日本人の私にはそう言う部分までは分からなかったのですけれど。


 セットとか美術的な部分はきれいだなとかそれっぽいなで済むんですけど、どうしても気になるのが人々の言動ですよね。やはり見た目は似ていても日本とは習慣とか考え方が違うなと思う部分が大きいです。映画的演出の部分も大きいのでしょうけど、彼ら、傍若無人すぎます。例えば食事中にいきなりテーブルの上で大立ち回りをし始めたり。みんな食事をしているのにですよ?


 映画の冒頭のシーンなんですけど、猫のお告げにしたがって瓶いっぱいのお金を発見してそれを見せつけるシーンがあるんです。そこからもう異文化ですよ。見たら十分分かるのにそれを机の上にぶちまけちゃうんです。日本では絶対にそう言う事はしません。何故なら勿体ないからです。後で拾うにしても拾い忘れがあるかも知れないじゃないですか。まぁ、豪快ですよね。


 最後に面白いかどうかですけど、うーん。伝奇モノではありつつ、スタイルはミステリなんですよ。謎が解けるとそこには悲劇しか残ってはいない。そう言う作品を好きかどうかで評価も変わるでしょうね。

 色んな伏線があって最後に大きなオチがあるので、私の映画の感想としては爽快感はない代わりになるほどね~で終わった感じです。原作を読んでいたらこの感想も違ったものになっていたのでしょうけどね。

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