第11話 高校
私が通っていた高校が消滅した。
生徒数の減少と言うのが最大の理由らしいのだけど、近くの別の高校を吸収して名前が変わったのである。
それまでは地名をそのまま学校名にしていたのだが、どこにあるのか解らない人工知能のような名前に変わってしまった。
計画が持ち上がった頃は統合に反対する動きもあったようなのだけど、当然のように行政の決定を一部の卒業生の感情で覆すことはできなかったようである。
あたりまえと言えばあたりまえのことだ。
しかし、いざ消滅してしまうと感慨深いものもある。
当時は、なんでこんなタマネギ畑のど真ん中に建っている高校に入学してしまったのだろうかと後悔することもあり、何の特徴も無い校風と無意味に厳しい校則に嫌気がさして、高校生活の三年間は無駄な時間を過ごしてしまったと思うこともあった。
それは今も変わることなく思うことなのだが、通っていたという事実は消えるものではない。
振り返って思い出すような思い出もないのだけれど、それは私だけのことであって、そうでない人もきっといるのだろう。
輩出した人材はプロ野球選手一人(一軍登録無し)、Jリーガー一人(ユース所属だったので高校は関係ないと思う)、漫画家一人、歌手二人。
歌手と言っても一人は聞いたこともなく、もう一人はバンド活動のボーカルらしいが、音楽活動よりも地元ローカルの番組に出演しているタレントとしての活動の方が有名だと思う。
まだ全国区ではないが、音楽活動の拠点は東京らしいので、全国区になるかどうかは未知数である。
そう言えばニコニコ動画から出た女の子二人組のユニットが、出身中学の後輩という噂がネットに出ていました。
もう卒業して高校生らしいですけど。
そう考えてみれば、自分も含めた何千分の一の中から、何人もの有名人が出ているのを考えてみれば、自分はやはり大多数の方に回る運命であるのだろうと思ったり。
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