繰り返す時の中で
星成和貴
樹
学校に向かうために家を出る。すると、隣に住んでいる幼馴染みの香織が待っていた。
いつもと同じ、代わり映えのしない日常。そうとも取れる。しかし、俺は知っている。今日がこれで、4回目であることを。そして、そのことに他の誰も気付いていないことに。
「いっくん、おはよう」
何も知らない香織はいつものように挨拶をしてくる。俺は、どうするか考えたあげく、今までとは違う行動をとることにした。
「俺は、今日を繰り返している」
端的に真実を述べた。香織は俺の言った内容を理解できないのか、首を傾げている。
「えっと、またいつもの妄想?」
「違う!今日が終わったと思ったら、また今日になっているんだ!原因は、分からないけど……」
「そっか。とりあえず、学校に行こう?」
香織は俺の話を信じたのか、信じていないのかは分からない。けれども、今までの今日とは違って、香織は俺の右手を握り、歩き始めた。
小さな変化ではあったが、それがこの繰り返しを抜け出すヒントになる、そんな予感がした。
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