第25話 学園祭の始まり

学園祭当日がやってきた。


「どう?あたしのワンピース姿」


「綾ちゃん可愛い!」


ラベンダー色のワンピースを着て髪をハーフアップにして化粧をしている綾ちゃんはめちゃくちゃ可愛い。


「女子より女子になってどうする」


「そういうユイユイだってきまってるわよー?」


「うっせぇ!何で俺まで姉役!?」


姫島くんはオレンジ色のワンピースを着ている。


化粧をするとギャルみたいなんだなぁ。


「ギャルみたいでありだと思うよ?」


「桜木、無理して褒めんなー」


二人はヒロインの意地悪な姉役だ。


創作研究部で劇に出ないのは私だけ。


「頑張ってね!二人とも!」


「ごめんね、みっちゃん。あたし達が劇に出るからみっちゃんに部の案内係任せる事になっちゃって」


「良いの!コミケの宣伝たくさんしとくね」


そう、皆が劇に出る間は私は創作研究部の展示会の案内係をやる。


綾ちゃんが係をお願いした桜小路くんや鬼島先生は劇の時間忙しいらしいし、仕方ない。


本当は見たいけど!


ビデオ撮るし、後で見よう。


だけど


「桜木!」


あ・・・


「高宮く・・・」


っ!?


高宮くんは白いフリルのたくさんついた胸元がざっくり開いたブラウスに黒いパンツを履いている。


かっこいい・・・。


「衣装、すごく似合ってる!高宮くん!」


私が言うと、高宮くんは笑う。


「桜木がせっかく作ってくれたんだ。似合わないでどうする」


だけど


胸元開きすぎててかなりセクシーになってる、高宮くん。


「桜木?」


「げ、劇・・・頑張ってね」


「桜木は見れないんだよな・・・」


「ごめんね・・・」


「良いよ。部活も大事。冬コミの宣伝しておいて」


「高宮くん・・・それって・・・」


「部活、辞めないよ。俺、やっぱり芝居してるの好きだ」


「良かった。本当に良かった!」


「桜木のおかげ」


「えっ?」


「ありがとう、桜木」


「わ、私は何も」


「あのさ、桜木。明日のキャンプファ・・・」


「高宮くーん!練習しよっ」


白いレースのワンピースを着た宮内さんが高宮くんを呼ぶ。


うっ!可愛い・・・。


「あ、ああ」


高宮くん、行っちゃった。


「カップルみたいな会話でしたねー?蜜葉さん」


「わっ!優里香ちゃん!」


優里香ちゃんはニヤニヤしながら私に話しかけてきた。


「告白しちゃえば良いのに。絶対いけるよ」


「む、無理!」


「蜜葉ちゃん!良いの?高宮くんがとられても」


「それは・・・」


「明日、後夜祭でフォークダンスやるんだって。好きな人の順番が回ってきた時に告白したら結ばれるってジンクスがあるらしいよ」


「えっ!」


「蜜葉ちゃん、逃げちゃだめだよ。皆といたい気持ちは分かる。でもね、その為に恋を我慢するのは違うと思うの」


「優里香ちゃん・・・」


「創作研究部の皆なら大丈夫。蜜葉ちゃんがどんな決断を下しても受け入れるよ」


優里香ちゃんの言葉を聞いて私の気持ちが幾分か楽になった気がした。


学園祭は10時からだ。


10時きっかりになると、私は部室で部内の展示コーナーの案内係として働く。


部室の壁一面に綾ちゃんと私が描いたイラストを何点か飾り、春に作った部誌とラミカを来てくれた人に渡す。


コミケで出したドラマCDと私と綾ちゃんの描いたイラストのポストカードの販売も行っている。


小さなヲタク向け美術館といった感じだ。


カリスマ同人作家の綾ちゃんのファンがたくさん来た。


ドラマCD、5枚すぐ売り切れたなぁ。


コミケの時には5枚売れるまで時間かかったのに。


「冬コミでは今、流しているドラマCDの第二弾を発売します!ぜひ来てください」


私は創作研究部の展示コーナーに見に来た人達に宣伝のチラシを配りながら言う。


「行きます!!あたし、高宮くんの大ファンなんですよ!」


「うちも!」


意外と人が引っ切り無しに来る。


やっぱり高宮くん達の力だろう。


「もう、13時かぁ」


劇はもうとっくに始まってる。


高宮くんのお芝居、やっぱり生で見たかったなぁ。


でも


高宮くんならきっと、大丈夫だよね?


だけど・・・やっぱり見届けたい。


高宮くんがどんな輝きを見せるのか知りたいよっ。


私が悶々としていると、いきなり部室のドアが開かれた。


「桜木!」


「お、鬼島先生!?」


創作研究部の顧問の鬼島先生がいきなり私を呼びつける。


「劇に行きたいのだろう?さっさと行け!」


鬼島先生の意外な言葉に私は驚く。


「で、でも!鬼島先生、部は・・・」


「俺が見ててやる。お前には高宮くんの芝居を観る義務がある」


「あ、ありがとうございます!」


「ほら、さっさと行かないと、終わっちまう」


「は、はい!」


「桜木!逃げるなよ?」


「え?先生?」


「ちゃんと自分の気持ちに正直に生きろ。損するぞ」


「は、はい。先生!」


自分の気持ちに正直に・・・優里香ちゃんみたいな事言うな、鬼島先生。


鬼島先生は私の気持ちをまるで見透かしているようだった。


あまり関わりの無い私をよく見ている恐ろしい先生だな。


私は走って体育館へ向かう。


もう終わりは近いだろう。


でも


少しでも、良い。


見たかった、本当は。


高宮くんのお芝居が。


私は体育館の前に着くと、息を切らしながら恐る恐る重い扉を開いた。


まだ演劇は終わってないようだ。


私は一番後ろの列の空いている席に座る。


野獣が死にかかっているシーンだ。


屋敷でずっと野獣と過ごしてきたベル。


野獣から執拗に求婚されていたが、断ってきた。


そんなある日、父が病にかかった事を知り、一時実家へ。


野獣と一週間で帰ると約束をするも、彼女に嫉妬した意地悪な姉二人にわざと10日で帰るよう仕向けられた。


野獣が死ぬ夢を見て野獣の身を案じたベルが屋敷へ戻ると、野獣が死にかかっているという場面である。


「俺は・・・もうだめだ。今迄すまなかった。振り回して。これで君は俺から解放されて自由になれる」


「そんな事、言わないで頂戴!私はもっと貴方の側にいたい」


「ベル。君には家族がいる。10日も帰らなかったのはそれだけ君が家族を愛しているという事だ・・・」


「お願い!!諦めないで。貴方に生きて欲しい!貴方は私の夫になるのよ!」


わ・・・


ベルを演じる宮内さんは涙を流しながら必死に叫んだ。


すごい演技力だな、二人とも。


だけど


ハッピーエンドだというのは分かっているのに涙が私の頬を伝う。


「良かった。高宮くん、良かった・・・」


もうオーディションで酷い事を言われて絶望した彼はそこにはいなかった。


「貴方・・・その姿!」


「俺は悪い魔女に呪いをかけられて野獣にされていたのだ。あんな醜い姿になっても君は俺に優しくしてくれた。俺は君にとても感謝をしている」


高宮くんは宮内さんの手を取り、優しく笑って言った。


そして


「どうか俺と結婚して欲しい!」


高宮くんが膝をつき、言うと、女子達の黄色い声が体育館中に響く。


「はい・・・」


宮内さんがそう言うと、高宮くんは宮内さんを抱きしめ、舞台は終わった。


やっぱり胸痛い。


演技だと分かっていても。


だけど


良かった。


高宮くんが復活したんだもん。


きっともう完全に大丈夫。



「みっちゃん!見に来てくれたんだ」


劇が終わると、綾ちゃんと姫島くんが私の元へ。


「うん。ラストしか見れなかったけど。鬼島先生が代わってくれたんだ」


「えー!あたし達の演技も見て欲しかったぁ!ね、ユイユイ」


「お、俺はやだ!女役だぞ!?」


「あら、良いじゃない!可愛かったわよ?」


「うるせぇ!」


見たかったな、二人のお姉さん姿。


だけど


「桜木?」


あ・・・


高宮くんが私の元へ走って来た。


「来てたのか、桜木」


「う、うん。ごめんね、ラストしか見れなかったの」


「充分。桜木に見て欲しかったから」


「えっ?」


「俺がまた演技への情熱を取り戻したのは桜木のおかげだから」


「わ、私は何も」


「ありがとう、桜木。大好き」


だ、大好き!?


「もう!高宮くん!いつも言ってるでしょ?そういう事言ったら勘違いされちゃうよ?」


「桜木、俺は・・・」


「はーい!もうフリーだし、皆で学園祭回るわよ!」


「だな!陸斗、桜小路に舞台見に来るよう言われてんだろ」


「あ、ああ」


「みっちゃん、何か食べたい?」


「クレープかな?さっき2Cから良い香りが」


「よし、行くわよ!」


私達は学園祭を回る事に。


「明日も劇ある。大変」


「本当それな」


「あたし明日はもっと化粧に気合い入れようかしら」


皆は明日も劇があるから大変だ。


さすがに鬼島先生に二日連続お願いするわけにはいかないし、明日はちゃんと部活の案内一時間やらなきゃ。


「明日のキャンプファイヤーのフォークダンスで先輩に告白しようと思ってて!」


「マジ!?頑張りなよ、ミカ!」


あ・・・


すれ違いざまに聞こえて来た会話で私は優里香ちゃんの話を思い出した。


キャンプファイヤーの時にやるフォークダンスで好きな人に告白したら結ばれるってジンクス。


「ギャルゲーにありそうなジンクスだよな、キャンプファイヤーのジンクスって」


話を聞いた姫島くんが言う。


「ロマンチックよねぇ!」


「ちっ。脳内花畑野郎め」


「ユイユイひどーい!!」


「さ、桜木は後夜祭行くのか?」


「え?ああ、どうしようかな。遅くなっちゃうし・・・」


「行こ、桜木。俺も後夜祭行く」


「え?」


「ね?」


「う、うん」


「やった。明日、頑張る」


「頑張る?」


「あ、えっと・・・フォークダンス・・・」


「高宮くん、運動神経良いから大丈夫だよ」


「ん・・・」


高宮くん、何だか表情が暗い?


「みっちゃん、クレープあるわよ!」


「あ、食べたい!」


「苺たっぷりだって!あたし、苺大好き」


「私も!でもバナナも良いなぁ」


綾ちゃんに呼ばれ、私はクレープ屋がある教室へ。


「綾斗と結斗には負けないから」


「陸斗・・・」


「俺、自分の気持ちに正直でいたい」


あれ?


高宮くん?姫島くん?


「二人とも!クレープ食べようよ!」


私は教室の外で話している高宮くんと姫島くんを呼ぶ。


「あ、ああ」


「陸斗!俺も!陸斗に遠慮しないからな」


姫島くん?


二人とも、一体何の話を?


「んー!甘くて美味しいっ。やっぱクレープは苺よね」


「本当!私も苺大好き」


綾ちゃんと私は苺と生クリームのクレープを食べる。


高宮くんと姫島くんはバナナと生クリームのクレープを選んだ。


「うめぇ」


「美味しい」


「やっぱり疲れた時は甘い物よね」


「つーか、陸斗!口元クリームだらけだぞ」


「へ?」


「ったく!仕方ねぇな、お前は」


姫島くんは高宮くんの口元をティッシュで拭く。


「これは・・・良いホモ!!」


綾ちゃんは二人の写メを撮りまくる。


「って!何でライバルに優しくしてんだ、俺は!」


「結斗?」


「ここは桜木の口元のクリームを拭うとこだったのに!BLかよ!」


「ユイユイ。グッジョブ。もっとやれ!」


「うるせぇ!綾斗!」


ん?


「やっぱり高宮くんと姫島くんってそういう・・・」


「結陸?結陸?」


姫島くんと高宮くんってやっぱり人気なんだなぁ。


二人が絡む度に女子がニヤニヤしてるような?


「結斗って本当陸斗大好きよね」


「あぁ!?」


「綾斗、俺は結斗嫌だ」


「陸斗、てめぇぶっ飛ばす!」


「本当に羨ましい限りだわ」


綾ちゃん・・・?


綾ちゃんは悲しい瞳で言った。


「たこ焼き美味い」


クレープの次はたこ焼きだ。


「陸斗ったら今度は口周りがソースだらけよ?」


「鏡・・・」


「ふふっ。高宮くん、子供みたい」


私は高宮くんの口元をハンカチで拭く。


「やっぱり結斗より桜木に拭いてもらう方が良い」


「た、高宮くんっ」


「陸斗、てめぇ!」


「結斗は怒りながら拭いてくるからやだ」


「陸斗の為に叱ってやってんだろ!」


本当二人って仲良いなぁ。


兄弟みたい。


「コスプレ撮影できますってあるわよ、皆!」


たこ焼き屋の隣の教室へ行くと、綾ちゃんがにやにやしながら言う。


「楽しそう!!行くわよ!皆!」


「おい、綾斗!」


こ、コスプレ!?



「きゃああ!やっぱり似合う!」


「結斗、ガラ悪いから似合うな。海賊」


「なんか複雑だな、おい」


「あたしはバニーガール」


「筋肉がいかつすぎてきめぇわ」


「ユイユイったらひどい!」


姫島くんは海賊のコスプレ、綾ちゃんはバニーガールのコスプレをしている。


「二人ともすごく似合ってる!」


「ありがとう、みっちゃん」


「サンキュー、桜木」


高宮くんは・・・


「着替えた」


高宮くんは警察官のコスプレを。


「きゃあああ!陸斗、めちゃくちゃ似合う!」


「意外と似合うな、陸斗」


高宮くんが警察官!?


めちゃくちゃかっこいい・・・。


「手錠もあった」


「陸斗に逮捕されたいわぁ」


「綾斗、怖い」


女子皆、高宮くん達を見ている。


「高宮くん、すごいね!おまわりさん、似合ってる!」


「む。そうか、ありがとう」


「衣装たくさんあるんだね」


「桜木」


「ん?高宮くん?」


「お前を逮捕してやる」


高宮くんは手錠を私に見せ、にやっと笑って言った。


「た、高宮くん!?」


「警察官ごっこ」


ま、また不意打ちな発言を!


高宮くんは突然ドキッとさせてくる。


「どうせならみっちゃんも着替えましょうか」


「えっ?綾ちゃん?」


「みっちゃんはこれ」


「へ?こんな丈短そうなのを?」


「皆で写真撮りたいし、良いじゃない。ほら、着替えて着替えて!」


あ、綾ちゃんーっ!?


私は綾ちゃんに勧められた衣装に着替える事に。


「や、やっぱり何か恥ずかしいよっ」


「み、みっちゃん!」


私はピンク色のナース服に着替えた。


「丈、短すぎるし・・・」


私はスカートの裾を掴み、言う。


「え、エロ可愛すぎ。つら・・・桜木、めちゃくちゃ萌えるわ」


「みっちゃんのニーソとスカートの間から見える太ももナイス!!」


綾ちゃんと姫島くんはにやにやしながら言う。


恥ずかしいって!


「結斗、綾斗!逮捕」


「何でだよ、陸斗!」


「陸斗だってにやけているくせに」


「に、にやけてなどいない」


すると


「あ、あの。一緒に写真撮っても?」


知らない同じ学年の男子達に私は話しかけられる。


えぇっ!?


「あ?てめぇら、桜木に近付くんじゃねぇよ?」


「みっちゃんをいやらしい目で見たら許さないよ?君達」


姫島くんと綾ちゃんが彼らを睨み、言う。


「た、高宮くん・・・」


私は高宮くんの服の袖を掴む。


「大丈夫、桜木。俺らが守る」


「あ、ありがとう・・・」


「桜木、今度からはそういう格好しないで。約束して」


「高宮くん?」


「嫌だから。桜木がいやらしい目で見られまくるの」


た、高宮くん!?


「わ、分かった」


「正直、俺・・・すげぇ萌えた」


「も、萌えた!?」


やばいな。


すごく嬉しい。


諦めるなんてやっぱ無理なんじゃん、私。


高宮くんがどうしようもないくらい、好きなんだ。


「よし、邪魔者は追っ払ったし!写真撮ろ!」


「うん!」


私達創作研究部は皆で写真を撮った。


待ち受けにしちゃお!


だけど


「最後なのかな・・・」


綾ちゃん・・・?


綾ちゃんは切ない表情でスマホを見つめていた。


「桜木、2ショでも撮ろうぜ」


「あ、うん。良いよ。姫島くん!」


姫島くんと私は2ショットで写真を撮る事に。


だけど


「じゃ、行くぞ」


姫島くんはセルフタイマーモードに。


あれ?


カウントが終わった時だった。


姫島くんは私の頰にキスをした。


「ひ、姫島くん!?」


「隙あり」


姫島くんはにやっと笑って言った。


ドキドキが止まらないのはきっと姫島くんの気持ちを私が知ってるから。


「ユイユイ、何してるのかしらー?」


「いって!綾斗、技かけんな!!」


あ・・・


高宮くんは女の子二人組に写真を頼まれ、一緒に写真を撮ってあげてる。


良いなぁ。


私も高宮くんと写真撮りたいな。


だけど


「皆!そろそろみゃーちゃん達の劇の時間!」


「やっべ!着替えねぇと」


そうだ。


これから優里香ちゃんと桜小路君の劇の時間だ。


写真は諦めるしかないなぁ。


演劇部の劇も体育館で行われた。


演劇部は様々な童話の演劇をやっている。


優里香ちゃんと桜小路君は赤ずきんちゃんに出る。


赤ずきん役は優里香ちゃんで桜小路君は狼役だ。


「ねぇ、おばあちゃんの目は何でそんなに大きいの?」


「それはね、お前をよく見る為だよ」


「ねぇ、おばあちゃんの耳は何でそんなに大きいの?」


「それはね、お前の声をよく聞く為だよ」


桜小路君、高宮くんみたいなリアルな狼の被り物をしてる!


あと、おばあちゃんの声上手い!


優里香ちゃんは可愛いなぁ、赤ずきん役。


「おばあちゃんの口は・・・どうしてそんなに大きいの?」


「それはね、お前を食べる為だよ!!」


「いやぁぁ!!」


桜小路君怖っ!!


だけど


「悪い狼だ!!成敗してやる!!」


桜小路君扮する狼は狩人に剣で斬られてしまった。


「ぎゃあああ!」


やっぱり桜小路君って演技上手いな。


演劇部で一番上手い気がする。


「いやぁ、みゃーちゃんもゆーちゃんもすごかったわね」


「だな。桜小路、やられてたけどな」


「桜小路君、やっぱりすごい人。尊敬する」


学園祭1日目、すごく充実してたなぁ。


明日は優里香ちゃんと学園祭を回る。


明日も頑張ろう。



「皆で回れて本当楽しかったわ」


綾ちゃんは笑顔で言う。


「そうだね。また来年も回ろうね」


「来年・・・ね」


「綾ちゃん?」


綾ちゃんは悲しい瞳をしていた。


綾ちゃん・・・?


こうして学園祭1日目は終わった。


綾ちゃん、どうしたんだろう?


綾ちゃんはいつもよりテンションが低い気がした。


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