眼鏡の聖地

mega-neO

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「おと~ん!」

萌え系漫画好きの中学生 暁 は今、かの有名な映画評論家での暁の父でもある おぎす と異次元空間の真っ只中にいたのだ。

「ここはどこなんだよぉ!」

さっきまで祖父に仕事と言われて映画館で萌え系アニメの映画を見ていたはずなのに……なぜ?

おぎすが気がついた時にはそこはアニメそのまんまの世界。

そして、暁が目覚めた時には、そこは意味不明な画像と音声が入り乱れる謎の空間。

そして、暁はまた気を失ってしまったのだった……




眼 鏡 の 聖 地

※パクリは当たり前という覚悟でお楽しみください。

これは非公式の一次or二次創作物となっております。

パクリ先の関連者の方々とは一切友好関係がありません。

この物語はフィクションです。

ここに登場するコードネームと実際のハンドルネームとは一切関係がございません。



第1章 眼鏡はツライよ


時は第99次世界大戦。眼光川・鏡利参平連合王国(眼鏡王国)とコールド・レイク民主主義大帝国(CL帝国)のお互いの過激な貿易摩擦が火種となり、今回描かれる戦争、M-C戦争が起こった。

若くして肉親や義理の両親を失い、ちょうど今年で暁と同じ歳になる 眼鏡王国王 はこの戦を目の前に緊張を隠せなかった。

いくら国王閣下と言われても、所詮まだ中学生に値する年齢である。国を引っ張るのにはまだ幼さを痛感する。

しかしながら国王の血筋が流れる彼だけあり、剣術の腕前は同年代の少年少女と比べれば群を抜くのは百も承知である。

中でも彼は由緒正しい魔方使い一家の長女に生まれた母を持っているために武器に魔法をこめる、魔剣士の才能を驚異的に伸ばした。

戦力は成人の一等兵に並ぶ。頭も冴え、義務教育の範囲の科目は既に優秀なカテキョー陣のおかげで習得済みである。


そんな不安にかられる国王の前に、数少ない少年一等兵のスゴ腕スナイパー、 Mrk.3 が国王の間に姿を見せた。

「お呼びか、コクオウサマ。」

Mrk.3をはじめ、一部の同年代の兵士とは友達のように会話を交わす国王。

「あぁ、そうや。その前に、CLの輩の俊敏さにはおまえのライフルの命中率が必要や。頼んだで。」

「それは何回も聞いたわ。」

彼らは決して女ではなく、この国内ではほとんど関西弁で会話は進行する。

「で、話ってなんやねん?」

「お前に二等兵の教官の補佐を頼もうかと思う。」

「それはありがたいわ。で、どこの部隊?」

「第2部隊。」

「……?」

「どうかしたか?」

「おい、国王さん、わかってるんか? 刀や斧を扱う力任せな部隊やで。命中率が命の俺には務まらへんわ!」

「スマン。人材が不足しとるん…」

「国王様!!」

叫びながら入ってきたのは、それこそ本当の二等兵第二部隊、図太くがっしりした体つき、金髪のアフロ頭、黄色い眼光の欧米育ち。

歳は30代前半の男であった。

昔は二等兵にはMrk.3のようなコードネームは付けられていなかったので、彼にはその名残惜しさがために、今もなおコードネームは持っていない。

「大変です! この国のものとは思えないような少年が城内に……。」

「なんやて!! そやつは今いづこに!?」

「記憶喪失みたいで、イミ不明なことしか話せなくなってるみたいで……。」

「ちょうどええわ。事情次第では人材の補給になるし。」

「ちゃっかりしてるなぁ、コクオウさん。」

Mrk.3は同い歳だからといって、相変わらず国王に高圧的な態度をとるのであった。


「ぉぃ! 日本に帰せ! 俺は平成の世から来たんだ! え!? 何とか言えよ!!」

もちろん、侵入者はタイムスリップしてきた暁である。おぎすとは2回目に気絶した後にはぐれてしまったようである。

金髪男はとうとう看病しきれなくなり、直々に国王に伝えに来たわけである。

「仕方がないわ、というよりは、おもろいことになってきたわ。早速その少年を拝見しようじゃないか。」

「お前はそういう言い方しかできひんのか? お前ホンマ変態やわぁ~。」またMrk.3のツッコミ。

「ふん、お前はいつになったら性に目覚めるんだか…。」

※ここはアダルトサイトではございません


暁はあきらめがついたのか……また眠っていた。

「ふん。顔立ちはイマイチだが、いい体つきをしている。」

「……何かお前の言い方は気になるけど…ナゼに標準語?」

「コッチの方が国王っぽいって今更気づいた。」

「あっそ。で、どう思うんや? 彼のこと。」

「タイムスリップしたのは間違いない。」

「!!!」

「どうした?」

「タイムスリップなんて…出来るわけないやろ!」

「なに言ってんだよ。ここは創作物の中の世界。それに俺でもルーンの10個や20個は唱えられるのに、魔法が信じられないとは何事だ!」

実は、Mrk.3はまだその眼で魔法とやらを見たことがなかった。

「……でも、なぜ映画の中の世界に入ってから未来へ?」

「それはわからん。それに、我が国は主に戦闘に役に立つ魔法…攻撃魔法、召喚魔法、治療魔法などしかその文化を持っていない。

タイムスリップは愚か、時空を捻じ曲げたり、瞬間移動なんて……俺にも考えられないことだった。

おそらくCLのやつらの実験に違いない。あいつらはCLの最強の武器、波動砲の開発の真っ最中だからな。

あれは空間を捻じ曲げることで大きなダメージを与える。」



第2章 The history of Kingdom


「ん、んんっ……夢じゃ…ないのか…。」

その時ようやく暁は眼が覚めた。

「おう、さっさと氏ねや。」

「え、展開早くね?」

「あなたは…どちらさまで?」

「俺はこの国の王だ。名はない」

そう、眼鏡王国の兵士には皆コードネームが与えられていたが、平民や皇族には名は無かった。

「自分は暁といいます。」

その後国王たちは、暁の身に起こったことを色々と聞き出した。Mrk.3は天地がひっくり返った時かのように顔が青ざめていた。

「シンシ゛ラレナーイ!!」

Mrk.3はそういい残してばたんきゅ~とばかりに倒れた。

「俺はお前の話を信じる。大丈夫。俺たちは俺の味方だ。この服装は確かに昔の先進国の服装にそっくりだ。」

「ありがとうございます!」

「しばらくはここのゲストルームで暮らすといい。街にいては怪しまれるだろう。」

「い、いいんですか?」

「あぁ、よかろう。ところで君はいくつになるんだい?」

「歳ですか? ええと、十うん歳です。」

「おぉ、僕と同じじゃないか。なーに、敬語なんていらないさ。」


廊下を歩く二人。自己紹介は大体済んだようだった。

「ところで、みんななぜ俺と同じ言葉がしゃべれるの?」

「わが国はもともとお前の住む日本の一部だからだ。」

「……一部?」

「そう、何百年も前に、日本は滅びた。」

「……なぜ?」

「肉眼派、眼鏡派、コンタクトレンズ派に分かれてしまったからだ。」

「!!!」

「あ、といっても、この国は眼鏡をかけなければならないが、その規制が甘い。サングラスでもいいし、おもちゃの眼鏡だけでもいい。

眼鏡とコンタクトの両方をしてても構わないんだ。皇族はだめだけど。」

「はぁ……。」


国王は暁を国王の間へ招待した。

「唐突だが、君には重要なことを話さねばなるまい。」

暁は胸を高鳴らせた。

「もしかすると……君はこの国の救世主なのかもしれない。」

暁は絶句した。いきなりハ○ヒの世界へ連れさられ、今度は3000年後にまでタイムスリップした挙句、

この国の救世主になれだと、トンテ゛モナイ!!

「……わかりました。

(えっ! 口からでまかせに……コレが魔法の力なのか…。)」

「ん? 魔法でお前の口が動かされたようだな。何者だ、出て来い!!」

いきなり現れたのは、眼鏡を掛けていない黒頭巾の男だった。ナイフを二刀流のごとく両手に一本ずつ持っているではないか!!

「えぃ、よそ者め! よりによって俺の部屋まできよって…。」

「お前の首は、俺がとる。」

「生意気な、覚悟!!」

国王は持っていた杖を引き伸ばすようにした。すると、杖の先端の宝石のようなもので出来た球体は

剣の柄のような形に変形し、もともとの杖の柄は鞘のように抜け落ち、なかから白銀に輝く刀身が現れたではないか!!



第3章 Rifle Life


しかし、先攻は黒頭巾だった。


クロスさせるように2本のナイフで斬りかかってくる。だがこんなことでやられる国王ではない。手馴れた動作でひらりと攻撃をかわした。

再び黒頭巾は斬りかかる。今度は剣で跳ね返す。

「ふん、これだけの男だとは思うなよ!」

黒頭巾は部屋の隅からそう叫ぶと、ものすごい速さで国王に飛び掛ってきたのだ、特急並みの速さで。

コレは形勢逆転かと暁が確信したのもつかの間、攻撃を受ける0.5秒ぐらい前で国王が剣を一振りすると、かすりもしなかったはずなのに、

黒頭巾は跳ね飛ばされ、壁に思い切り激突した。

「お、おのれぃ……。」

黒頭巾男の服はすでにズタズタだったが、戦意はまだまだ有り余っているようだった。

暁は口をポカンと開けたままだった、いや、開けるしかなかった。

「次は俺の攻撃だ。」

すると、国王の剣先からまばゆいほど緑色の光が放たれた。その光は球体となって剣先で大きくなってくる。


あれは光ではない。放電された電気の球である。

国王の眼鏡がキラリと光る。

そして、その球体はついには国王の頭3個分の直径にまで巨大化した。

「くらえぇぇぃぃぃ――――っっっっっ!!!!!!」

ついにその球体はこれまたものすごい速さで黒頭巾へ放たれた!


「ふっ……」

黒頭巾はナイフを十文字に交差した。すると、驚いたことに、球体は跡形も無くナイフへ吸い込まれていった。

今度こそ本当に形勢逆転である。

「アレ、オカシイナ、ソロソロタスケカ゛クルハス゛ナンタ゛ケト゛……」

国王の声は半ば上ずっていた。

「氏ね。」

いよいよ黒頭巾が反撃をしかけようとしたその瞬間、大きな銃声が室内を横切った。

その銃弾は黒頭巾男の太ももを直撃したようだ、黒頭巾は大きく倒れた。

銃の持ち主は他でもない。ライフルの使い手、Mrk.3である。

暁はわけが分からなくなった。魔法だけでもスゴイのに……剣とライフル銃は釣り合わないだろう。

「コレで…最期だ!!」

すると、黒頭巾のまわりを黒い光が取り囲んだ。呪いのルーンを唱えているのだ。

「むやみに近づくな! Mrk.3、早く始末してくれ!」

「弾…切れた……」

「!!!」

もうだめだ…国王とMrk.3が失望していた一方で……暁は…発狂していた。

「うぅぅぉぉぉおおおおぉぉぁぁぁああああ―――!!」

すると、暁の手に持っていたハ○ヒの本のページがペラペラめくれたかと思うと、

挿絵のページで止まり、青白く光り始めた。

黒頭巾は愚か、Mrk.3までもが唖然としていた。一方、国王は一握りの希望を抱いた。

いよいよその青白い光が一筋の、しかしながら力強いビームとなって黒頭巾に放たれた。

「くぁwせdrftgyふじこlp―――――!!」


黒頭巾にもう意識など無い。ただ、暁も意識朦朧としながら崩れ落ちた。

「やはり俺の認めた救世主、さすがだな。」

「感心しとる場合か!!」

「いや、彼はこの国の救世主に違いない。彼には YKK のコードネームを授け、一等兵第3部隊で訓練を積むべきだ!」

「……(俺のライフルの一撃があらんかったら絶対負けてたやろうに…)」


Mrk.3は生まれながらにして両親を失い、身元も分からぬまま異国の地をさまよっていたところに今の国王の父に保護された。

それまで約3年間、Mrk.3の父が趣味で集めていた銃の数々で狩猟を行って暮らしてきたMrk.3。

(銃を使えるまでは木の実採取で食事を済ませた)

エアガンが大半だったが、その中には本物の銃もあったりした。

それでもほとんどがマシンガンや二丁拳銃だったが、一丁だけのスナイパーライフルを見つけ、

その殺傷能力のとりこになってしまったのだ。

そのため、ライフルの腕には相手が大人だろうが、絶対の自信があった。

ただ……そのライフルで実際に人を撃ち、負傷させたのは初めてだった。彼もまた精神的に大人とは言い切れない。



第4章 黒人スパイの憂鬱


「なぜ早く助けに来なかった?」

「お前ボディーガードに2人にさせててくれと言っとったから俺は問答無用で同行無理だろーが、そんなら監視カメラ見てる人にでも文句言えば?」

「手下のくせして生意気な……」

この件の後、監視者が居眠りをしていたことが発覚、すぐさまクビになったとか。


…………


さて、YKKが眼鏡王国に来てから1週間が経とうとしている。YKKはどんくさいながらも相変わらず訓練に励み、順調に戦力を鍛えている。

コレには国王も目を見張ったが、一番驚いていたのはYKK自身だった。あのビームはあれから1度も出せてはいないが、

人の頭ぐらいの大きさの幻獣を召喚するまでの魔力を習得したのだ。


少年兵の訓練が進む中、成人兵も順調に駒を進めていった。確かに今現在は世界中で戦闘が繰り広げられているのだが、

眼鏡王国が戦っているのは、同じ元日本の領土内内のCLと弐九癌共和国のみだった。

今の日本で言えば内紛と言ってもいいほど規模が小さいが、それでも最も熾烈な熱戦を繰り広げていた。


一方のCLでも、おされ気味ではあるが、最終兵器、波動砲の準備は着々と進んでいた。

このCLの秘密工場に潜入しようとしている1人の女性がいた。


彼女のコードネームはoir-oke。歳は10代後半。眼鏡王国がCLに送った優秀なスパイである。

眼鏡王国の城内は高い城壁で守られているだけで、空襲は城壁上部に取り付けられた砲台で打ち落とすしかない。

一方のCL大帝国は城や秘密工場含む城下町全体を透明度99.999%、かつ強力なバリアで囲まれており(主要都市も同様)、

眼鏡王国の国民はウィザードでも不得意であり、CLの国民ならほとんどの者が出来るテレポーテーションでないと

バリアの中には入ることが出来ない。(バリアから普通に出ることは出来る)

彼女は両親ともにCL国民であったが、眼鏡に殺され、自分だけ拉致されたのだが、当の本人は何も知らない。

物心はついていたので、サングラスをつけるのはこの上ない屈辱であった上、

(眼鏡王国で眼鏡とコンタクトの同時着用のみ認めるようになったのは、この一件があったからである)

もちろんテレポーテーションも使える。それが拉致する最大の理由となったのだ。


彼女はもちろん現在CL内に進入中のため、コンタクト(カラコン)のみの着用である。

軽くバリアを通過し、ついに秘密工場前までたどり着いた。


しかし、バリケードは硬かった。

「どきな。」

早速戦闘は始まった、しかし勝負はあっさりとついた。彼女は眼鏡王国第3部隊でさらに魔力が高められ、

眼光で敵の眼をくらますことさえ可能になった。


もちろん一筋縄で行くわけでもなく、回廊に現われたのは戦闘ロボと仕込みマシンガン10体である。もちろん、先ほどのワザは通用しない。

しかも彼女は、それほど戦闘魔法は強くない。元はといえばMrk.3と同じ第5部隊で訓練を積んだ身だから。

つまりどうすればいいか。もちろん、拳銃である。

弾をひらりひらりとかわすと、彼女の得意とするGLOCK38の攻撃が炸裂!! 敵は火花を出して砕け散った。


いよいよメインホールへ。敵は誰もいないようだ。手当たり次第のパソコンをハッキングし、あっさりと設計図を入手、持ち帰ればミッション成功、お手柄である。

しかしツメが甘かったようだ、

「今から試験を開始します。」

「!!!」

アナウンスが聞こえたかと思うと急に全てのドアが閉まった。

「ターゲット・ロック・・・」

すると波動砲が起動し始めた。

ここのカベは国営機密を守るべくテレポーテーションで通過できない特殊なバリアがコーティングされている。

「(早くハッキングで解除しなければ……)」

すぐにパソにくらいつくと、ちゃっかりバリア解除。波動砲受ける寸の差でテレポーテーションで脱出。


しかし最後の刺客はすでに手配済みだった。

まわりは警官、兵士、そして大多数の野次馬が囲んでいた。

最後の一手は…手榴弾だった。手榴弾といっても、爆発範囲がやたら広いけむり玉のようなものだった。

その隙に恐ろしい速度で駆け抜け、人込みから脱出。テレポーテーションでは移動距離が限られるので

これが一番なのだ。黒頭巾同様、CL国民は高速で駆け抜けることも得意とするのだ。


命からがらでミッションは成功したのだった。



第5章 Crazy time


波動砲の設計図を入手した眼鏡王国の兵器工場も新兵器の作成にとりかかった。完成目標の兵器の名は

"Crazy time"

時空を捻じ曲げて攻撃する、波動砲より強力な大砲である。

波動砲が作れないまでも、あるエネルギーがあればこの兵器を作ることが可能である。


…………


YKKの一件から早1ヶ月。思えばYKKも長居したものだった。早く夢から覚めればいいのに……

そんなYKKを、国王は友達のように慕っていた。


「戦じゃ~!!」

今日も訓練に追われる兵士たちが耳にしたのは、1年半ぶりの空襲警報のサイレンだった。

「諸君、戦闘態勢に入れ!!」

軍曹の掛け声と砲台の発射音がこだまする。


時空砲については試作品が昨日完成したばかりなので上手く起動するか分からないが、もちろん現段階での最終兵器であることは間違いない。


すさまじい勢いで砲台は破壊されてゆくが、それを上回る恐ろしいペースで敵の戦闘機は撃墜されてゆき、ついには相手の空軍は全滅した。

しかしこれで終わりなどしなかった。東側の城壁が粉々に砕け散った。

敵の戦車にはすでに小型波動砲が搭載済みなので城壁が高かろうが分厚かろうがお構いなしだった。

城のベランダにいる第5部隊は手榴弾や拳銃をとにかく放ちまくった。しかし、これがどうなるわけでもなく、ただの時間稼ぎだった。


一方で眼鏡側の陸軍の援護がいよいよ到着した。

「全機、戦闘準備。」

当戦車に搭載されているのは「Death Flash」という怪光線で「True Hell(真の地獄)」の異名を持っている。

小型の波動砲では到底捻じ曲げられないであろうその勢いは縦に並ぶ戦車15台を貫通するほどである。

チャージ時間も敵軍の波動砲の約1/10。威力も波動砲にすこし欠けるぐらいである。

軍勢は敵100台に対してこちら120台。少なくとも競り合うことは可能だろう。

「撃てぇ!!」

しかしながらあっという間に勝負はついた。こちらの貫通力が大きく上回ったようだ。


ところが、上空になにやら巨大な影が飛来しているではないか!!

「見よ、我々の最終兵器、波動砲の完成系の美しい姿を!!」

みるからに人型ロボット、色といい、形といい、ホントにガ○ダムに出てきそうなボディだった。

「これが我が軍の最高峰、超兵器完全体"DP"だ!!」


しかし、

「ふ、なめてもらっちゃ困るわぁ。」

突然の大音量ボイスのアナウンスに一時騒然とする両軍。そしてまた上空にあらわれた巨大な影……


声の持ち主は…あの男だった。

Mrk.3である。彼はこの案をひらめき、眼鏡王国海軍の超兵器、SG艦を特別に買い取り、改良した。

改良後新たに搭載されたのは……時空砲CTの試作品である。

上手く起動するかも分からないので、運次第ということだ。

CTの操作は今や第5部隊副隊長のMrk.3だが、操縦は通常でもSG艦を任されているJii-san、メカニック部隊を率いるのは第5部隊隊長、卍F卍少尉である。

さらにこの浮遊力の源となっているのは……


眼鏡王国が誇るトップクラスのウィザード、ウィッチたちの魔力であった。

彼らはホールに集まり、「水の鏡」と呼ばれる魔力の送り先を3次元で写しだす水晶を囲み念を送っていた。

この念を直々に受け取るのが……国王である。

この一ヶ月で最も育成された兵士が彼である。なぜ彼がこのような危険を冒したかというと、自分がどうしても一緒にいなければならない兵士がいるからである……


その男こそ、YKKである。彼がCTのエネルギー源を作り出す唯一のカギを握っている。

YKKの体内に未だ残る時空の歪みとハ○ヒの萌えのパワーをエネルギー源としているのだ。だから彼はこの国の救世主となるべき男なのである。

「光が青になったら逝け。」

あの時の青白い光……時空を捻じ曲げるあの青白いビームを拡張させてぶちまけるのである。


「さぁ、行くが良い、YKKよ!!」

「ハ○ヒを読んで悪いかぁ―――!!」


一方、そのCTの威力を知らぬ敵軍の軍曹が無線で伝えた最後の言葉は……

「撃ち返せば終わりだ、どうせ捻じ曲げられるぞ、撃てぇ~!!」


「うぅぅぉぉぉおおおおぉぉぁぁぁああああぁぁぃぃぃんんn※△☆■○∴□♪Σくぁwせdrftgyふじこlp―――!!」

ググッグォォォオオオオオオ――――――ッッ!!!


………決着はついた。超ド級戦艦はカソタム形ロボをスプーン曲げの様にくるくるぱーに仕立て上げた。

波動砲が当たればこちらも腐っていたろうが、oir-oke率いるハッカー軍の音速のハッキングが発射を一瞬遅らせた。


確かに城壁はボロボロになったが、ほぼ完封勝利といっても過言ではない。犠牲者も0に限りなく近い。

その数少ない犠牲者に選ばれたのが……YKKだった。


「実は黙っていたんだけど……」

自分の体内にのこる時空の歪みが全て消え失せたため、もとの世界へ戻ってしまったのだ。

「それでも……友達でいよう…。」













第6章 Lost my glasses ~King knows~


国王は知っていた。全ての時空の歪みが消えた時、YKKは元の世界に戻れることを。しかしあの時は……否定しなかった、いや、否定できなかったから仕方がない。実際には否定したが…あいつが…

Mrk.3。あいつが今まで俺の足を……違う…あの時、俺がそのことを言えば……。

最悪だ。YKKにとってはよかったかもしれないが…このままでは……国g…。

あぁ、最近俺の考え方が狂ってきたようだ…俺は……何をすれば…

これでよかったんだ、これで……何だ、このモヤモヤは……

…チキショウ。


あれからどれくらいの時が経ったろうか……気がつけば、国王は地面に横たわっていた。さっきまでの勝利の喚起の声は消え失せたようだ。

夕日が沈みかけている。この赤々としたこの夕日の色は何を意味しているのだろう。ひしひしと自分の心に訴えかけてくる。

おっと、眼鏡をかけるのを忘れていたようだ。


……ない。この章のタイトルそのまんま東…そのまんまだが……眼鏡が……ない。


一方、こちら現の世。YKK、いや、暁が気がつけば、あの映画館で、あの忘れもしない映画館で座っていた。

スクリーンは真っ白。客は誰もいないようだ、一人を除いては……。

ただあの時と一つも変わっていないこと、それは…、父おぎすがとなりのトトロ…失敬、暁の隣に座っていたことだけである。

「目覚めなさい、イツキ。」

「もう覚めてるよ。」

「冴えてる眼鏡をしてるね。」

「え。」

彼がかけていたのは……眼鏡だった。


……国王の。

夢ではなかった。あいつの眼鏡が魔力を増大してくれたんだ。

なんか…懐かしい。


「お、おとん、いいタイトル思いついたぞ。」

「へ?」

「眼鏡の聖地。秀逸だろ?」


あ。

この眼鏡……

YKKのやつじゃねぇか…

あいつに渡したもんな、眼鏡…

丸眼鏡じゃないけど…ま、いっか。

あ、口に出てしまった。

まいっか、誰も聞いてないし…。


その時物陰から声が……

「ふ、何が丸眼鏡や…つまらないやつ。」



第7章 幼い命


あの日は快晴だったっけ……

竹がそよ風に揺れる…一度しか行ったことがないが……今でも鮮明に覚えている…

国王の別荘…


ベジタリア。

そこは、国王の産まれた場所でもあった。

あの思い出の場所が…なぜ?


CLは一時態勢を練り直すようだが、いよいよ肉眼が動き出したようだ。

肉眼は武器が非常に不足しており、今は竹槍の生産で精一杯だったらしい。

あの場所は、今は肉眼の手に落ちている。


そして、その肉眼を"兵糧攻め"するために…

あの竹藪…あの思い出の地の竹藪を……

全て枯らさねばならない……


寄生虫「ババーンゲリオン」を放つことによって竹は枯れてゆくという……

この案を提案したのも…あいつだ。


もう許さん……。


国王はもう考えることに愛想が尽きた。

その時、城の外部からすさまじい銃声が響き渡った。

「何事だ!?」

国王は十数人のボディーガードを引き連れ、城の外部へ向かった。


彼を待っていたのは…Mrk.3とoir-okeだった。

「てめぇ…許さん!」

Mrk.3は声を張り上げた。

「私の両親を殺したのは……あなただったのね。」

「俺の両親も……黙っていよったなんて…卑怯やぞ、丸眼鏡!」

「うるさいわい! ええい、ばれてしまえば仕方が無い!」


―――氏ね。


ボディーガードは引き下がった。

彼は一人で戦うのを好む男、彼の気持ちを少しでも害しないためにも……彼らの責めてもの配慮だった。

しかし仮にも自分たちは国王陛下の選ばれしボディーガードであり、国王を護衛しなければならない。

仕方なく遠くから見守っていた。


相手は2人だけ、完璧な決闘である。


銃声が響き渡る。しかし、国王は彼らの切り札と弱点を知っていた。そして、悲痛な過去を。

oir-okeはあの二刀流戦法でナイフで斬りかかる、音速のスピードで。

国王はあの時のように跳ね返す。

oir-okeは吹き飛ばされるも、Mrk.3が国王の背後からマシンガンを連射。

バリアでかろうじてかわすと、剣でしたたかにMrk.3を殴る。すると、Mrk.3の体内に高圧の電流が走り、Mrk.3は気絶してしまった。


いや、ロボットのショートに近いかもしれない。

Mrk.3は城にきてから初めての空襲で、体をほとんど失ってしまった。

いまはロボットに命を吹き込むことで、命からがら生き残った。

これがMrk.3最大の弱点である。


Mrk.3のショート中に再びお色気…ぁ、失礼、oir-okeが斬りかかってくる。

今まで戦友だったとは思えない彼らの対決に、見ていたボディーガードは戸惑いを隠せない。

いよいよoir-okeの切り札が出てくる……

手元にあるワイヤレススイッチを押す…


震えている…この超小型2丁マシンガンの振動が……直(じか)に伝わっているではないか。

敵を、味方をも虜にする恐ろしい攻撃である…虜にならないといえば、Mrk.3だろうか…

ぁ、そうだ、彼らにはもう一つ黙っていたことがあった…


彼らは姉弟なのだ。羨ましいな、Mrk.3が、こんな姉貴がいるなんて。

(繰り返しますが、このサイトはアダルトサイトではございません。

Mrk.3は国王の魔法によって肌色が黄色人種に変えられている。


バリアが破られる。

「俺の攻撃が雷属性ばかりだと思ったか!?」

バク宙で何気にかっこよく…訂正、かっこつけて着地した国王は、いよいよ眼差しを熱くした。

「ビクトリーにはこういう使い方もあるんだ!!」

すると、急に杖の外部であったあの宝石らしき球体が浮かびだした。


「!!!」

「さぁ、ディナータイムの始まりだ。」

球体がoir-okeに向かって突進してくる。しかし、ロボットと化したあいつの腕が守る。

「(さすが姉弟。連係プレイは当たり前だよな…)」

「俺のターンはまだ終わっちゃいいへん!!」

「何ぃっ!?」

Mrk.3の腕はもともとはマシンガンのボディとして使われていた。

「これで終わりだ!」

姉弟のマシンガンが炸裂…かと思いきや、殴り落とした杖の球体がまばゆい光を放った。そして聞き思えのある叫び声…


「ハ○ヒを読んで悪いかぁ―――!!」


「!!!」

「時空の歪みは作り出せても消えない。必ずどこかに乗り移るのだ。」

「これに封印したとゆうんか……」

「これでホントの終わりだ。」

青白い光が姉弟を包む。これが彼らの悲しい最期である。


「さらばだ…oir-oke、そしてMrk.3」


姉弟の悲痛な叫びが国王の胸を苦しめた。

故郷のCL、一人で生活した「想い出の地」である肉眼を裏切り続けたoir-okeとMrk.3。

また信頼していた部下を失ってしまった。



第8章 肉眼のシナ 前編 竹林☆レボリューション ~Baba-ngerion~


しかし、彼らをかき消したからといって、寄生虫の猛威が消えることは無かった。

今は亡き両親との想い出の地の中で最も印象深い地なのに…

俺の思い出は、誰にも邪魔させない……


ババンゲリオンだと、ふざけた名前だ…

俺がまとめて焼き殺してやる……


しかし、寄生虫ババンゲリオンが竹林に感染したことにも気づいていないまぬけな肉眼ども。


寄生虫の感染に気づいた第1人者は、高校生ぐらいの小娘だった。

「タケガ…アブナイ……」

ババンゲリオンの感染の波は既に竹林の半分を覆っていた。

「タケヲコロスモノ、ユルサナイ、ワタシ、タケヲスクウ。」


「―――タケニ、"カクメイ"ヲオコス」


教会の娘に生まれたこの少女の名は、シナと言った。

眼は、まるで意識を失ったかのように、光が薄れている。


この少女の言動により、村の人々はなぜかおびえるようになった。


「時間感覚(タイミング)が重要なんだよ、さあ、信号が青に変わったら、行くよ。」

陸軍二等兵のあの金髪アフロは戦車の免許を取得、一等兵に昇格後、国王の信頼を買い、陸軍の間ではブイブイいわせている。


超ド級戦艦SGを所有するJii-sanはその功績が認められ元帥の称号を取得、高性能な追尾機能を搭載したミサイルや魚雷を積み込んでさらに腕を上げている。

戦闘機の一等航空整備士だった卍F卍は、晴れて念願の戦闘機操縦免許取得、操縦士に転職し、同時に大尉昇格を果たしたのだった。


そんな眼鏡王国のパイロット養成場の空には黒雲が広がる…

「イマコソ、カクメイノトキ!!」


事態を重く見た国王は、軍隊5000人を引き連れ、想い出の地へ急行した。

その道中、

「シナ様ノ邪魔スル野郎ドモ、我々ガ許サナイ。」

見た限り、3000人のウィザードの軍勢がこちらに向かってくるではないか。

「撃て!」

ライフル、リボルバー、マシンガン、バズーカの銃声・爆音が鳴り響く中、敵の軍勢の勢いが止まらない。

こちらのウィザード1000人、騎士2500人も迎え撃つ。

銃声、馬の嘶き、剣と竹槍がぶつかる音…

空からは雷が降り、凍てつくような冷たい横風が吹き、足元の地はひび割れ、炎が噴出する。全て魔法だ。


先頭から離脱した、国王を含め約1500人がシナとやらの所へ向かう。

大統領とシナを中心とした群集の輪が目の前に現れた。

祈りのルーンは一体何を意味するのか……

すると、周りの枯れた竹が緑を取り戻すではないか…

…まるで命を吹き込まれたかのように。


しかし、その竹も全て武器のために切り払われるに違いない。

「俺の想い出の地を踏みにじるな!」


さて、決戦が始まろうとしている。宣戦布告だった。後から追ってきた我が軍や同盟国、知久和封ちくわぶー共和国の戦車・戦闘機たちが集結。

敵軍の待ち伏せしていた兵士たちも続々と姿を現した。


1機の戦闘機が国王の下に降りてくる。

「さぁ、こちらへ。」

卍F卍と国王を乗せた戦闘機は、戦乱の爆風の中から脱出、そのまま立ち去る。


小さな戦闘機に国王が乗っているとは知るはずもない敵軍。

大統領はその戦乱の中、金髪アフロが見事連行に成功し、さらに手柄を立てた。

しかし尚も、戦乱は数日続き、その仁義なき戦いにピリオドを打った後日、彼らは降伏宣言を出した。


ついに肉眼から領土を取り返し、

国王想い出の地は、かろうじて消失をまぬがれたのであった。



第9章 肉眼のシナ 後編 ちくわぶー共和国の反乱


しかし、シナの欲は治まることを知らなかった。

「カクメイヲオコス、チクワブー、バンザイ。」命からがらで生き残ったシナはついにはこうつぶやき始めた。

これには肉眼の国民もあきれたもので、シナ様もお疲れなのではという声も上がった。


眼鏡王国にとって、シナの言動は危険とは分かってはいるものの、降伏宣言を出したからには、うかつに攻撃はできない。


一方、眼鏡王国を同盟国として眼鏡王国の地位をここまで引っ張り上げてきた立役者、ちくわぶー共和国は眼鏡王国とは縁を切るべきだというデモ抗議が相次いで起きた。

これには共和国代表Mr.Kもあきあきし、国議会の結果、眼鏡王国は同盟国から除外されることに決まった。

この1報にはこちらの国王も驚きを隠せなかった。しかし、これだけで終わるちくわぶーではなかった。

裏切るならとことん裏切るのがMr.Kの、いや、ちくわぶー教のモットーである。


後日、眼鏡王国第2の都市、バーバリアにちくわぶー軍が攻めてきた。

これには市民もたまげたもので、CLとはまた休戦状態に入っていたからだ。

ちくわぶーの大統領の住居、グリーンハウスで不気味な笑いを浮かべていた。

「恩返しをしてもらおうか……」


我がDFより強力な怪力光線を搭載した大型戦闘機の一群がバーバリアの真っ青な空を旋回する…

そしてそのハレ晴レした青空にもあの黒雲が……


卍F卍はその偵察部隊の先陣をきるという地味だが重要な任務に就くことになった。

「なぜこんなことに…」

バーバリアは卍F卍の故郷でもあった。眼を和ませる緑地と澄み切った青空が自慢だったのに……


「何がMr.Kだ。名前はお互いアルファベット一文字でかぶるではないか。許さん…」


シナの作り出した黒雲からまぶしく赤い閃光が走る。

「セカイハワレニアリ、チクワブーニサチアレ!」

いよいよちくわぶー軍の攻撃が始まる…


摩天楼は次々につぶれ、住宅街は火の海に覆い尽くされる。緑にあふれていた都市は炎に囲まれた墓地と化する。

かなり遅れてはいるが、ようやく眼鏡王国空軍戦闘部隊も到着したようだ。

しかし、時すでに遅し、といったところだ。そしてむなしくも敵の怪力光線により戦闘機は火の海に叩き落される。

卍F卍率いる偵察部隊も逃げ帰るしかなかった。


「チキショウ、僕がもう少し強ければ…


もう少し、強い力があれば……」


しかしもう手立てがないわけではない。バーバリアは海に面しているため、海軍による攻撃も可能である。

ただ逆に言えば、相手の海軍もすでにスタンバイ済みである。何とか他の港町への攻撃を防がなければ…

眼鏡の従属艦の小型駆逐艦でさえ、設計図を奪ってつい最近完成に導いた波動砲を搭載しているが、眼鏡より強い怪力光線はそれを物ともせず破壊してゆく……

しかしまだあいつが残っている…Jii-sanの超ド級戦艦SG型である。

あれには時空砲が搭載されているはずである、しかしエネルギーが…


…いや、ある。

国王はどうやってMrk.3を殺したのか、読者の諸君が最もよく知っているはずである。


また従属艦30隻つきっきりの完全防備態勢で国王様のオトーリだ。

さぁ、あの攻撃が、シナとかゆーガキのカクメイとやらをくるくるぱーにしちゃうぞ!

みんな、声をそろえて叫んでみよう、せぇーのっ!


ハ○ヒを読んで悪いかぁ~!


グッググォォオオオォォゥゥゥ――――!!

地響きが地面を揺るがし、海面をもゆるがす。

そして天地がひっくり返る……


どちらにせよバーバリアも滅茶苦茶になってしまったが、何とか、何とか敵の全滅に成功させた。

この反動は3日後、シナのいる国王の故郷、Mr.Kのいるちくわぶーの国土全体に時空を超えて襲いかかり、両者死亡、さらに後日ちくわぶーは降伏宣言をだした。


また 仲 間 どうめいこく 、共和国の戦車・戦闘機たちが集結。 を失ってしまった国王、しかしもう平気である。これさえあれば、この時空砲さえあれば……



第10章 追憶


CL制圧さえも見えてきた。思えば、ここまで来る過程は長かった。


暁は救世主として、物足りないながらも、良い活躍をしてくれたはずだ。

思えば、救世主のタイムスリップが予知されたのは暁が来るだいぶ前の話だった。


あれはまだ両親が生きていたころ、

偉大なるウィザードU.K.Sの予知能力により、暁という名の救世主がタイムスリップしてくることが分かった。

水の鏡に映し出された暁の姿がなつかしい……。


暁がやってきた時は何とか彼を落ち着かせようと彼の部屋に張り込んでたっけ…

また一目見たいものだ。あいつがいなくなってから、もうすぐ1年が経とうとしている……。ハ○ヒ、かぁ…

失うものも多かった。Mrk.3。唯一の同盟国…

しかし、俺には未来がある。ここでへこたれては、あいつらを殺したことは意味をなさない。

CLの帝王、L.レンジャー。必ずこの手で、時空砲でぶっ潰す……


卍F卍もまた、あの美しい故郷を失ってしまった。あの青空と緑はどこへ…?

この戦争に、終止符を打たねばならない…

あの空襲で、母も…亡くした。

自分には一体何が残っているのかさえ分からなくなっている…

なぜ、なぜ僕がこんな目に……

許さない、絶対許さない!


一方でJii-sanは、次のミッションにプレッシャーを感じていた。

敵の海軍の超兵器を壊す…それは並々ならぬ任務である。

時空砲があるからとはいえども、自分に本当にそんなことができるのか……

もちろん、自分だけではない。下級水兵を指揮せねばならない。

己の力をまだ信じきることは出来なかった。


金髪アフロは、持病に苦しんでいた。メタボリックシンドロームである。

最近戦車ばかり操縦しているせいか運動不足になり内臓脂肪がたまってしまったのだ。

兵士たるもの、体調管理は決して怠ってはならない。

早く戦場に復帰したい……


そして黒頭巾…え!?

なぜこんなところに黒頭巾が……あいつは死んだはずではなかったのか?

しかしこいつは女であり、あいつとは別人である。CLの偵察部隊はみなこのような格好をしていることを、兵士は皆知っていた。


「(しかし、侵入者は侵入者。早く手を討たねば……)」

国王も状況が分からないながらも手を打とうと部屋を後にしようとしたその時…


「ふ、ついにこの時が来たわね、眼鏡くん。」



第11章 暁の円卓


暁の世界、現の世にも、1年の月日が流れていた。

暁にとってこの1年間でもっとも大きな出来事は……父の死だった。

暁の父でもあり、映画評論家として知名度を上げ、著名人として生き続けたおぎすは、酩酊運転したトラックとの交通事故に巻き込まれ、この世を去った。

命を失うにはまだ若い年齢だった。


しかしそんな彼にも、春はやってくるものである。


彼のうちは田舎で、近所は廃墟ばかりだった。

今日はちょうど母親の出張と、妹の小学校のお泊り会とやらが重なり暁は一人夕食のチンジャオロースを口へ放り込んでいた。

つい最近、おぎすの四十九日が終わったばかりだった。

今日は一人、考え事にふけることが出来そうだ……

おとん…ベラベラ一方的にしゃべる人ではあったが、心の内はそれほど悪い人でもなかった。


おとん……


その時、家の表で強烈な爆音が響いた。

暁は恐る恐る表へ出て行った……


その爆発音の原因は……国王だった。


それまでの間に、彼の身に何が起こったのだろうか?


彼の目の前に現れたのはCLの手下ではなく、変装した女皇帝、L.レンジャーの姿だった。

彼女は恐るべき距離をテレポートできるのだ。

「さぁ、ショータイムの始まりよ!」

帝王が指先から青白い炎を放つ。国王も負けじと杖からエメラルドグリーンの炎を吹き出した。

灰色がかった爆風が2人を隔てる。その爆風を吹き飛ばすほどの黒い閃光が国王を襲う…!

国王は瞬時に杖の表面を剥ぎ取り、その剣(つるぎ)を一振りし、何とか攻撃を乗り切った。

「何!…まあいい。これでもくらいな、真空波!!」


真空波はCLの帝王が使う得意技だと、Jii-sanが言ってたっけ。

この攻撃は金棒一本なら軽く粉砕してしまうという、恐るべき攻撃だという。

「3次元を揺るがしても4次元の渦にはかなうまい、くらえ、My ビクトリー!!」

国王はこう叫ぶと、杖の先端部にあった、宝石で出来た球体を蹴り飛ばした…


「ハ○ヒを読んで悪いかぁ―――!!」


グォォオオオオッゥゥゥウウゥ――!!

青白い光が2人を包み込む……


そう、彼らはタイムスリップしてしまったのだ。


「それで運良くここへ?」

暁はとまどいを隠せなかった。しかし、国王は今一番会いたい人でもあった。

「おう、どうもあの光は、お前と密接な関係があるらしい。きっとあいつもこの近くに……」

「あいつって?」

「CLの帝王だ。女だけど、かなりの強敵に間違いない。」

「俺も力を貸せるかな…」

「ん? そのポケットの中身、みしてみろ。」

「ぁ、これは…」

「カードゲームかぁ…使えるな。」

「え?」

それは暁の大好きな遊○王のデッキであった。これをどう利用するというのだろうか!?

「まあ、任せなって。」


「見つけたわよ、あんた。」

「こっちも待ってたんだぞ、コンちゃん。」

「コンちゃんとは何よ、眼鏡の坊ちゃん。」

「あぁ、何とでも言うといい。さぁ、俺のターン!!」


事態はいよいよクライマックスへ……



第12章 この世の果てで 第1話 ~破壊神レンジャー様~


「魔法カード、死○蘇生、発動!」

国王はカードを魔方陣で包むと、カードから暗い紫色の不気味な閃光が……


その光の中から現れたのは…Mrk3だった。

「えっ、Mrk.3って死んだのかよ!」

「おぉ、裏切りよったからおれが殺した。」

「……それって、非常に気まずくないか?」

「ではオチの前にもう一人召喚。

死○蘇生、one more time!」


新たに召喚されたモンスター、いや、人物は…oir-oke。Mrk.3の姉貴である。

「丸眼鏡。私たちをこの世に連れ戻すなんて…ナメた真似を!」

「氏ね。」

Mrk.3はあの時のライフル銃をかまえていた。

銃口がギラリと光る。

「アワワワワワワワワ……。おい、国王! 何とかしてくれ!」

「俺がこいつらを使うと思うか? 魔法カード、カ○ス―黒○術の儀式、発動!! 守備表示モンスターを生け贄に……」

「なるほどな。」

再び姉弟のあっけない死を目にし……


マ○シャン・オブ・ブ○ック・カ○ス、召喚!!


「ふ、ワタシの存在を忘れてたようだね、真空波!」

攻撃力2800、守備力2600のカ○ス君もあっけなくかき消されてしまった。恐るべし、L.レンジャー。

「…むなしい。」

国王はがっくり肩を落としかけたが、ここでひるむわけにはいかない。

「真空波!」

「バカめ、これでもくらえ!」

真空波を寸の差でみきった国王がカウンター攻撃で真空波を跳ね返す。無防備だった帝王を直撃。

「…ウウッ、なかなかやるわね。でもこんなことでやられる私ではないわ! 氷柱針(つららばり)!!」

何十本もの針を軽く剣でぬぐう国王……


…いや、ぬぐったかに見えた。

「!!!」

刀身が凍り付いていた…かと思うと、

U.K.Sの魔法で頑丈につくられた特殊な合金、この合金で出来た刀身が粉々に砕け散ったではないか!!


「…早く構えろ、YKK。ライフルを!!」

生け贄に捧げられたMrk.3が現の世に残した唯一の遺品は…持っていたアサルトライフルだった。

「俺はここでは暁だが…」

「そんなことを構う暇があるのなら早く撃て! さぁ!!」


「弾が……ない。」

「!!!!」

「これでオ・シ・マ・イ(はぁと」

両手から真空波が撃たれる……直前の出来事であった。


L.レンジャーの動きが……止まった。

いや、周りの木々――月桂樹林の風による揺れも静まり返っている。

そしてさっきまで吹き荒れていたその風も…吹いていない。

「時が止まった…?」

「ということは……!!」

「どした?」

「お前ん家からあの…青白い光が……」

「じゃあ、アノ台詞、言っときますか。」

せぇ~のっ!!


シ○ナ……ミスった。


ハ○ヒを呼んで悪いかぁぁ―――――っっ!!


…!!!!!

ライフルから今にも放たれそうなエネルギーが心にひしひしと伝わってくるではないか!!!



第13章 この世の果てで 第2話 ~萌えが眼鏡を救う~


木々のざわめきが、再び聞こえ始めた。

「頼む、これで、終わってくれぇ~!!」

暁のライフルの銃口から飛びだした一筋の閃光がLの左腕を貫く。Mrk.3が愛用していたアサルトライフルはビームライフルと化したのだ。

「ぬぁぁ!!」

「…やはりダメージは少ないようだ。撃て! 俺も撃つ!」

国王が取り出したのは、Mrk.3の遺品であり、護身用に持っていたサブマシンガンであった。こちらもまた、先ほどの影響でレーザー銃になっていた…というのは見当違いだった。

第一発はLの腹部を直撃、しかし致命傷ではないようだ。

「ぉ、おのれぃ……真空波!」

右腕だけで巨大な真空波を作り上げ、撃つ。やはりただものではないようだ。引き伸ばされそうな力が国王たちの体を急に襲った。

「ぅぉぉぉ――!」

彼らの武器は遠くまで飛ばされてしまったが、何とか一命は取り留めた。

「ふ…これでどうだ!!」


国王はわずかな望みを託して、先ほどの剣の柄を取り出した。

グギャオンッッ!

「おぉ!!」

柄から唐突に赤い光が伸びた。これは国王の魔法ではなく、先ほどの影響でレーザー刀に変わり果てていたのだ…。

「ま、まさか…なぁ……真空波!!」

青白い光が猛烈な速度で接近してくる。国王はレーザー刀を虚空で斜めに振りかざす…

「真空波」は跡形もなく消え失せた上、刀身が思いのほか伸びて、Lの横腹をしたたかに打つ。

「!!!、こ…これでどうだ、氷柱針!!」


しかし、あっという間に氷柱針は払い飛ばされてしまった。刀身は……まだ燃え上がるような赤い光を湛えている。光が凍りなどするはずもない。

「…氏ね。」

国王はLにたたみ掛ける。あまりの勢いで狙いは微妙にハズレ、両足を切断した。相手は倒れこむしかなかった……はずだった。


「フハハハハハハハハノ \ノ \ノ \ノ \ノ \ノ \!! 笑わせてくれるわぁ!」

両足を失ったLの身体が浮遊している……。

「くらうがよい、CL.explosion!!」

紅色の光の玉が暁に襲い掛かる!…しかし、ひらりとかわした。しかし、詰めが甘かった。

着弾した「CL.explosion」とやらのエネルギーが円状に地面をつたって広がってゆくではないか!! 唖然として身動きが取れないまま国王・暁の足元も紅色に染まったかと思うと、足元から爆風が吹き荒れ、瞬く間に宙に吹き飛ばされてしまった!

国王:「うぉぉぉぁぁぁ――!!」

暁 :「あぁぁぁあぁぁ――!!」

いよいよ上空4000m辺りまで来ただろうか。薄い雲に覆われながらも橙色の不気味な光を湛えた三日月がうっすらと二人を照らす。

「(現の世も素晴らしきものだなぁ…)」

しかし、ここからが恐怖である。真っ暗闇の地面へたたきつけられるのである。

国王:「うぉぉぉぉぁぁぁぁあああ―――!!」

暁 :「ぃゃぁあああぁぁぁぁああ―――!!」


……しかし、地面に叩きつけられる直前、瞬間的にLを見切った国王は、渾身の力を振り絞ってその残影に斬りかかる。

手ごたえは…なかった。

完璧に見切ったはずだったが、あることをすっかり忘れていたのだ。CL国民なら誰でも持っているあの力を、テレポーテーションの存在をすっかり忘れていたのだ。レーザー刀は…目を凝らせば、柄が粉砕されているのが見えた。わずかな気絶中に、柄に氷柱針を撃たれたに違いない。

「フフフ、眼鏡の坊や、これで氏にな!!」

「国王……これが…俺の、最後のカードだ!」



最終章 この世の果てで 第3話 ~そよ風の子守唄~


「早すぎた埋葬!!」

「……誰が出てくるんだろ。」

「はにゃ~ん!!」

「誰だ、こいつ!」

「恥ずかしながら…


今は亡き、俺の父です。」

「!!!」

前々から聞いてはいたが…おぎすがこんなにも軽いキャラだったとは!

「何が父だ、さっさとあの世に戻ってもらおうかぁ!」

「これで終わりじゃ! ひっさぁぁつっっ……」

何だ、萌えとは違うこのみなぎるエナジーは…なんだか暖かいぬくもりを与えてくれる、このパワーは一体……


「必殺ツッコみ、なんでやねん!!」

二人は…ズッコケた(既に倒れていたので、心の中でズッコケた)。

おぎすはLの胸元にチョップを繰り出した。

「ぁ、エッチィィ!!」

「いい胸…してますねぇ。」

「ただのどスケベやないか! 止めろ、止めろぉぉ!!」

「Mrk.3、お前の出る幕じゃねーぞ。とっとろ…失敬、とっとこ、でもなくて、とっとと戻りやがれぃ!」

しかし、お笑いのパワーはじわじわとLを襲っているのも事実だった。(最終警告だが、このサイトは皆様が思っているような悪質なサイトではありません。)

「ぅぅ、ううぅぅぅぅ……」

「おぎすの親父さん、時間稼ぎ、ありがとうございます。おかげで若干力が湧き出てきました。暁も、色々と世話になったな…」

「国王…」

国王は最後の力を振り絞って立ち上がる。

「さぁ、Lとやらよ、お前の一寸先は闇だ!!」

「おもしろい、最後まで楽しませてくれてありがとう、でもあなたの役目もココマデ。最後に笑うのはこの私よぉ!!」


―――殺してやる。


闇の中を吹き抜けるそよ風が心地よい。

「これでねじ失せるがよい!!」

国王の頭上にあの「ビクトリー」が姿を現した…

「時の咆哮」

すさまじい轟音と共に、虹色の光を発するいくつもの小爆発の集合体がL.レンジャーを包み込む――!!

「うううぉぉぉぉおおぁぁぁあああ―――!!」

Lの悲痛な叫び声がこだまする。

国王は指を鳴らす…


「THE END。」


ハラワタが煮えくり返るような激痛がLを苦しめる……いや、本当に煮え繰り返っていた。こじれた空間の渦がLをこの世でないような容姿に変貌させてゆくではないか!!

「くぁwせdrftgyふじこlp―――――!!!」

もはや未確認生命物体の彼女からは、それもまたこの世のものとは思えない奇声を上げた。

「キタ―――(゜∀゜)―――!!」


……


そのまばゆい光に、暁は気絶していた。やがて再び優しい光が差し込んだ時、暁は目が覚めた。東の山から日が立ち上ろうとしていた。背にしていた地は、硬く冷たかった。

あいつらは、姿を消していた。父はあの世へ帰っていったに違いないが、二人も未来へ戻ったのだろう。


こちら眼鏡王国。一晩探しても姿がお見えになられなかった国王様がお帰りになって、喚起の声が上がるばかりだった。

「国王様、よくぞご無事で!」

「自分の手違いでタイムスリップしてしまってな、そこで一仕事を終えてきた。」


後日、未来に遺体の姿で帝王が戻され、もはやもぬけの殻のCLの首都を、今や無敵艦隊を率いるJii-sanのSG艦がボコボコにつぶしてしまった。


いよいよM-C戦争に終止符が打たれたのだった。





続く

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