みじカク⇔すぐヨム
ながやん
人間椅子探偵
僕の名はカウチ・チェアマン。このロンドンで知る人ぞ知る名探偵だ……産業革命で一変したこの魔都は今、まさしく
そして、そんな
ロンドン探偵ランキング
――
さて、それでは懸命なる読者諸君に、僕の手並みを拝見していただこう。今、僕が手がけているのは遺産相続にまつわる殺人事件……
ファイルナンバー00047、そう……名付けて『洗いたての
おっと、階段を昇る足音が聞こえてきたようだね?
「おはようございます、チェアマン先生! 早速ですが、現時点で全ての情報を洗い出して
息せき切ってやってきたのは、僕の親愛なる助手、パートナーだ。
ご紹介しよう、彼女はオシリーナ・ローズヒップ。名家の
彼女が情報を収集し、僕が推理で迷宮を照らして導く……その先で真実が今、泣いている。
さあ、僕たちの商売を始めようじゃないか。
「ご苦労だったね、ローズヒップ君。
「いえ、先生。整理してみたんですが、やはりヤードが調べた情報以外に手がかりはありませんわ」
ローズヒップ
この僕、カウチ・チェアマンこと人間椅子探偵の、
いや……どちらかというと、縁の上のお尻持ちかな?
少しローズヒップ女史について紹介しておこう。
「先生? あの……どうかなさいまして?」
「おっと、いけないね。なんでもないよ、ローズヒップ君。では……推理を始めようか」
僕は一歩もこの事務所を出ない。
必要なのは、ローズヒップ女史の集めた情報と、一杯の紅茶だ。
この場にいながら僕は、事件のすべてを
今日もまた、僕の桃色の脳細胞が
「では、先生! また素敵な推理をお見せしてくださるのですね」
「勿論だとも、ローズヒップ君。さ、リラックスして……普段通りに」
そして僕は、いつもの精神集中のために儀式を始める。
そう、迷宮入りして迷子になった真実を探すための、
僕は人間椅子探偵……その名の通り、推理に没頭するための手段は一つだ。
僕は、その場で床に手を置き。
いつもの格好で……人間椅子になって身構えた。
「さあ、ローズヒップ君! 座りたまえ!」
「はいっ、先生!」
笑顔を咲かせてえローズヒップ女史が僕に腰掛ける。
ローズヒップ女史の弾力に富む
オシリーナ・ローズヒップ、体重52.4キログラム……先の事件よりプラス0.6増だ。
どうやら少し食べ過ぎのようだね、最近。
それにしても……いい、最高だ。
「では、先生。まず、明らかになっている情報をご報告します」
「おほぅ……始めてくれたまえ」
テイクアウトの紅茶を手に、ローズヒップ女史が手帳の文字列に目を落とす。
すらりと背を伸ばして、姿勢よく僕に座っているね? 素晴らしいよ、ローズヒップ女史!
さあ、もっと君の体重を浴びせてくれ。
「事件はメイクィーン
「ふほぅ……そう、そうだったね。ん……ハァハァ、そ、それで……もっと、もっとだ!」
「はい、先生! その遺言書が開封された八時間後、ロザンナさんは自室で死亡……死因は
「んくぅ、昇天してしまったんだね……ハァハァ、僕もそろそろ……いや、まだだ! まだ!」
嗚呼! なんてわがままなボディなんだ、ローズヒップ女史。
その細い腰のくびれの下に、こんなにもむっちりと質感あふるるたわわな
素晴らしいよ、流石はこの人間椅子探偵カウチ・チェアマンの右腕と呼ばれる女性だ。
いや、右腕などと……尻に右も左もない!
左右で一つ、その谷間の奥の
「ヤードが容疑者としてあげたのは、次女であるヨナさんです。姉のロザンナさんが死亡したため、彼女には自動的にメイクィーン男爵家の全ての財産が相続されることになっていました」
「そう、しかし……凶器は見つからなかった。そうだね? ハァハァ……」
「ええ……そうですわ、先生。事件現場にはヨナさんの靴下が……まだ洗いたての、湿った靴下が落ちているだけだったんです」
そう、凶器である鈍器は見つからなかった。
ヤードは
そして
証拠不十分のまま、次女のヨナは近々
だが、だが……ハァハァ、これは……これは、イカン。
そう、イカンのだ……イカンが、イキそう、だ……!
「ローズヒップ君、さあ……君の
僕が言葉を
彼女が
最高だよ、ローズヒップ女史!
僕はゆっくり
本当に最高の尻だ、そしてスカートや下着の些細な
こうすることで、僕は真実へと
「凶器は見つからない……何故でしょう? 私、ちょっと違うと思いますの」
「そ、そうかい……ックゥ! ハァ、ハァ……さ、さあ、もっと」
「
僕は
ちらりと横目に視線を走らせれば、ローズヒップ女史の細い足首が見えた。
「では、どうやって靴下で……そのトリックだけが謎ですの」
「そう、だね……靴下では人は殺せない。さあ、考えてみたまえ……濡れた靴下を鈍器に変える、そんな魔法だ」
「ふふ、先生ったらまた意地悪を」
その時、ローズヒップ女史がクスリと笑って……脚を組んだ。
静かに荷重が僕の全身を突き抜ける。
おおう……
四本脚の
「……濡れた、靴下。濡れた……水。そうですわ、もしかして!」
「あ、ああ……言って、イッってみたまえ」
「先生、もしや……凶器はやはり靴下! その中に水を満たして凍らせれば? 氷ならば、不意をついて人間の
「そう、そうだね……うむ、仕上げといこう。その氷はどこへ消えた? それだけが最後の謎」
「逆でしてよ、先生。消えるために、消すために氷を使いましたの。ヨナさんは靴下に入れた氷で姉のロザンナさんを撲殺、そしてそのまま凶器を放置。死体発見時、既に氷は溶けたのですわ……
声を弾ませ、ローズヒップ女史が見事な推論を提示してくれた。
正解だ、何故なら……何故ならば、その推論は人間椅子探偵カウチ・チェアマンの導き出した物と完全に一致するからだ。
寧ろ、こう言えよう。
こうして少女の体重を身に受けた時から、答は
いつものように、僕に座るとローズヒップ女史の
彼女は嬉しそうに両の脚をぶらぶらと揺らしながら、最後にグッと僕に体重をかけると、その反動でピョンと飛び降りた。
オフゥ! ンホォォォォォ……!!!! 推理完了、迷宮は踏破された。
僕はその場にへたり込んで、ピクピクと尻だけを突き出しながら絶頂。
立ち上がったオシリーナ女史は、手早く手帳に話を纏めると走り出す。
「チェアマン先生、わたくしはヤードに行ってきますわ。……悲しい事件でしたわね」
「あ、ああ……彼女もまた、変わりゆくロンドンの闇が生んだ犠牲者の一人だったのさ。財産に、お、おおっ、おっ……ぅはあ……くぅ! はぁ……財産に、目が、くらんだ、悲しい、犠牲者」
「いつもながらお見事ですわ、先生。流石は人間椅子探偵ですの」
「さあ、イきたまえ……真実を皆が、待って、いる……」
僕は
少女の尻に敷かれて全てを見抜き、大探偵時代を生きる一匹狼……
人は皆、僕をこう呼ぶ――人間椅子探偵と。
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