第39話 原因、起因の究明2

 住所、マンション名、部屋番号を伝えられ

ていたので三人はすぐに桂田の部屋の前まで

たどり着くことができた。チャイムを押すと

桂田利明が出てきた。


「そろそろ来られる頃だと思っていました。

綾野先生と浩太は予想していましたが、マー

クさんでしたか、あなたは予想外です。よく

たどり着きましたね。」


「彼が大図書館で今回の件の経緯が

書かれたモノリスを発見したのだよ。元々は

の依頼だったのだが、

私の元に一番に報告に来てくれた、というこ

とだ。」


「なるほど、ですか。ということは

旧神たちはこの件についても予言していたと

言うことになりますね。結局彼らの手の内だ

った、ということか。」


 以前の桂田の話し方とは違う。浩太は違和

感を感じていた。


「お前は本当に桂田利明なのか?」


「ああ、そう。そうでもあるし、そうでもな

いとも言えます。今この瞬間はどちらかと言

えば違う、ということになりますか。」


「まさか、だとでも?」


「それも完全な正解ではないのですが、まあ

ほぼ○に近い△、というあたりでしょうか。」


「どういう意味だ。」


の本体はあの地を離れること

はご存知のようにできません。僕は

の欠片、というところです。そして、桂

田利明君とこの身体を共有している、という

ことですかね。」


「結局そういう事か。」


 との融合期間が長かったため

桂田利明はその遺伝子か55%も人間と合致

しない存在になっていた。


「桂田の意識はどうなっているんだ?」


「今は眠っています。僕が目覚めているとき

の記憶は彼にはないでしょう。統合失調症、

いわゆる多重人格と考えてもらえれば判りや

すいかもしれませんね。」


「なるほど。それで君が今回の件に関わって

いると?」


「今回の件とは?」


「もちろんの件だよ。」


「でしょうね。」


「何を考えているんだ?」


「何も。」


「どういう意味かな?」


「そのままの意味ですよ。何も考えていませ

ん。ご存じではないでしょうか。僕のやるこ

とは全て。」


「暇つぶしだと?」


「そうです。それ以上でもそれ以外でもあり

ませんよ。」


 の分身である桂田利明がベテ

ルギウスの旧神の元を訪れて今回の件は起こ

ったのだった。旧神の力の一端を

が利用し、と七野修太郎の身体

を入れ替えたのだ。そして、その動機は単な

る暇つぶし、なのだ。


「まさか、とは思いましたが。私が発見した

モノリスには事の経緯しか書かれていません

でした。主観的な動機はあなたから直接聞く

しかなかったので、僕もここまで来たのです

が。」


「それはご苦労様でしたね。早々に

に戻るといいでしょう。」


「いや、原因が分かっただけで解決はまだし

ていませんよ。」


「そうでした。では、今から一緒に七野家に

行くことにしましょう。」


 こうして桂田、綾野、浩太、マークの4人

が連れだって七野家で待つと杉江

の元へと向かうのだった。

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