第24話 アンドリュー=フェラン

 アンドリュー=フェランやクレイボーン=

ボイドなどのラバン=シュリュズベリィ博士

と活動をともにしていた者たちは一時亡くな

ったと思われていたが、実際には

避難していただけだった。エンベル=キーン

のように名前を変えて地球に戻り活動を続け

ていた者もいた。ただ、寿命が延びてしまう

に長く滞在することを良しとはして

いなかった。アリドリューはラバン博士の遺

志を継ぐ者としてマーク=シュリュズベリィ

を派遣し自分たちは地球に戻って普通に天寿

を全うすることにしたのだ。


 財団に所属していた時はまだまだ

旧支配者たちと戦う気力があったのだが、財

団が裏で世界の軍需産業と繋がりがあること

が耐えられなくなってしまったのだった。財

団の首脳部とはどうしても意見が合わなかっ

た。


 マークをに送りだし、他にも数名

を人選して送るつもりだった。若い世代に引

き継いでもらうことが必要だと思ったのだ。


「長く生きすぎた。」


 正直な感想だった。


 マークについては本人の意思もあり能力的

にも問題なかったので博士の縁者ということ

とは別に人選した。次に彼をサポートできる

人間を数人選択してと地球に配置し

なければならない。それ相応の覚悟がないと

務まらない。資金的にも大きな問題を抱えて

いた。


 財団の資金源はアメリカやドイツ

の多国籍軍需産業だった。彼らは旧支配者の

封印活動をしている財団を支援しているので

はなく、その過程で発見されるオーパーツに

興味があったのだ。超古代の文明の産物をい

ままで財団はいくつか発見していた。現代の

テクノロジーでは到底到達できないレベルの

ものだ。財団の目的は旧支配者の封印を解か

れないようにすることなので、お互いの利害

が重ならなかったのだ。


 但し、現代の戦争を幇助する一面があるこ

とが財団の首脳にとっても頭痛の種ではあっ

た。アンドリュー=フェランに言われなくて

も判ってはいるのだ。ただ、綺麗ごとでは資

金も集まらない。画期的な武器・兵器の開発

が可能となれば戦争も無くなるかもしれない

というような自分でも信じていないような詭

弁を語るしかなかった。


 財団と袂を分かちあったアンドリ

ュー達には先立つものがなかった。そして特

に解決策もないまま地球での年齢が100歳

を超えている彼らは次々にその寿命を終えて

しまうのだった。それでもアンドリューは最

後まで諦めていなかった。


「マーク、すまない。我々はここまでだ。た

だ後を託す者も見つけてある。その者にある

打開策も伝えてある。後は頼んだ。本当にす

まない。」


 アンドリューの最後は誰にも看取られず、

その言葉もマークに届くことはなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る