第23話 マーク=シュリュズベリィ

 とほうもない話だった。万物の王である

の中身が一介の高校に入っている。

どんな影響があるのか想像が付かなかった。


 マーク=シュリュズベリィはに来

てまだ間がなかった。ラバン=シュリュズベ

リィが亡くなったのはもう少し前のことなの

だが自分がその代わりにここに来ることにな

るとは思っていなかった。


 確かに地球ではCIAに属していたり

財団に属していたり、そのどちらとも距

離を置いてラバンの手伝いをしたりしていた

だが。


 それらのほとんどは自らの意思だった。誰

に言われたわけでもなく、自分の考えで色ん

な組織に所属したりしなかったりしていたの

だ。それは当然ラバンの影響があったのだが

自らの使命感だった。ラヴクラフトの小説の

内容が多分に事実を含んでいることと、それ

に自分の祖父の従兄であるラバンが関わりを

もっていたこと。その辺りのことが徐々に理

解できるようになってきて自らこの世界に足

を踏み入れることにしたのだ。


 日本生まれ・日本育ちで日本国籍しか持っ

ていなかったマークは自分を完全な日本人だ

と認識していた。そして帝都大学卒業後はキ

ャリアとして警察庁に入庁したのだった。そ

の中で頭角を現し自らの提案でCIAに派遣

されることとなった。但し、活動は日本国内

に限定されていた。日本におけるCIAのエ

ージェントとして活動していたのだ。


 警察庁もCIAも旧支配者やそれに纏わる

話はほとんど信ぴょう性がないと判断してい

た。但し全く無視するとロシアや中国に先ん

じられても困る、という一点で専門部門を創

ることになったのだ。その日本とアメリカの

橋渡し役がマークだった。若さもあって失敗

した時には処分しやすい、ということだった

のだろう。


 部署にはマークの他には5名ほどが配属さ

れていた。警察庁からはマークを入れて4名

居たがCIA側は1名だった。形としてはマ

ークはCIA側としてカウントされていたの

で3対2の割合にはなったのだが。


 その部署(対C対策室という低俗な名称だ

った。)ではマークはほとんどやることがな

かった。元々誰も信じていないのだ。予算も

無い。稀覯書きこうしょの収集や閲覧もままならなかっ

た。日本国内にはそれほど重要な文書はなか

ったのだが。


 活動の一環として財団やアンチ・

協会などと接触しているうちに別

の活動方法があるのではないか、と思い始め

た。そんな時財団が入手した文書の

解読に協力してほしい、との依頼があった。


 対C対策室と協力して解読できる人間を内

々に大学に派遣してほしい、

というのだ。何か重要な文書ではあるが日本

語の素養と暗号解読のプロが必要、とのこと

だった。


 早速人選に入った。日本協会と

いう神話ファングラブ程度の組織

があり、それにも一応マークは接触していた

のだが、そのメンバーに綾野祐介という帝都

大学講師かいるのを見つけた。最初に同じ帝

都大学の橘軍平教授が最適だと判断したのだ

が高齢や体調もあって無理そうだった。綾野

はその弟子のような存在らしい。少し調べる

と色んな意味で最適な人材に思えた。そこで

財団の人間と綾野を直接訪ねて文書

解読を依頼することにしたのだ。


 依頼は積極的な承諾もって迎えられた。そ

もそも財団に入って活動したいよう

な素振りさえ見えた。いずれそうなるかも知

れない。


 綾野が訪米中にマークの周辺に異変があっ

た。ラバンから連絡があったのだ。とうの昔

に亡くなっていると思っていた。ところが今

でもにある図書館で調査・研究を続

けているというのだ。綾野に依頼した文書も

もとはといえばラバン博士の関係者の手で書

かれたものだった。ただ、それは暗号化され

ていて、その解除方法を伝える前に本人は死

亡してしまったらしい。綾野の成功を祈るば

かりだが、その結果をラバン博士にも知らせ

てほしい、とのことだった。

 

 マークはこの際、組織からは離脱しフリー

で地球におけるラバン博士の目として活動を

することを申出で、了承された。それ以後は

ラバン博士の意向で活動を続けていたのだっ

た。


 では人間の寿命が延びる、という

話があったのだが、それは事実だった。ラバ

ンは地球に居たとしたらとうに100歳を超

えているはずだが、どうみても6~70代に

しかみえなかった。ただ、さすがに永遠に生

きる、ということもなかった。ラバンは

で天寿を全うしたのだ。


 そして、ラバン博士の弟子であり、方向性

の違いから財団を辞していたアンド

リュー=フェランの依頼でマークか

に来ることになったのだ。

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