7月31日 ライダーハウス

 早朝、寒さで目が覚めた。キャンプ場ではなく、ただのくさむらだ。当然水道もないので洞爺湖の水で歯を磨く。そこに寄ってきたのは野生のキツネ。北海道も野生生物はたくさんいる。キツネだって神戸で見るイノシシくらい多いとか※。それとクマも。クマについては「〇月〇日クマ出ました」ポスターは走っているとけっこう至るところに見える。怖いな、それ。

 昨日買ったトレーナーは必須アイテム。北海道は寒い、家(甲子園)はうだるように暑いのに。今日は北海道の首都ともいえる札幌を越えて日本海沿いにでる予定だ。

 

   * * *


 国道で札幌を目指す。中山峠で休憩、ここを越えると札幌の市街地になる。これまで函館を越えてから都市らしい都市を通らなかったので久しぶりの市街地だ。車の台数が近付くに連れて増えて行くのがわかる。

 札幌の南、藻岩山に登り街を一望しようとしたが、ここでも濃霧。北海道は白い視界がよく似合う、といいながら下山して羊蹄山の広場へ。 ここにおはする銅像はクラーク博士だ。


    boys be ambitious 


とは彼の言葉、僕も大志を抱いてここまでやって来ました。


    「少年よ 大したもんだ」


てな訳をして市内に突入だ。

 さすがに札幌は日本でも指折りの大都市。今までと全く違って信号も渋滞も多い。後日談ではあるが、観光客は多いが単車乗りは意外に来ないところであるのは分かるような気がする――。ここではお決まりのラーメン横丁でラーメン食べて街を抜けることにした。


   * * *


 今日は羽幌のライダーハウスで泊まることを決めた。

 ライダーハウスとは、主に北海道に点在するいわゆるドミトリーみたいな宿のことで、一泊1000円くらいで広間の雑魚寝。ここで情報交換もできて、多くの単車乗りが利用している。

 久々の夜行になる。街灯も少なく、道路を横切る野生生物も多いので注意が必要だ。

 途中立ち寄った食堂でイクラ丼を食べた。1000円で食べきらないほどのイクラが!今日は贅沢な食事だ。

 

 羽幌に着いた時には陽はドップリと暮れていた。ここで集まった7人の単車乗りが夜遅くまで話し合う。日本の方々からやって来てここに集まった不思議な縁。

 以後の旅でも同じだったが、人が集まると話の主導を握るのは決まって関西人。僕と、同じく大阪から来たというXJR400乗りの方と、鹿児島ナンバーの原付でやって来た学生さんをさんざんいじり倒して笑いの中で夜はふけた――。

 原付の彼、ほとんどが船旅(福岡→神戸、舞鶴→小樽)だったから。


   * * *


※野生のキツネは「エキノコックス」という雑菌を持っているので触れない方がいいそうです。

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