第2章 「北の大地で」

7月30日 さらに北へ!

大沼のキャンプ場で目を覚ます。七月というのにほんのり肌寒い。同じように本州から単車で来てキャンプしている人の話を聞くと、北海道は暑い年と寒い年があって、今年は寒い年のようだ。ということはひと夏中天候が良くないそうで、天候の変化に注意するといいとのこと。

 確かに空は曇っている。荷物はビニール袋に入れてネットを掛け、幸い今まで使わなかった雨具をすぐ出せるようにセット。次なる目的地は


   日本最北端の町、稚内


そして北海道を一周する。遅めのスタート、僕たちは元気よく北に進路を取った――。


 ところが、キャンプ場での助言の通り確かに寒い。持っている服を着込んでもまだ寒い。そこで藤井さんの提案でひとまず近くのショッピングセンターに立ち寄ってトレーナーを購入した。後の話であるがこれが正解だった。北海道の道中あまりに気温が低いのでこのトレーナーが手放せなかったのだ。ケッペンの気候区分で分けると北海道は冷帯だそうだ、同じ日本でも色々あるのだなあ。


   * * *


 国道5号線に乗って札幌経由で以後北海道を時計回りに一周するルートをとることにした。これもキャンプ場での情報収集した結果で、北海道の大海原を見るなら時計回りが良い。というのも日本は左側通行なので海側を走るということになるのだ。

 北海道の道は、とにかく直線が多い。街は賑やかだけどその間がどこまでも平原が広がっている。勇者もののテレビゲームで町を出るとフィールド画面に変わるのをご存知だろうか?まさにそんな感じだ。

 そして対向から時おり同じようなバイク乗りや自転車乗りとすれ違う。そこで挨拶を交わして行くのがなんとも爽快だった。それぞれがそれぞれの旅地図を作って北の大地を走り回っている。

 単車乗りになったその日からあこがれ続けた北海道。この挨拶が楽しくて毎年ここへ来るひとの気持ちが僕にはわかる。


 北海道ツーリング実質初日、気温の変化に順応させるべく今日はそこまでの距離を稼がずに、洞爺湖のほとりにある草むらでテントを張り、近くの公営の温泉に入ったあと今日はここでストップ。明日は北の都札幌を抜けてさらに北を目指す予定だ――。

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