第19話暑いですね、猫とお留守しています。
8月7日 金曜日
暑いですね、猫とお留守しています。
●カミサンは松戸。午後は娘と上野で会う。たのしそうにでかけていった。
●わたしは、まだ、喉が痛む。イガラッポイ。風邪がぬけない。
体はだるいし、気力は萎え、それでも……必死の思いでパソコンに向かっている。
●あいかわらず、吸血鬼の小説を書いている。話は次第に大きくなっていく。そうでもないかな。
ともかく、この鹿沼が吸血鬼、羅刹の侵攻で消滅する話だ。
それをレデイス、サンタマリアの女の子が防ぐ話だ。
うまく書き上がればいいな。
●暑いですね。
電気代を倹約してじぶんの書斎はできるだけエアコンを使用しないことにしている。
でも、ブラッキ―とリリのいる居間は朝からつけっぱなし。
●「猫ちゃんが熱中症にかからないようにしてよ。エアコンは止めないで」
●猫好きはじぶんのことより、猫のほうが心配。
●「はい。はい。はい」
わたしはカミサンのことばを快諾していた。
●猫がいるから、生きていられるのだ。
猫さまさまだ。
●はやく、流行作家の飼い猫なんて、呼ばれる日がくるといいね。
●ブラッキ―とリリちゃん。
福を招いてよ。
●二匹とも、わたしを見上げて「にゃん」とも応えない。
●じぶんの道は、じぶんで切り拓きなさい。
●猫のまなざしが、母のまなざしにみえた。
●そういえば、もうすぐお盆さんがくるのだな
●8月21日 金曜日
ぼつぼつ原稿を書きだしました。
●曇りの朝。
涼しい。
一階の仏間で室温25°。
これくらいの気温になってくると、原稿を書く気力もわいてくる。
●気温に関係なく仕事の出来る体質だと思い込んでいたのに。
このところ、暑さには弱くなった。
とくに今年は、もうダメ男だった。
カミサンの弟と、わたしの妹の亭主。
二人の義弟の死が、たてつづけにあって、精神的にもマイってしまった。
いままでは葬式にでても、みんな年上の人だった。
死の影が身近に迫って来ているようで、悲しくもあり不安になった。
●まだまだ書きたいことが沢山ある。
ようやく、この三月からフルタイムで原稿を書く日々がはじまつたばかりだ。
これからは自分自身のことで悩み、苦悶しながら小説を書き続ける十分な時間がある。
喜んでいたのに、このテイタラク。
なさけない。
●今朝はなんとかPCを開くことが可能となった。
まだ喉がはれているので、全身が砂袋みたいだ。
サンドバッグのように体が重い。
●それでも原稿を書きだす。
書くことが楽しいから、つづくのだろうな。
●カミサンとリリはまだ白河夜船。
ブラッキーは朝食をすませた。
朝の散歩に出たくてウロチョロ部屋の中を動き回っている。
仏壇の煎餅をさげて、たべようかな――。
8月24日 月曜日
虫ハンターリリのお手柄
●さくや、深夜テレビを見ていた。
カミサンがパジャマ姿で離れからやってきた。
カミサンの寝室のある離れと、テレビの置いてある居間とは、かなり離れている。
就寝してから起きだして居間にカミサンが来るのは珍しい。
リリをだいている。
●「どうしたの」とわたしは訊いてみた。
●「リリがうるさくてネムレナイノヨ。枕元をトコトコ歩きまわって、うるさいのよ。それに下くちびるのあたりが赤くはれているの」
それでリリのことを叱ってしまったというのだ。
どうりで、リリはしょぼんと、うなだれている。
くびをすくめて神妙にしている。
悲しそうでもある。
●カミサンからリリを渡された。
たしかに右のアゴの上のほうが赤い。
●「リリ、ママを困らせるなよ。明日は模擬試験の監督がある。早くから仕事なんだから、ママをヤスマセテあげなさい」
リリに話しかけるときは、つい優しい言葉になってしまう。
家に迷いこんで来てからソロソロ一年になる。
手のひらにのっていた子猫はいまはすっかり大人だ。
でもいつになってもわたしの心のなかでは、リリは手のひらサイズだ。
●カミサンが悲鳴をあげている。
キッチン、中道、畳の部屋、コタツとピアノのある十畳ほどの板の間をぬけ、やっと寝室の障子をあける。
●カミサンがコウフンシテ指さすユカに10センチを超すムカデがうごめいていた。
赤黒い粘液を床にふりまきまだうごめいていた。
リリが果敢にムカデにたちむかっている。
尻尾を太くして前足でムカデをとらえている。
●それで、わかった。
●ムカデを追ってリリは部屋のなかをかけずり回っていたのだ。
●「リリがいなかったら、わたしムカデにカマレテいたかも……。リリが守ってくれた。わたしをたすけてくれたのよ」
●それなのに、怒ったりしてゴメンね。
カミサンの感激ぶりはテンコモリ。
アットウテキナものだった。
●リリの下くちびるのハレは、ムカデにさされたものだった。
●まいにち、裏の空き地で虫をとってくる。
「虫ハンター」とわたしに呼ばれているリリのお手柄だった。
●「さすが、虫ハンターのリリだ。ミイマを守ってくれてありがとう」
8月26日 水曜日
かい巻きの寝床にブラッキーがもぐりこんできた。
●8月末ともなると朝夕はすでに秋の涼気が感じられる。
ところがこの二日ほどの気温はなんとしたことだ。
寒いくらいだ。
あわてて厚めのsweatshirtsを着ることになった。
●ブラッキ―も敏感に寒さに反応した。
わたしの寝床にもぐりこんできた。
かい巻きの襟元を首の周りまで引き上げて寝た。
わたしの住む鹿沼は日光の隣町なので冬はかなり寒い。
娘たちは寒過ぎるといって冬にはあまり帰省しない。
まあ……これは……わが家が広いだけで凄まじいロウオクなので、隙間風がはいるためでもあるが――。
いずれにしても、かい巻きの襟のあるのがたのもしい季節が早くきすぎたようだ。
●リリは雨がふっているので裏のハラッパに虫ハントにでられず、家の中を走り回っている。
ストレスがたまっているのだ。
唐紙はひっかく、畳のふちは噛む、ともかくそのオキャンぶりはカミサンを嘆かせている。
●カミサンが丹精込めて世話をしている薔薇がほぼ半数の鉢がダメになってしまった。カイガラムシが発生したためらしい。これも、暑過ぎたためなのでしょうか。
●わたしは寒いほうが勉強ははかどる。
このところガクッと落ち込んでいた小説執筆のほうも、もっと枚数をこなせるようにしなければ。
●寒さ熱烈歓迎。このまま寒くならないかな。でも、残暑はまだまだこれからだ。
8月27日 木曜日
売れ残った犬や猫は殺処分ですか。
●まちの駅新・鹿沼宿で買い物。カンセキに回る。
それから、ヤオハン貝島店。
●しめて、八千歩ほどあるいたことになる。
●ペットショップをのぞく。売れ残り大きくなり過ぎた猫があわれだった。
どうなるのだろうか。
殺処分? まさか、まさか、そんなことないですよね。
●ショートショート「アサヤ塾」の窓からにこのテーマで書いたものがあるので、採録しました。
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