砂の世界
運命の出会い
どうしてこうなった
今シンの目の前には剣を構えた騎士が5人いる。使い込まれた甲冑にはおそらくだが国の紋章がついている。
バイクに乗り移動してきたのだろう、こちらに剣を向けたまま近づいて来る。なんだこの世界は、世紀末なのだろうか
5人程度なら倒せるだろうと思うが、シンは砂の世界に来たばかりだ情報が無いうえいきなりどこかの国に敵対はしたくない
「貴様王国の雇った傭兵だろう!」
「いや違います、旅をしていたのですが道に迷ってしまいまして」
「この辺りには戦争地帯になると警告が出されている!旅人などは寄り付かない!」
「知らなかったんです、信じてもらえないんですか?」
「ああ信じない」
この繰り返しである、いい加減イライラしてきた
『まわりに誰もいないみたいだし、倒して進むか』
「なら力ずくでも通らせてもらいます」
「なんだと!やはり王国の者か全員戦闘ようッうが」
戦闘に入ろうかという所で吹き飛ぶ騎士
「貴様何をした!魔術師か!」
俺は何もしてない、何が起きたか俺も知りたい。ついでに言うと魔術師でもない
「あんた危なかったわね私が来なきゃ死んじゃったかもよ?」
燃えるような赤い髪にこれまた赤い長衣に赤い剣を持つ小柄な少女が立っていた。
「ちょっと待っててすぐ終わるから」
少女の姿がブレた
一瞬だった、4人の騎士が切りかかった時にはもう遅い、深紅の剣は振りぬかれ騎士は胴体を真横に切り裂かれ絶命する。
「ふぅ、ミリアの騎士は大したことないわね、大丈夫?ケガはしてなさそうだけど」
「あ、ああ君のおかげで助かったよありがとう」
「いいわよお礼なんて、味方になるんだし、それにたまたま通りかかっただけだったからついでよついで!」
(ついでに助けられたのか、まあ助かったのは事実だしってか味方ってなんだ?)
「いや本当に助かったよ、それより味方ってどういうことです?」
「えっあんたラピスの兵士じゃないの?黒髪なんてラピス人しかいないじゃない!」
「違います。俺は旅をしてるんですが途中でさっきの騎士たちに絡まれてたんだ」
「うそ!じゃあラピスの兵士と間違えちゃったの?」
「そうみたいですね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
(どうしようこの空気、それにしてもラピス人ってのは黒髪なのか、そりゃさっきの騎士が敵対するわけだ、だがこの女の子間違えているみたいだしもしかしたら俺の敵かもしれないな、注意しておこう)
「ふん、まあいいわ、私はユナ・アーネス、ユナでいいわ」
「俺はシン、まさかこんな可愛い女の子に助けられるとは思わなかったな」
「かっ、子供扱いしないでよ!これでも17よ!」
「あっごめん、でも年下なんだな俺は19だ」
「2つしか変わらないじゃない、それに男なら戦うぐらいしなさいよそんなんでよく旅なんてできるわね」
「それを言われちゃうと困るな、まあほんとに助かったよ」
「ふーんそう」
ユナは気づいていた、自分が攻撃する前にシンが一瞬放っていた殺気の強さに、確かめようにも素直に教えてくれそうもないので話題を変える。
「旅をしてるって言ってたわよね、どこに行くの?」
「それがこの砂の世界にはさっき来たからどこに行きかも決めてないんだ、情報を集めようにも人がいなくて」
「そう、今は戦をしていたからこの辺りは兵士しかいないわ」
【砂の世界デゼルト】では戦争地帯の住人に避難をするよう勧告している。これにより戦争地帯には兵士や盗賊などしかいないのだ。
「それよりあんた、えっとシンって言ったわね、道はわかるの?」
「いやわからん、大きい都市に行きたいんだが」
「ならちょうどいいわ、私も王都に行くから一緒に行きましょ?」
「ああ、そうしてもらえると助かるありがとう」
「いいわついでだから、王都まではバイクで1日ぐらいかかるけど」
「バイク?もってるのか?」
「あそこにあるじゃない」
そう言ってユナが指さすのは先ほどの騎士の物と思われるバイク1台がある。
1台だけ壊さなかったのはこのためだろうか、しかしこの世界ではバイクの運転が出来なくては恥ずかしいことなのだろうか俺は運転できないどうしよう
「使ってもいいのか?敵のだろう?」
「1日借りるだけよ、王都についたらその辺においてくわ」
「それって盗むのと変わらないんじゃ?」
「何!文句あるの?」
「・・・いえ、ありません」
「あんた運転してよ!助けてあげたんだからそれぐらいしなさい!」
まずい、やはり運転できるのは当たり前の事らしい、可愛い女の子だからカッコつけてウィリーなんかかましてやりたいがやり方なんて知らない、だって乗った事ないんだもん
しょうがないエンストなんかして恥をかくよりも乗れないことを正直に言おう
「済まない、運転できないんだ」
「しょうがないわね、運転してあげるから後ろ乗んなさい」
ちょっと情けない物を見るような目で見ないでよ、自分が情けないのはわかってるんだから、しかし後ろか、しがみついちゃっていいのだろうか
「変なとこさわんないでね、さわったら許さないから」
わざわざ言わなくてもいいのに、心配しなくても大丈夫だ、君に変なところなんてないからね!
「突っ立ってないで早く乗りなさいよ!こんなところ早く出ていきたいの」
「ああ、助けてもらった上に、運転もさせてしまって済まない、君が来てくれて本当に助かったよ」
お礼を言いつつバイクの後ろに乗り込む、2人乗り用になっているのだろうか、座席の横に手でつかむ用であろう手すりのような物が2つ付いている
しかし今回は必要ないだろう、なぜならば掴む場所は他にある、そう目の前に乗る赤い髪の美少女の2つのふくらみだ
ふむなかなか大きいなDカップぐらいあるのだろうか、しかもなかなか張りもあるが柔らかい、恥をしのんだかいがあった
よし、この世界では、バイクは後ろにのろ〔ゴドッ〕
俺の頭に衝撃が走る、なんだ何が起きた、敵はいないはずだ目に前にひじが見えるそうか顎を撃ち抜かれたのか薄れゆく意識の中声が聞こえる
「変なとこさわんないでって言ったじゃない!」
ばかな!俺は変なところなどさわっていない、どういうことだ、ああそうかこの女の子は他の神の代行者だったのか、チクショウ油断したところを狙われた
ああ、俺は目的も果たせずに終わるのか
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冗談はおわりにして
「少し休憩するわよ」
王都への旅の途中、ユナの提案により大岩のかげで休憩をとることに、道中何度も魔獣に遭遇したがユナは本当に強かった、デザートウルフと呼ばれる狼型の魔獣サンドワームなどの魔獣にしてもすべて深紅の剣で首を一撃で落としていた。俺何もやってない。
ユナが使う剣は何度切ろうが切れ味がまったく落ちない、すごい剣だなとほめたら凄く嬉しそうにしていた。
なんでも地下遺跡の奥にあったらしくこの剣を手にいれるのを物凄く苦労したらしく手に入れてからは肌身離さず持っているようだ。寝るとき自分を切ってしまわないんだろうか、ちょっと心配だ。ちなみに初めのころ剣に触ろうとしたら殴られた、自分以外には触らせないようだ、殴らなくてもいいのに。
休憩に入るとユナが話しかけてくる。
「シンは旅をしてるって言ったわよね、どこから来たの?」
「何もないところだよ、本当に何もないんだ」
「ふーん、つまんないわね、私この砂の世界からは出たことないから違うとこにも行ってみたいわ」
ユナは憧れていたのだ、他の世界にいったり冒険をすることに、だから旅をしているシンにいろんなことを聞きたいし興味がある。
「そうだな、俺も他の世界に行きたかったんだあの世界には何もなかったし、恩も返したかったし目的もあった、それで旅に出ることにしたんだ、砂の世界はその一歩目だな、いきなり戦争に巻き込まれるとは思わなかったけどな」
「目的があるんだ!やっぱ冒険には必要よね!何がしたいの?」
冒険などの話になるとユナは目を輝かせる。憧れの物には目がない女の子なのだ。
「そんな目をするなんてやっぱり子供だな」
「うるさい!子供扱いするな!」
ユナは子供扱いされるのが嫌いだった、もともと小柄な上に顔だちも童顔なので仕方ないのだが、彼女はいつも子供扱いされる、仲間には妹のように扱われている。
「それより教えてよ!なんで旅をしてるの?」
それでもやはりユナは気になり上目づかいに聞いてくる、このあたりも子供っぽい。
「そうだな、世界の始まりは知ってるか?」
「知ってるわ、神が7つの世界を作るのよね!」
「細かくいうと違うが大体そうだ、その時のルールは知ってるか?」
「うん、7つの証を集めたら願いが叶うのよね?」
「そう、その証を集めるのが俺の目的だ、ここにも証を手に入れるために来た」
「でもあの話って伝説よね、本当に願いが叶うの?それに集めた事のある人なんていないはずよ」
ユナの疑問は本当のことだ、今まで証を集めた者はいないとされており、それに他の世界に行こうとする者は商人や観光で行くものが多くほとんどの人はユナのように他の世界に行ったことのない人ばかりで他の世界に行かず生まれた世界で生きる者が多いのだ。
「それについてはボクが本当の事だと証明しよう!」
「きゃっっ」
いきなりの登場にユナが軽く悲鳴をあげる。
「いきなり出てくるな!驚くだろ!」
「ゴメンゴメン、ここしかないと思ったからさ」
現れたのは、この砂漠ではあまりに異質な存在、真っ白な髪に透き通るような肌を持ち白いロープのような服を着た少女。その姿にユナは目を奪われてしまう。子供のように無邪気でしかし大人の美しさを持った神であるノアをみては仕方がない事である。
「驚かせたようだね、ボクはノアここにいるシンの神であり、シンだけの神さ」
シンだけのを強調するノア、砂の世界に来てからシンと行動しているユナにちょっとだけ嫉妬しているノアであった。ここぞとばかりにシンと腕を組んだりしている。
「あまりくっ付くな誤解をされるだろ!」
「いいじゃないか、君とボクの仲だろう?」
「いいから離れろ!」
「しょうがないなぁ、離れるとするよシンは照れ屋さんなのかな?」
やれやれといった感じで離れるノア
「どうしてあんたがさっきの話を証明できるのよ、だいたいあんた本当に神様なの?ノアなんて聞いたことないわ」
落ち着きを取り戻したユナが問いをかける。
「やはりボクの事は知らないか、しょうがないねボクは嫌われ者だから、なら他の神の事は知っているかい?」
「知ってるわ、【地の神ミアリス】【海の神ウリス】【空の神エウリス】【山の神サリス】【火の神ボルリス】【氷の神アイリス】よね、一般的に知られているのは6人よ」
伝説や冒険記が好きなユナは当然知っている、この世界を作ったとされる神の伝説は有名なのだ。だが有名なのは6人の神の名前のみで世界を作ったもう一人の神ノアはあまり知られてはいない。
「そう!だけど世界を作った神はもう一人いるのさ、その最後の一人がこのボク【無の神ノア】さ」
知られていない事実を教えられユナは絶句してしまう。ここでは【砂の世界】【海の世界】【空の世界】【森の世界】【炎の世界】【氷の世界】
の6つの世界を6人の神が作ったとされるのが当たり前であり、もう一つあるなんて事は誰も知らないであろうと思っているからだ。
しかし好奇心旺盛なユナはすぐに自分を取り戻し誰も知らない事が聞けると目を輝かせ、質問をする。
「じゃ、じゃああなたの世界もあるのよね!誰も行ったことが無い世界が!」
未開の世界がある、それだけでワクワクしてしまうユナ、だが次の言葉でがっかりしてしまう。
「あるよ、でもシンがさっき言っていただろう、本当に何もない世界さ、先ほども言ったけどボクは嫌われ者だからね、世界分断の時他の神が結託してボクをのけ者にしやがったのさ。
大地はミアリスが、海はウリスが、空はエウリスが、山はサリスが、炎はボルリスが、氷はアイリスという風に分けられたのさ、おかげでボクには何もない、ただの空間しか残らなかった、
本当に何もない、人も物も動物も他の世界へ行くことさえ出来なかった、ただほかの世界を眺めることだけ、他の神はボクを閉じ込めやがったんだ!」
「でもあんたはここにいるじゃない、どうやって出てこれたの?」
「そこでシンが出てくるのさ!」
なぜシンがここで出てくるのかユナにはわからない。それも当然だユナには信仰する神はいなく、世界を渡り歩く事もしたことがないからだ。
「ボク一人では力を十分に使えないという事はわかるかい?」
「なんとなくわかるわ、神様は信仰している者には神の使徒としての加護を与える事が出来る、けど使徒がいなければ神は力を失うのよね?」
「うん、そうだよ!使徒の数が多ければ多いほど、ボク達神の力は強くなるからね、その代わり使徒の数が多くなるほど使徒一人一人への加護の力は弱まってしまうんだ。」
「ちょっとめんどくさい話ね、簡単に言うとシンがあんたえっとノアね、ノアを信仰したからあなたは力を取り戻して他の世界に出てこれたのね?」
「ああ、でも現状ではシン一人だからね、何とか他の世界へ使を渡らせる力は戻ったけど一度世界を渡るのが精一杯なのさ、こうして話しているのもシンが持っている無の世界の証を
通じて何とか分身の姿を現しているのさ、本体はまだ無の世界からは出られない」
「でもなんでシンは無の世界にたどり着いたのよ、それにどうしてノアを信仰するの?」
「それは最初に話しただろ、俺はノアに助けられているんだ、加護の力でこの世界を渡り歩けるようになったし、俺の目的も話したよな、証を集めて願いを叶えるためにノアの力が必要なんだ」
「そう、シンが願いを叶えるためにはボクが必要だし、ボクが力を取り戻し世界を1つにするためにもシンが必要なんだ、一身胴体とはいかないが、お互い協力しあっているんだ」
「そっか、証を7つ集めたら集めた者の信仰する神は世界を統一するのよね、ならシンはノアの代行者になるんだ」
「ああ、俺はノアのために代行者になった、無神の代行者ってところかな」
「なんかパッとしない代行者ね、なら無の世界の証は持ってるの?」
「あるぞ、この腕輪がそうだ」
「腕輪か、じゃあ他の証も腕輪になるの?」
「そうではないんだ、7つの証は別々の形をしていてね、7つの証を集めた者のみが到達できる空間があるんだ、そこにあるとされている祭壇にそれぞれの
証を埋め込むことで世界は統一され、代行者の願いを叶えるんだ」
「なんだか不思議な物ね、まいいわそろそろ王都に向かうわよ」
「そうだな、ノアもうそろそろ戻ってろ」
「1つ気になるんだがいいかい?」
「何?」
「ユナは何かの使徒というわけではないのかい?」
「そうよ!それがどうかしたの?あんたの使徒になってほしいの?」
(なるほど、使徒でなくでこれほどの力をもっているのか、これは器を持っているのか?しかし誰のだ?いやいずれにせよ出会ったのは幸運だな手放すのは惜しい、こちら側に引き込みたいな)
この時のノアの考えを理解出来るものはまだいない。代行者であるシンにも理解できないだろう。
「いやそういう訳じゃないんだ、でゃそろそろ疲れてきたからね、ユナ、シンの事を頼んだよ」
「わかったわ、王都までシンは私が守ってあげるから」
「それは頼もしい、でもシンはボクの物だからね、君には渡さないよ?」
「俺は物じゃねえ!」
(ふふ、まだ先は長い気長に行こうじゃないか、あれだけの時間閉じ込められていたんだ、まずは様子見といこう)
王都までの道のりでノアが出てきたのはこれが最後であった。
そして王都への旅に向かう
バイクに乗る練習はしたが、まだ初心者にもなりきれていないので、運転はユナがする。
これまで通りに後部座席に乗り、腕を前に伸ばす、いや伸ばせなかった、腕を伸ばす前にまたもやあごに衝撃を受ける、なぜだ今度はさわれもしないのかチクショウ
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