三泊目
sentence 1
第041話:カバに追われていたのは……
金曜日の夜、もう一度、【道の駅しょうなん】に行ってみた。
でも、
もしかしたら、同じ場所からはできないのかもしれない。
自宅の駐車場でも行けなかったので、場所という要素は何かあるのだろう。
広い駐車場ではないといけないとか?
そもそも「駐車場」は関係ないとか?
わからない。
仕方なく、土曜日は別の道の駅に行くことにした。
選んだのは、栃木県芳賀郡にある【道の駅はが】。
理由は、日帰り温泉施設【ロマンの湯】が併設されているからである。
都内からだと国道4号線を北上し、東北方面に向かうことになる。
看板に福島まで何キロと出てくると、ついついそっちのほうまで行ってみたくなるが、今日はもう土曜日。
明日には帰らないといけない。
それに
どうやら
前回は特に酷かった。
おかげで【道の駅しょうなん】に
土曜日の夜に
場合によっては、その日はゆっくり休まないと、翌日の仕事に影響する。
もちろん、必ずそうなるのかどうかわからないが、もう少し経験を積まないと法則がつかめそうにない。
今は無理をしないで、とりあえず法則を探していくしかないだろう。
まあ、実は神様の気まぐれで法則などない……ということもありえなくもないのだが。
【道の駅はが】は、町の端の方にある施設だった。
施設自体は、3つの建物からなっていた。
レストランや事務所などがある棟と、農産物直売所等を行う売店の棟、そしてロマンの湯の建物である。
店舗としては、地元の野菜や米を使ったレストランがお約束としてある。
米は、芳賀米というものらしい。
それから、ジェラート屋や弁当を売っている店が並ぶ。
農産物直売所には、地元の朝取り野菜等が並んでいた。
果物の名物もあり、いちごや「にっこり梨」などがあるらしい。
子宝ぎょうざというのもあったが、その前に俺は結婚というイベントを乗り越えなくてはいけない。
この前、逃げたばかりの俺では、当分無理だろ。
なんとなく、オレは直売所で白菜を買ってみたりした。
あれから少しずつ料理を勉強し始めたので、鍋ぐらいはできるかも知れない。
その他、物産館とかあったが、オレはあまり見て回らず、まったり過ごした。
そして、夜。
ロマンの湯に向かってみる。
駐車場は、道の駅の棟側とロマンの湯側にそれぞれあるのだが、ロマンの湯の方が少し広い。
中は軽食系の食事ができる休憩コーナーや大広間などがありノンビリできる雰囲気がある。
オレはそこで夕食をとってから、風呂に入った。
やはり温泉はいい!
ここの面白いところは、源泉が二つあるところだ。
室内風呂は、低めの温度で弱アルカリ性低張性温泉。
それに対して露天風呂は、41度ぐらいの高めの温度で弱アルカリ性低張性高温泉となっている。
両方とも美肌効果もあるので、女性にも喜ばれることだろう。
(オレのお肌もツルツルだ!)
男のオレでも、喜んだ。
ということで、風呂はなかなか楽しめた。
広さもあり、いい感じだ。
すっかり体から湯気が立つ。
そして風呂から出たら、お楽しみのビールである。
休憩コーナーにはつまみ類の販売もあるから、酒がすすむが今日は飲みすぎないようにする。
ちょっと庶民的な雰囲気のテレビコーナーや、古いゲームコーナーを楽しんだ。
独りで寂しい奴だと思われるかも知れないが、独りは独りで気楽なものなのだ。
オレは独りって嫌いじゃない。
もちろん、強がりじゃない。
独りが嫌いなら、そもそもこんな車中泊してブラブラしたりもしないはずだ。
(もちろん、かわいい女の子と一緒のが楽しいけどな……)
そして、車に戻って就寝する。
車に戻ったのは、20時半ぐらいだ。
寝たのは、そこから早かったと思う。
少なくとも22時前には寝ていただろう。
◆
そしてオレは、無事に異世界に来た。
気がついた時、オレはアルコールがほぼ抜けていた。
飲んだビールは、500ミリリットル缶を一本だけだ。
それがほぼ抜けていると言うことは、3時間以上はあれから経っていることになる。
たぶん、その3時間は元の世界で過ごしていたのだと思う。
なぜなら、フロントガラスに結露がかなり残っていて、窓ガラスも冷たかった。
しかし、異世界の外は昼間で、陽射しがけっこう強い。
これだけ暑いと、3時間も経てば窓ガラスはもう少し温まっているはずである。
(さすがに3回目になると、いろいろと観察する余裕がでてくるな……)
そう思いながら、オレはふと夢を見ていたことを思いだす。
誰かに呼ばれていた夢。
しかし、まったく詳細が思いださせない。
(まあ、いいか。さてと……)
オレはいつも通り、ナビの画面を確認した。
まちがいなく、ナビは【道の駅はが】のままである。
そして、オレは運転席から周りをよく見まわす。
1度目は、森の中。
2度目は、砂漠。
3度目の今回は……どこかの平原だろうか?
最初に来た場所と、ちょっと似ている。
これでもかというぐらいの範囲で原っぱが広がり、南の方には地平線がうかがえる。
北の方には、遠くに森が見える。
とりあえず、周囲に危険そうな魔物とかはいなさそうだ。
用意してきた単眼鏡を取りだす。
今回は、いろいろと用意をしてきている。
ちなみに、今日のオレの服装はちょっとアーミールックだ。
ポケットがたくさんついた緑のズボンに、上着も厚手の軍服みたいなのを着ている。
やはりこちらの世界だと、丈夫な厚手の服を着た方が良さそうだと思って買ってきたのだ。
まあ、寝にくかったが、異世界に来たらすぐに行動することが多かったので、寝間着はあきらめたのだ。
(つーか、マジになんもないな……)
車を降りてから、周囲を見まわす。
大きな木もほとんどなく、足首ぐらいまで伸びた草むらだけが広がっている大地。
本当に何もない。
(しかし、どこにいけばいいのや――な、なんだっ!?)
なにか背後から音が聞こえた気がした。
オレはふりかえって遠くを見つめる。
黒いなにかが、走っているように見える。
単眼鏡の出番だ。
オレはその影をレンズ越しに視界へ入れる。
(……あれは……カバ? でも角が……あっ! 人!?)
それは、誰かがカバのような生き物に追われている様子だった。
「つーか、こんなのばっかだな!」
もしかしたら、こういう定めなのかと思うのと同時に、ふと「もしかしたら」と思うこともあった。
だが、それは後だ。
オレは、アウトランナーにすぐさま乗りこんでアクセルを踏んでいた。
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※参考
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●道の駅はが
http://www.michinoeki-haga.gr.jp/
●「道の駅はが」に行ってみた!
http://blog.guym.jp/2015/11/blog-post_23.html
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